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俺に触れて?
新たな火種
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「ところでさ、これ見ろよ」
礼人がスマホをささっといじったかと思うと、ずいっと俺らの前に差し出した。
2人でディスプレイを覗いてみると、そこには旅行用の宿探しアプリ。
「ええっと、セミダブルで朝食付き一泊で一人当たり2,000円? ダブルだと3,800円…?」
「そ。昨日はダブルだと安いよなって話だったんだけど、調べてみたらセミダブルだともっと安いんだよ。俺はシングルだからしょうがないけど、みんなセミダブルに泊まれば結構安く上がるだろ?」
「…でも、男同士でセミダブルってきつくないか? 恥ずかしいだろ」
「あ~? 何言ってんだよ。俺ら高校生だぜ? 金がねーから安いのに我慢して泊まるで、それでいいじゃん。考えすぎんなよ」
「大部屋って手があるだろ」
すかさず、口を挟む陸に、礼人がニッと嫌味っぽく笑う。
「残念でした。このホテルには大部屋はありません。ツインが最大だよ」
「ああ?」
「…ホントだ。でもここ、一番安いとこだね。他だともっと高いよ」
「そ。でも口コミ見る限りでは結構評判悪くなさそうだし、ここでいいんじゃね? まあ、要さんたちはガタイがいいからせいぜいダブルだろうけどさ。シロ達ならセミダブルで十分だろ、考えてみろよ」
弁当を食べ終わった礼人が弁当箱を包み、スマホを回収する。
「じゃあな」と、教室を出ていく礼人を見送った後、陸をチラッと伺う。
だけど陸は相変わらずの無表情で、今、陸が本当は何を考えているのか、彼の心の中を覗き見ることは出来なかった。
「よう」
突然ドカッと、さっきまで礼人が座っていた席に竹下が座り込んできた。
陸も俺も食べ終わっていたので、席を立とうとしているところだったんだけど…。
「行こうぜ、水」
他人に遠慮することを知らない陸は、俺と違ってこういう時、ちっとも躊躇したりしない。
それどころか催促するように立ち上がり、俺を促す。
「おい、おい。ちょっとは気ぃ遣えよな。目の保養くらいさせろよ」
「…へ? 目の保養って…」
そう言いながら俺の方を真っ直ぐ見る竹下にきょとんとする。隣では陸が、凄い顔で竹下の事を睨みつけていた。
…ああ、そういう事か。陸の事揶揄ってるんだな…。しょーもない。
「あのね、竹下。陸を揶揄って怒らせるのもいい加減に…」
「はあ!? 何でわざわざ俺が黒田を揶揄わなきゃいけないんだよ。美人なシロを間近で見て、ドキドキしたいんじゃん」
「は……?」
あまりにも突拍子もないことを、それこそ真剣な顔をして言うものだから二の句が継げない。
ドキドキ…? 俺を見てドキドキ?
