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044-050 最低な男は絶望の末に思い知る
050 俺はこの瞬間を忘れない
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生前、難なく活躍してくれた俺の相棒が、どういう分けかうんともすんとも反応してくれない。これが老化だって言うなら俺は苦しいが受け入れる。だが、今は異世界転生初年だ。まだまだ俺には色んな欲望がある。
「そりゃあそうだろ。命の次に大事なもんだ」
レイゼドールは良い奴だ。俺の粗末な悩みにも真摯に向き合ってくれるし、そう寄り添ってくれるのはありがたい。
「お前がレイゼドールで良かったよ」
「んだよ。今さら拝もうってか?」
怪訝なレイゼドールだったが「ま、いいけどよ」と、真っ白な歯を見せて笑った。
なんて慈悲深いんだ。俺はこいつが神様で間違いないと思った。
日本には色んな神様がいる。おっぱいの神様がいるくらいなんだから、男に寄り添う神様がいたって良い。
「ちょ、おい。泣くことないだろう!?」
なんでか俺の視界がゆらゆら揺れていた。
「レイゼドールがまだ成していないなら、俺はティッシュペーパーを作ろうかな」彼のおかげで、そんなバカなことを言って俺は笑えていた。これだけでも神様のご利益は頂けていると実感できる。
女騎士とはその後、朝食で再会した。彼女も彼女で思うことがある。それでもこうして朝食を三人分用意して待っていてくれている。
「女騎士。今さらなんだが、名前を聞いて良いか?」
女騎士は頷いた。そして「フィーカって呼ばれてる」と言う。本名はここでも、とてつもなく長いから、そんな風に教えてくれたんだ。
俺は朝食に手を付ける前、まずは彼女に頭を下げた。いいや、それじゃ足りないから、ここで土下座をした。
「な、なんのポーズ!?」
「生前で暮らしていた国で、もっとも謝罪の気持ちを表す姿勢だ」
腐葉土のぬかるみでも気にせず、俺はひたいを地面に擦り付けた。
「フィーカ、ごめん!! 昨日の晩のこと。本当にごめん!!」
滑稽な男の姿に嘲笑って頭を蹴ってくれて良い。でも、フィーカがそんなことをする奴だなんて俺だって思ってなんかない。
「……良いわよ。頭を上げて」
彼女が俺の前にやって来てしゃがむ。「顔を上げてよ」と再度言われ、恐る恐る俺は見上げた。
鎧を身に付けたフィーカはニコニコと笑っていて、俺のひたいに付いた泥や葉っぱを払い除けている。そして笑顔のままで言った。
「あなたの国のそのポーズ。格好悪いわね」
その後も大いに笑われた。
両手も両膝もひたいも泥まみれにしたことを、俺はずいぶんと長いことフィーカに笑われていた。
俺はなんだかんだで、ここに二人が居てくれて良かったなと思える。だから俺も一緒に笑っていられるんだな。
それが仲間ってことなのか。気付くのが遅かったかもしれない。
真夏の日差しを森の木々が木漏れ日に変える。テーブルの上に三人の話題は尽きず、これから始める旅の話をたくさんしていた。
「そりゃあそうだろ。命の次に大事なもんだ」
レイゼドールは良い奴だ。俺の粗末な悩みにも真摯に向き合ってくれるし、そう寄り添ってくれるのはありがたい。
「お前がレイゼドールで良かったよ」
「んだよ。今さら拝もうってか?」
怪訝なレイゼドールだったが「ま、いいけどよ」と、真っ白な歯を見せて笑った。
なんて慈悲深いんだ。俺はこいつが神様で間違いないと思った。
日本には色んな神様がいる。おっぱいの神様がいるくらいなんだから、男に寄り添う神様がいたって良い。
「ちょ、おい。泣くことないだろう!?」
なんでか俺の視界がゆらゆら揺れていた。
「レイゼドールがまだ成していないなら、俺はティッシュペーパーを作ろうかな」彼のおかげで、そんなバカなことを言って俺は笑えていた。これだけでも神様のご利益は頂けていると実感できる。
女騎士とはその後、朝食で再会した。彼女も彼女で思うことがある。それでもこうして朝食を三人分用意して待っていてくれている。
「女騎士。今さらなんだが、名前を聞いて良いか?」
女騎士は頷いた。そして「フィーカって呼ばれてる」と言う。本名はここでも、とてつもなく長いから、そんな風に教えてくれたんだ。
俺は朝食に手を付ける前、まずは彼女に頭を下げた。いいや、それじゃ足りないから、ここで土下座をした。
「な、なんのポーズ!?」
「生前で暮らしていた国で、もっとも謝罪の気持ちを表す姿勢だ」
腐葉土のぬかるみでも気にせず、俺はひたいを地面に擦り付けた。
「フィーカ、ごめん!! 昨日の晩のこと。本当にごめん!!」
滑稽な男の姿に嘲笑って頭を蹴ってくれて良い。でも、フィーカがそんなことをする奴だなんて俺だって思ってなんかない。
「……良いわよ。頭を上げて」
彼女が俺の前にやって来てしゃがむ。「顔を上げてよ」と再度言われ、恐る恐る俺は見上げた。
鎧を身に付けたフィーカはニコニコと笑っていて、俺のひたいに付いた泥や葉っぱを払い除けている。そして笑顔のままで言った。
「あなたの国のそのポーズ。格好悪いわね」
その後も大いに笑われた。
両手も両膝もひたいも泥まみれにしたことを、俺はずいぶんと長いことフィーカに笑われていた。
俺はなんだかんだで、ここに二人が居てくれて良かったなと思える。だから俺も一緒に笑っていられるんだな。
それが仲間ってことなのか。気付くのが遅かったかもしれない。
真夏の日差しを森の木々が木漏れ日に変える。テーブルの上に三人の話題は尽きず、これから始める旅の話をたくさんしていた。
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