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第三章
こっちが気にする
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それから夕飯を食べに部屋を出たのだけど、告白された後だけあって、ウィルに手を引かれて歩くのもなんだかすごく意識してしまっていた。
それなのにウィルのバカは俺のそんな気持ちも知らないで、いつも以上に構ってくるからやめてくれと思った。
「ん? このソーセージは、ルアンの口にはまだ大きいかもしれないから私がもうちょっと小さく切ってやろう」
「……このくらいは大丈夫だから」
「ルアン、ほっぺにパンくずがついてるぞ」
にゅっと手が伸びてくるからびっくりした。
人の顔に勝手に手を伸ばすな!
脈絡もなくかわいいなと言って、頭をなでるのもやめろ。
そんなウィルの様子にリースやマーサは最初、『また過保護になって』というように呆れた表情をしていたが、そのうち『しょうがないわね』というように、微笑ましいものを見るような表情に変わっていた。
ウィルのとろけるような視線を浴びるたびに、好きだと言われたことを思い出して顔は熱くなるし手に変な汗はかくし……
なんなんだよ。どぎまぎしてるのは俺だけかよ。
食事を終えてウィルに抱っこされて部屋に戻る時も、生温かい視線を感じていたたまれなかった。
「……リース達に変に思われるぞ」
俺の文句に、ウィルは俺をベッドの上に座らせながら、えっ?と少し驚いた表情を見せた。
「なんだ、そんなこと気にしてたのか。大丈夫だよ。私の君への溺愛ぶりが、増したと思われるだけだ」
「気にするなって……」
眉を顰める俺を見ながら、ウィルはほほ笑んだ。
「君への思いを隠すつもりはないよ。ただ今の状況では、君がイアンだということを言うわけにはいかないから……しばらくはしょうがないけどな」
生真面目で誠実なウィルならそう言いそうだと思ったけれど、これはさすがに俺の方が心配になった。
「お前、両親は健在なんだろ? そんなこと言って大丈夫なのか? 政略結婚とか、爵位に見合った令嬢との結婚とか考えなくてもいいのか?」
こっちは真面目に気にして聞いているのに、ウィルは一瞬目を丸くして、それから顔をほころばせた。
「……心配してくれるんだな」
「は? 当たり前だろ。ウィルが気にしなさすぎなんだよ。っていうか、何も考えてないだろ」
心底呆れて睨むと、ウィルはさらに嬉しそうな表情になって俺の手を握った。
「前にも言ったと思うが私は嫡男ではないから後を継ぐ義務はないんだ。ちゃんと独立して生きていければそれでいい。誰も文句なんか言わないよ。それにうちの家族は、偏見はないからな」
「偏見ないって……」
ウィルの言葉に嘘はないかもしれないけど、それでも俺が闇の魔術士と言われているようなやつだと分かれば話は別だろう。
「本当に大丈夫なんだよ。――私が大丈夫にしてみせるから」
真剣な表情でそう言われても俺はうなずくことができなかった。だって、それが途方もないことだと……俺のほうがわかっているから。
それなのにウィルのバカは俺のそんな気持ちも知らないで、いつも以上に構ってくるからやめてくれと思った。
「ん? このソーセージは、ルアンの口にはまだ大きいかもしれないから私がもうちょっと小さく切ってやろう」
「……このくらいは大丈夫だから」
「ルアン、ほっぺにパンくずがついてるぞ」
にゅっと手が伸びてくるからびっくりした。
人の顔に勝手に手を伸ばすな!
脈絡もなくかわいいなと言って、頭をなでるのもやめろ。
そんなウィルの様子にリースやマーサは最初、『また過保護になって』というように呆れた表情をしていたが、そのうち『しょうがないわね』というように、微笑ましいものを見るような表情に変わっていた。
ウィルのとろけるような視線を浴びるたびに、好きだと言われたことを思い出して顔は熱くなるし手に変な汗はかくし……
なんなんだよ。どぎまぎしてるのは俺だけかよ。
食事を終えてウィルに抱っこされて部屋に戻る時も、生温かい視線を感じていたたまれなかった。
「……リース達に変に思われるぞ」
俺の文句に、ウィルは俺をベッドの上に座らせながら、えっ?と少し驚いた表情を見せた。
「なんだ、そんなこと気にしてたのか。大丈夫だよ。私の君への溺愛ぶりが、増したと思われるだけだ」
「気にするなって……」
眉を顰める俺を見ながら、ウィルはほほ笑んだ。
「君への思いを隠すつもりはないよ。ただ今の状況では、君がイアンだということを言うわけにはいかないから……しばらくはしょうがないけどな」
生真面目で誠実なウィルならそう言いそうだと思ったけれど、これはさすがに俺の方が心配になった。
「お前、両親は健在なんだろ? そんなこと言って大丈夫なのか? 政略結婚とか、爵位に見合った令嬢との結婚とか考えなくてもいいのか?」
こっちは真面目に気にして聞いているのに、ウィルは一瞬目を丸くして、それから顔をほころばせた。
「……心配してくれるんだな」
「は? 当たり前だろ。ウィルが気にしなさすぎなんだよ。っていうか、何も考えてないだろ」
心底呆れて睨むと、ウィルはさらに嬉しそうな表情になって俺の手を握った。
「前にも言ったと思うが私は嫡男ではないから後を継ぐ義務はないんだ。ちゃんと独立して生きていければそれでいい。誰も文句なんか言わないよ。それにうちの家族は、偏見はないからな」
「偏見ないって……」
ウィルの言葉に嘘はないかもしれないけど、それでも俺が闇の魔術士と言われているようなやつだと分かれば話は別だろう。
「本当に大丈夫なんだよ。――私が大丈夫にしてみせるから」
真剣な表情でそう言われても俺はうなずくことができなかった。だって、それが途方もないことだと……俺のほうがわかっているから。
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