ナニイッテンノコイツ。
ゴフッ。
「でっ!!」
あっけにとられて呆然としていたら、陸が弁当箱を竹下の顔面にたたきつけていた。
これは痛い…。
「てめー! マジでいい加減にしろよっ!」
「お前こそいい加減にしろよな。水に変な真似しやがったらタダじゃおかないからな」
「ちょっと、陸」
一触即発な雰囲気を感じた俺は、仲裁しなきゃと立ち上がろうとした。だけどそんな俺の目の前に、陸が立ちふさがった。
「下がってろ。こんな奴を喜ばせるな」
有無を言わさぬ陸の声音に、俺はおとなしく腰かけなおす。頭上では、竹下と陸が火花を散らせていた。
「何度も言うけどな」
「言わなくて結構。俺は黒田の言う事なんて、聞く気はないから。それよりシロ」
竹下が俺に話しかけてきたが、顔は見えない。陸はそのまま俺の前に立ちふさがったままだから。
だけどそれにも構わずに、竹下は言葉は続ける。
「俺はシロ、お前の事が好きだから。あきらめる気はないからな」
とんでもない言葉が、竹下の口からこぼれ出た。
礼人がスマホをささっといじったかと思うと、ずいっと俺らの前に差し出した。
2人でディスプレイを覗いてみると、そこには旅行用の宿探しアプリ。
「ええっと、セミダブルで朝食付き一泊で一人当たり2,000円? ダブルだと3,800円…?」
「そ。昨日はダブルだと安いよなって話だったんだけど、調べてみたらセミダブルだともっと安いんだよ。俺はシングルだからしょうがないけど、みんなセミダブルに泊まれば結構安く上がるだろ?」
「…でも、男同士でセミダブルってきつくないか? 恥ずかしいだろ」
「あ~? 何言ってんだよ。俺ら高校生だぜ? 金がねーから安いのに我慢して泊まるで、それでいいじゃん。考えすぎんなよ」
「大部屋って手があるだろ」
すかさず、口を挟む陸に、礼人がニッと嫌味っぽく笑う。
「残念でした。このホテルには大部屋はありません。ツインが最大だよ」
「ああ?」
「…ホントだ。でもここ、一番安いとこだね。他だともっと高いよ」
「そ。でも口コミ見る限りでは結構評判悪くなさそうだし、ここでいいんじゃね? まあ、要さんたちはガタイがいいからせいぜいダブルだろうけどさ。シロ達ならセミダブルで十分だろ、考えてみろよ」
弁当を食べ終わった礼人が弁当箱を包み、スマホを回収する。
「じゃあな」と、教室を出ていく礼人を見送った後、陸をチラッと伺う。
だけど陸は相変わらずの無表情で、今、陸が本当は何を考えているのか、彼の心の中を覗き見ることは出来なかった。
「よう」
突然ドカッと、さっきまで礼人が座っていた席に竹下が座り込んできた。
陸も俺も食べ終わっていたので、席を立とうとしているところだったんだけど…。
「行こうぜ、水」
他人に遠慮することを知らない陸は、俺と違ってこういう時、ちっとも躊躇したりしない。
それどころか催促するように立ち上がり、俺を促す。
「おい、おい。ちょっとは気ぃ遣えよな。目の保養くらいさせろよ」
「…へ? 目の保養って…」
そう言いながら俺の方を真っ直ぐ見る竹下にきょとんとする。隣では陸が、凄い顔で竹下の事を睨みつけていた。
…ああ、そういう事か。陸の事揶揄ってるんだな…。しょーもない。
「あのね、竹下。陸を揶揄って怒らせるのもいい加減に…」
「はあ!? 何でわざわざ俺が黒田を揶揄わなきゃいけないんだよ。美人なシロを間近で見て、ドキドキしたいんじゃん」
「は……?」
あまりにも突拍子もないことを、それこそ真剣な顔をして言うものだから二の句が継げない。
ドキドキ…? 俺を見てドキドキ?
ナニイッテンノコイツ。
ゴフッ。
「でっ!!」
あっけにとられて呆然としていたら、陸が弁当箱を竹下の顔面にたたきつけていた。
これは痛い…。
「てめー! マジでいい加減にしろよっ!」
「お前こそいい加減にしろよな。水に変な真似しやがったらタダじゃおかないからな」
「ちょっと、陸」
一触即発な雰囲気を感じた俺は、仲裁しなきゃと立ち上がろうとした。だけどそんな俺の目の前に、陸が立ちふさがった。
「下がってろ。こんな奴を喜ばせるな」
有無を言わさぬ陸の声音に、俺はおとなしく腰かけなおす。頭上では、竹下と陸が火花を散らせていた。
「何度も言うけどな」
「言わなくて結構。俺は黒田の言う事なんて、聞く気はないから。それよりシロ」
竹下が俺に話しかけてきたが、顔は見えない。陸はそのまま俺の前に立ちふさがったままだから。
だけどそれにも構わずに、竹下は言葉は続ける。
「俺はシロ、お前の事が好きだから。あきらめる気はないからな」
とんでもない言葉が、竹下の口からこぼれ出た。
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