45 / 57
ジョーンズ様ーーー!
しおりを挟む
「え……?」
ルークの表情はさっきから混乱したままだった。青白い顔でジョーンズ様を見る。
「君の愛情が確かなものだったから、中途半端とは言え呪いが解除されノエルが助かったんだと思う。そうでなければ説明のつかないぐらい中途半端な呪いだろう?」
「そうですよね。しつこく5回も嫌な思いをさせるループをさせたにもかかわらず、サラに取って現在は何も面白い状況じゃない」
ジョーンズ様の言葉にカーギル先生もうんうんと頷く。
「だけど僕はノエルに酷いことをしてたんですよね。婚約破棄だなんて……」
俯くルークの肩に、ジョーンズ様がなだめるように手を置いた。
「ノエルを5回もループさせるような闇魔術の持ち主だ。君に掛けられた魅了の魔法もきっとかなり強いものだったに違いない。そんなに自分を責めるな」
「ジョーンズ様……。ノエル、僕のことを許してくれる?」
潤んだ瞳でルークがぼくを見た。自分が知らないうちにしたことを飲み込めずにいるだろうに、それでもぼくの言葉を信じてくれてショックに打ち震えている。
「……はい」
愛しいと思った。
辛くて悲しくて、恨まなかったと言えば嘘になるけれど。
だけどぼくを救ってくれたのはルークの真摯な愛情だったんだ。
「ぼくを助けてくれたのはルーク様だったんですね。ありがとうございました」
「そんなの、お礼を言われるようなことじゃないよ。それよりも何よりも、僕が君を傷つけていただなんて……」
「それは、もう……。ルーク様の意志ではなかったってわかりましたから」
「ノエル……」
ルークがぼくの背中に腕を回した。ゆっくりと遠慮がちに抱きしめる。ぼくも同じようにルークをそっと抱きしめたら、ピクッと一瞬ルークの体が揺れ、強い力で抱きしめられた。
やっと、やっと本当の意味で、ルークと心が通いあったような気がした。
「よかったです、よかったですね。ノエル様、ルーク様。これでもう2人は、ずっとキリンスに守られて一緒なんですね」
アーネストの言葉にみんな感極まった。お兄様やクリス達も目を潤ませて微笑んでいる。
「いや、キリンスに人の気持ちを制御する力なんてないぞ? どちらかが普通に心変わりしたら、それまでだ」
は?
「キリンスにあるのはさっきも言った通り、魔法や呪い除けだ。誰かが普通にアプローチをしかけてきて、それにほだされて別の人を好きになったら、それで終わりだ」
「えええーーーっ!」
ルークが素っ頓狂な声を上げた。
ぼくも驚いたよ!
てか、ジョーンズ様、こんな場面で言うなんて情緒なさすぎ!
ルークの表情はさっきから混乱したままだった。青白い顔でジョーンズ様を見る。
「君の愛情が確かなものだったから、中途半端とは言え呪いが解除されノエルが助かったんだと思う。そうでなければ説明のつかないぐらい中途半端な呪いだろう?」
「そうですよね。しつこく5回も嫌な思いをさせるループをさせたにもかかわらず、サラに取って現在は何も面白い状況じゃない」
ジョーンズ様の言葉にカーギル先生もうんうんと頷く。
「だけど僕はノエルに酷いことをしてたんですよね。婚約破棄だなんて……」
俯くルークの肩に、ジョーンズ様がなだめるように手を置いた。
「ノエルを5回もループさせるような闇魔術の持ち主だ。君に掛けられた魅了の魔法もきっとかなり強いものだったに違いない。そんなに自分を責めるな」
「ジョーンズ様……。ノエル、僕のことを許してくれる?」
潤んだ瞳でルークがぼくを見た。自分が知らないうちにしたことを飲み込めずにいるだろうに、それでもぼくの言葉を信じてくれてショックに打ち震えている。
「……はい」
愛しいと思った。
辛くて悲しくて、恨まなかったと言えば嘘になるけれど。
だけどぼくを救ってくれたのはルークの真摯な愛情だったんだ。
「ぼくを助けてくれたのはルーク様だったんですね。ありがとうございました」
「そんなの、お礼を言われるようなことじゃないよ。それよりも何よりも、僕が君を傷つけていただなんて……」
「それは、もう……。ルーク様の意志ではなかったってわかりましたから」
「ノエル……」
ルークがぼくの背中に腕を回した。ゆっくりと遠慮がちに抱きしめる。ぼくも同じようにルークをそっと抱きしめたら、ピクッと一瞬ルークの体が揺れ、強い力で抱きしめられた。
やっと、やっと本当の意味で、ルークと心が通いあったような気がした。
「よかったです、よかったですね。ノエル様、ルーク様。これでもう2人は、ずっとキリンスに守られて一緒なんですね」
アーネストの言葉にみんな感極まった。お兄様やクリス達も目を潤ませて微笑んでいる。
「いや、キリンスに人の気持ちを制御する力なんてないぞ? どちらかが普通に心変わりしたら、それまでだ」
は?
「キリンスにあるのはさっきも言った通り、魔法や呪い除けだ。誰かが普通にアプローチをしかけてきて、それにほだされて別の人を好きになったら、それで終わりだ」
「えええーーーっ!」
ルークが素っ頓狂な声を上げた。
ぼくも驚いたよ!
てか、ジョーンズ様、こんな場面で言うなんて情緒なさすぎ!
1,942
あなたにおすすめの小説
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい
雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。
延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。
やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!
【完結】自称ヒロイン役を完遂した王家の影ですが、断罪パーティーをクリアした後に王太子がぐいぐい来ます。
竜鳴躍
BL
優秀過ぎる王太子×王家の影(失業)。
白い肌に黒髪黒瞳。小柄な体格で――そして両性具有。不出来な体ゆえ実の親に捨てられ、現在はその容姿を含め能力を買われて王家の影をしていたスノウ=ホワイト。男爵令嬢として王太子にハニトラを仕掛け、婚約者を悪役令嬢に仕向けて王太子への最終試験をしていたのだが、王太子は見事その試練を乗り越えた。これでお役御免。学園を退学して通常勤務に戻ろう――――――。
そう思っていたのに、婚約者と婚約解消した王太子がぐいぐい来ます!
王太子が身バレさせたせいで王家の影としてやっていけなくなり、『男子生徒』として学園に通うスノウとそんなスノウを妃にしたくてつきまとう王太子ジョエルの物語。
☆本編終了後にいちゃいちゃと別カップル話続きます。
☆エンディングはお兄ちゃんのおまけ+2ルートです。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
聖女の力を搾取される偽物の侯爵令息は本物でした。隠された王子と僕は幸せになります!もうお父様なんて知りません!
竜鳴躍
BL
密かに匿われていた王子×偽物として迫害され『聖女』の力を搾取されてきた侯爵令息。
侯爵令息リリー=ホワイトは、真っ白な髪と白い肌、赤い目の美しい天使のような少年で、類まれなる癒しの力を持っている。温和な父と厳しくも優しい女侯爵の母、そして母が養子にと引き取ってきた凛々しい少年、チャーリーと4人で幸せに暮らしていた。
母が亡くなるまでは。
母が亡くなると、父は二人を血の繋がらない子として閉じ込め、使用人のように扱い始めた。
すぐに父の愛人が後妻となり娘を連れて現れ、我が物顔に侯爵家で暮らし始め、リリーの力を娘の力と偽って娘は王子の婚約者に登り詰める。
実は隣国の王子だったチャーリーを助けるために侯爵家に忍び込んでいた騎士に助けられ、二人は家から逃げて隣国へ…。
2人の幸せの始まりであり、侯爵家にいた者たちの破滅の始まりだった。
婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後
結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。
※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。
全5話完結。予約更新します。
【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。
竜鳴躍
BL
同性でも子を成せるようになった世界。ソルト=ペッパーは公爵家の3男で、王宮務めの文官だ。他の兄弟はそれなりに高級官吏になっているが、ソルトは昔からこまごまとした仕事が好きで、下級貴族に混じって働いている。机で物を書いたり、何かを作ったり、仕事や趣味に没頭するあまり、物心がついてからは身だしなみもおざなりになった。だが、本当はソルトはものすごく美しかったのだ。
自分に無頓着な美人と彼に恋する王子と騎士の話。
番外編はおまけです。
特に番外編2はある意味蛇足です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる