上 下
54 / 80
第四章

腐男子の性なんだよ……

しおりを挟む
お昼休みは、いつものように学食へと向かった。今日は皆一斉に食堂へと向かうので、駿介へ挨拶をしたりチラチラと盗み見をする奴らが大勢いた。

あんまり気分の良いものじゃないけどな。……ん?

大勢の中に隠れるように、二人の世界に入っている奴らがいる!
背の高い方が、低い奴のお尻をこっそり揉んでいるぞっ! 揉まれている方はプルプル震えて、目を潤ませている!

ふひゃーっ!
さすがBL小説の世界! そこかしこに萌えが転がっている。

……っと、いけない。
駿介といる時は、控えるって決めたんだ。

吸いついて離れようとしない俺の両眼を力業で引き離し、後ろ髪を引かれながらも前を向いた。

ごった返す食堂に着いて、メニューを見ながら良介が聞いた。

「何食う?」
「やっぱり今日はこれだろ?」

そう言って青島が、トンカツを選んだ。

「お、それいいな。じゃあ、俺は ――」

駿介が選んだのはカツカレーだった。これにはミニサラダが付いている。
……どちらも有りだな。
迷った時は――。

「じゃあ俺は駿介と一緒」
「仲良しさんだな。迷った時は駿介頼みか?」
「いいだろー? 別に」

本当に青島は、歯に衣着せない奴だよな。

「良介何にする?」
「そうだなあ」

剥れる俺の横から、ちょっぴり甘えた感じの樹の可愛い声が聞こえて来た。
チラリと後を窺うと、二人がピッタリくっついてメニューを見あっている。さりげなく樹の腰に回された手もさることながら、ちゃっかりと甘えてもたれ掛かる樹が可愛い。

ひゃあーっ♪

思わず興奮して駿介の腕を握った。

「何だ、どうした?」

ハッ! ヤバッ!

「な、何でもないよ。……そう、その、ちょっと牽制を……」
「ええっ?」
「え……、だって皆駿介に絡みたがってんじゃん」
「――――」
「……何?」
「……いや、ちょっとまあ、嬉しかっただけだ」
「…………」

ほんのちょっぴり罪悪感。
まるっきり嘘とは言わないけれど、やっぱりどうしても男同士がイチャイチャしてたら、駿介がたとえ傍にいてもそいつらの方が俺は気になっちゃうんだ。

抑えなきゃ、抑えなきゃと思えば思う程、俺の覗き見欲求は膨らんでいた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

最狂公爵閣下のお気に入り

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,242pt お気に入り:10,100

女學生のお嬢さまはヤクザに溺愛され、困惑しています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:686

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,172pt お気に入り:33

ロイヤルブラッド

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,303pt お気に入り:44

処理中です...