24 / 59
第二章
ウィルの従魔プリン
しおりを挟む
いつもならもうとっくに帰っている時刻だというのに、ウィルフレッドはまだ帰って来ていない。辺りはもうすっかり暗くなっている。
少し、いや、ほんの少しだけ気になった俺は、門が見える窓から外を眺めていた。
なぜだか俺の後ろには、ほんわかとした雰囲気をまとったリースが立っている。
ん?
「なんだ、あれ」
向こうの空から何か物体が近付いてくる。小さくてよく見えなくて、俺は目をこすってもう一度窓の外をじぃーっと見た。
「馬の魔獣?」
驚きのあまり声が裏返ってしまった。リースが「えっ?」と言って、彼女も身を乗り出し窓の外を見た。
聖騎士たちがあれに乗って街を闊歩しているのは見たことあるけど、あれはおそらく巡回用や聖騎士団所属で個人が所有しているものではないはずだ。
「ああ、プリンですね」
「この屋敷で飼っているの?」
見たことなかったんだけど。
「いいえ、違いますよ。プリンは聖騎士団所有の従魔ですから。ですが時々、こちらの屋敷で預かったりもするんです。賢いいい子ですよ。あっ、降り立ちましたね」
なんだろ、ちょっと変な気分だ。
「さあルアン様、ウィルフレッド様をお迎えに参りましょう」
「ええ? 今日は別に……」
別にと言っているのに、リースは俺に手を差し出したままだ。
「…………」
引く気が一向にないようなので、仕方なく俺はリースの手を取った。きゅっと優しく温かい手のひらに握られて、俺は否応なくウィルを出迎えに行くことになってしまった。
リースは俺の手を引いたまま、玄関ホールを抜けて外に出た。そして屋敷裏手近くに連れて行かれる。そこでは、ウィルが獣魔の毛並みを整えていた。
「お帰りなさいませ、ウィルフレッド様。何か手伝えることはありませんか?」
「ただいま。いや、大丈夫だ。プリンの世話は私の仕事だ」
ウィルの言う通り、手つきが慣れている。じっと見ていたら、プリンと目が合った。
見たことがない奴がいると言いたげなその眼差しに、不覚だけどほんの少しビビった。だけどにらみ返すぐらいの気持ちでじっと視線を外さずにいると、プリンはほんの少し首を傾げた。そして主人の顔色を窺うように、ウィルの顔を見た。
「彼はルアンだ。少し前にこの屋敷にきた大切な家族だよ。仲良くしてやってくれ。で、こっちはプリン。私の相棒の従魔だ。とても賢いんだ。ルアンとも仲良くなれるんじゃないかな」
ニコニコと機嫌の良さそうなウィルを前に、俺とプリンは互いの距離感を図りかねていた。
少し、いや、ほんの少しだけ気になった俺は、門が見える窓から外を眺めていた。
なぜだか俺の後ろには、ほんわかとした雰囲気をまとったリースが立っている。
ん?
「なんだ、あれ」
向こうの空から何か物体が近付いてくる。小さくてよく見えなくて、俺は目をこすってもう一度窓の外をじぃーっと見た。
「馬の魔獣?」
驚きのあまり声が裏返ってしまった。リースが「えっ?」と言って、彼女も身を乗り出し窓の外を見た。
聖騎士たちがあれに乗って街を闊歩しているのは見たことあるけど、あれはおそらく巡回用や聖騎士団所属で個人が所有しているものではないはずだ。
「ああ、プリンですね」
「この屋敷で飼っているの?」
見たことなかったんだけど。
「いいえ、違いますよ。プリンは聖騎士団所有の従魔ですから。ですが時々、こちらの屋敷で預かったりもするんです。賢いいい子ですよ。あっ、降り立ちましたね」
なんだろ、ちょっと変な気分だ。
「さあルアン様、ウィルフレッド様をお迎えに参りましょう」
「ええ? 今日は別に……」
別にと言っているのに、リースは俺に手を差し出したままだ。
「…………」
引く気が一向にないようなので、仕方なく俺はリースの手を取った。きゅっと優しく温かい手のひらに握られて、俺は否応なくウィルを出迎えに行くことになってしまった。
リースは俺の手を引いたまま、玄関ホールを抜けて外に出た。そして屋敷裏手近くに連れて行かれる。そこでは、ウィルが獣魔の毛並みを整えていた。
「お帰りなさいませ、ウィルフレッド様。何か手伝えることはありませんか?」
「ただいま。いや、大丈夫だ。プリンの世話は私の仕事だ」
ウィルの言う通り、手つきが慣れている。じっと見ていたら、プリンと目が合った。
見たことがない奴がいると言いたげなその眼差しに、不覚だけどほんの少しビビった。だけどにらみ返すぐらいの気持ちでじっと視線を外さずにいると、プリンはほんの少し首を傾げた。そして主人の顔色を窺うように、ウィルの顔を見た。
「彼はルアンだ。少し前にこの屋敷にきた大切な家族だよ。仲良くしてやってくれ。で、こっちはプリン。私の相棒の従魔だ。とても賢いんだ。ルアンとも仲良くなれるんじゃないかな」
ニコニコと機嫌の良さそうなウィルを前に、俺とプリンは互いの距離感を図りかねていた。
129
あなたにおすすめの小説
姉の忘れ形見を育てたいだけなのに、公爵閣下の執着が重いんですが!?~まっすぐ突き進み系令嬢の公爵家再建計画
及川えり
ファンタジー
突然届いた双子の姉からの手紙。
【これをあなたが読んでいるころにはわたしはもう死んでいることでしょう。わたしのことは探さないでね。双子を引き取ってもらえないかしら?】
姉の遺言通り双子を育てようと姉の嫁ぎ先へと突入する。
双子を顧みなかったという元夫のウィルバート公爵に何とか双子を引き取れるよう掛け合うが、話の流れからそのまま公爵家に滞在して双子を育てる羽目に。
だが、この公爵家、何かおかしい?
異常に気付いたハンナは公爵家に巣くう膿をとりのぞくべく、奮闘しはじめる。
一方ハンナを最初は適当にあしらっていたウィルバートだったが、ハンナの魅力に気付き始め……。
ハンナ・キャロライン・バーディナ 22歳
バーディナ伯爵家令嬢
✖️
ウィルバート・アドルファス・キングスフォード 26歳
キングスフォード公爵
ブックマーク登録、いいね❤️たくさんいただきありがとうございます。
感想もいただけたら嬉しいです。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
公爵家の伝統だと思っていたら、冷徹公爵様の溺愛でした
星乃和花
恋愛
(毎日21:30更新ー全8話)
家族にも周囲にもあまり顧みられず、
「私のことなんて、誰もそんなに気にしない」
と思って生きてきたリリアナ。
ある事情から、冷徹と噂されるヴァレントワ公爵家で働くことになった彼女は、
当主エドガーの細やかな気づかいに驚かされる。
温かいお茶、手袋、外出時のエスコート。
好みの食事までさりげなく用意されて――
けれど自己評価の低いリリアナは、それらすべてを
「これが公爵家の伝統……!」
「さすが名門のお作法……!」
と盛大に勘違い。
一方の冷徹公爵様は、そんな彼女にだけ少しずつ甘さをこぼし始めて……?
これは、
“この家の作法”だと思っていたら、
どうやら冷徹公爵様の溺愛だったらしい
やさしくて甘い勘違いラブコメです。
僕、天使に転生したようです!
神代天音
BL
トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。
天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~
Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。
うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。
でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。
上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。
——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる