7 / 57
もう次の婚活?
しおりを挟む
どういうことなのだろう。
だいたいはやっぱり同じようにことが進んでいるみたいなんだけど、ぼくが前回と違う動きをしているせいなのか記憶と少しずれていることがあるみたいだ。
それはルークが婚約相手の選定を先延ばしにしたことだけではなく、ぼくに関わる些細なことでもそうだった。
「明日ハロルドが王宮近衛騎士団の特別稽古に参加するんだが、お前も行ってきなさい」
「えっ? ぼくが?」
なんで?と目をぱちくりとさせた。前回そんな話はなかったはずだ。
それにその特別稽古って本当に特別で、未来の騎士団に入れそうな将来性のある伯爵家以上の令息が受けさせてもらえるところのはずだ。とてもじゃないけどぼくみたいなひ弱な令息が行く所なんかじゃない。あからさまに断られはしないだろうけど、たぶんかなり困惑される。
「驚くのも無理はないが、まあ行ってきなさい。剣術を習っていて損はない。いずれ通うハイスランド学園でも剣術の授業はあったはずだから」
「それは、そうですけど」
それでもやはり解せなかった。
同性婚が当たり前な世の中ということもあるのかもしれないけど、男性だから女性だからといった形で進路や就職が決まったりはしない。それぞれの個性に合わせて女性でも剣術の世界に入りたければ入ることもできるし、男性でもそれが苦手なら別のたくさんの道から選ぶことができる。
だから僕のように華奢で、ひ弱で、剣術がそれほどしたいと思わないようなやつが、そんな特別な稽古に呼ばれるなんて考えにくかった。
渋るぼくを見て、ハロルドお兄様も口を出した。
「そんな顔してないで一緒に行こうよ。もしかしたら楽しいと思えるかもしれないだろ? それに優しい騎士様が丁寧に教えてくれるよ。アーネストも来るしさ」
「アーネストに会えるのは確かに嬉しいけど……。彼はもともと騎士団希望ですよね? ぼくみたいなひ弱じゃないですもん」
「ひ弱というよりは適正だろ? ノエルは水魔法と土魔法が使えて薬草や癒しの花を育てることが得意じゃないか。それもしっかり社会の役に立つ。それに――」
「それに?」
「そういうノエルには魔法だけでなく、剣術にも長けたたくましい相手がお似合いだろうなあって思うんだよね。いい出会いがあると思わないかい?」
「えーっ、神聖な稽古場をそんな場に使っていいんですか?」
「公然の秘密だよ」
「ええっ?」
「あんまり許されたことではないってことは確かなんだろうけど、それでも将来有望な騎士を育てるきっかけになれば良いって、大目に見ているフシはあるよね。何がどう転ぶかわからないから、少しぐらいのことには目をつぶろうってことなんじゃないの? そうですよね、父上?」
「まあ、そういうことだ」
ってことは何? こないだの茶会でぼくが候補に上がらなかったことを落胆してるって父上は思ったってこと? それで配慮を申し出たの?
親バカすぎる。
うーんとうなっていると、お兄様が横から覗き込んできて行こうよ、行こうよとニコニコと誘う。
「……分かりました。明日はぼくもできるだけ、剣術が身につくように頑張ってきます」
「ああ。そうしなさい」
父上は満足そうにうなずいた。
だいたいはやっぱり同じようにことが進んでいるみたいなんだけど、ぼくが前回と違う動きをしているせいなのか記憶と少しずれていることがあるみたいだ。
それはルークが婚約相手の選定を先延ばしにしたことだけではなく、ぼくに関わる些細なことでもそうだった。
「明日ハロルドが王宮近衛騎士団の特別稽古に参加するんだが、お前も行ってきなさい」
「えっ? ぼくが?」
なんで?と目をぱちくりとさせた。前回そんな話はなかったはずだ。
それにその特別稽古って本当に特別で、未来の騎士団に入れそうな将来性のある伯爵家以上の令息が受けさせてもらえるところのはずだ。とてもじゃないけどぼくみたいなひ弱な令息が行く所なんかじゃない。あからさまに断られはしないだろうけど、たぶんかなり困惑される。
「驚くのも無理はないが、まあ行ってきなさい。剣術を習っていて損はない。いずれ通うハイスランド学園でも剣術の授業はあったはずだから」
「それは、そうですけど」
それでもやはり解せなかった。
同性婚が当たり前な世の中ということもあるのかもしれないけど、男性だから女性だからといった形で進路や就職が決まったりはしない。それぞれの個性に合わせて女性でも剣術の世界に入りたければ入ることもできるし、男性でもそれが苦手なら別のたくさんの道から選ぶことができる。
だから僕のように華奢で、ひ弱で、剣術がそれほどしたいと思わないようなやつが、そんな特別な稽古に呼ばれるなんて考えにくかった。
渋るぼくを見て、ハロルドお兄様も口を出した。
「そんな顔してないで一緒に行こうよ。もしかしたら楽しいと思えるかもしれないだろ? それに優しい騎士様が丁寧に教えてくれるよ。アーネストも来るしさ」
「アーネストに会えるのは確かに嬉しいけど……。彼はもともと騎士団希望ですよね? ぼくみたいなひ弱じゃないですもん」
「ひ弱というよりは適正だろ? ノエルは水魔法と土魔法が使えて薬草や癒しの花を育てることが得意じゃないか。それもしっかり社会の役に立つ。それに――」
「それに?」
「そういうノエルには魔法だけでなく、剣術にも長けたたくましい相手がお似合いだろうなあって思うんだよね。いい出会いがあると思わないかい?」
「えーっ、神聖な稽古場をそんな場に使っていいんですか?」
「公然の秘密だよ」
「ええっ?」
「あんまり許されたことではないってことは確かなんだろうけど、それでも将来有望な騎士を育てるきっかけになれば良いって、大目に見ているフシはあるよね。何がどう転ぶかわからないから、少しぐらいのことには目をつぶろうってことなんじゃないの? そうですよね、父上?」
「まあ、そういうことだ」
ってことは何? こないだの茶会でぼくが候補に上がらなかったことを落胆してるって父上は思ったってこと? それで配慮を申し出たの?
親バカすぎる。
うーんとうなっていると、お兄様が横から覗き込んできて行こうよ、行こうよとニコニコと誘う。
「……分かりました。明日はぼくもできるだけ、剣術が身につくように頑張ってきます」
「ああ。そうしなさい」
父上は満足そうにうなずいた。
2,296
あなたにおすすめの小説
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい
雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。
延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。
竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。
男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。
家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。
前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。
前世の記憶チートで優秀なことも。
だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。
愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる