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098-100 エピローグ「天罰を下す」
098 俺に未練はない
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目を開けると俺は突っ立っていた。そこは俗に言う、現世と異世界の架け橋的な場面として名高い場所。
真っ白な世界である。柱はあるが天井は見えなく、足元は雲のような白いもやに覆われた白床。
「グレイ……なんだっけ」
「グレイアジルノーツ様じゃ」
「ややこしい名前付けんなよ。コピペ必須だな。めんど」
「うるさいわい!!」
俺と女神は、初めて出会った時と全く同じ会話を繰り返した。しかし俺の方は最初の時と違って感傷的になっているので、すっと涙が出た。
愛の女神グレイアジルノーツは椅子の上に胡座をかいて座っており、食べかけのジャイ◯ントコーンを「食うか?」と言って見せびらかす。
「……食う」
「食うのかよ」
神はデカい溜め息をついたが、指先でぴゅんぴゅん操作するだけで開封前のガリ◯リ君を出せる。
「これしかなかった」
俺は静かに受け取って食べた。アイスクリームの口だったのに、なんだかシャリシャリしたものを食っていることに後から気付いて、なんか元気が出た。
「女神の要望は全部叶えたぞ。俺の願いを聞いてくれるんだろう?」
「もちろんじゃ。聞いてやるとも。お前の心臓はちゃんと真陽の中で動けるぞ」
よかった。ドナーの俺が先にくたばってたら、本当に俺が生きてきた意味がなくなるところだった。
「ありがとうな」
「うえぇ。キモーい」
アイスで白色にさせた舌を人に見せる方がキモいだろ。汚の神に転職しろ。女神は俺の心の声を読み取って来ないので、ただただジャイ◯ントコーンを平らげるだけである。
咀嚼を続けながら「でも」から話を始めた女神だ。話題は俺の今後のこと。
「お前は寿命が尽きるぞ。新しい人生がやりたいなら、少しは地球の神と口を利いてやっても良い。今度は100年時代を無事に過ごせるように、怪我なし病気なしのチート人生にしてやろうか。嬉しかろう」
チート人生……。本来なら確定で大富豪になれる事とかをチート人生って呼べるんだろうけど。俺には確かに指を咥えてしまう案件だ。……いや、でも。
「やめとく。地球の神には、石ころとかその辺の草にするよう言ってくれ」
久しぶりに食べるガリ◯リ君は美味い。最後のところはちょっとしたコツを掴んでいれば上手く食べられる。
そして、意味深に当たりが……出ない。
もう人生で高望みをするのは疲れた。異世界なんか濃すぎて二十年過ごした感覚だし。俺は十分楽しかったんだ。
俺がひとりで力無く笑っていたら、女神は大あくびをしつつ浮遊してベッドに移った。神が横になったらベッドが自ら現れる。それが神の生きる世界だ。そこだけ羨ましいわ。
「転生者。ひとつ忘れていないか?」
ごろ寝の女神は怪訝な声で言った。
「お前は我に貸しがあるはずだろう」
「貸し?」
あー……そういえば……。
「いや、無い」
「あるだろ!?」
真っ白な世界である。柱はあるが天井は見えなく、足元は雲のような白いもやに覆われた白床。
「グレイ……なんだっけ」
「グレイアジルノーツ様じゃ」
「ややこしい名前付けんなよ。コピペ必須だな。めんど」
「うるさいわい!!」
俺と女神は、初めて出会った時と全く同じ会話を繰り返した。しかし俺の方は最初の時と違って感傷的になっているので、すっと涙が出た。
愛の女神グレイアジルノーツは椅子の上に胡座をかいて座っており、食べかけのジャイ◯ントコーンを「食うか?」と言って見せびらかす。
「……食う」
「食うのかよ」
神はデカい溜め息をついたが、指先でぴゅんぴゅん操作するだけで開封前のガリ◯リ君を出せる。
「これしかなかった」
俺は静かに受け取って食べた。アイスクリームの口だったのに、なんだかシャリシャリしたものを食っていることに後から気付いて、なんか元気が出た。
「女神の要望は全部叶えたぞ。俺の願いを聞いてくれるんだろう?」
「もちろんじゃ。聞いてやるとも。お前の心臓はちゃんと真陽の中で動けるぞ」
よかった。ドナーの俺が先にくたばってたら、本当に俺が生きてきた意味がなくなるところだった。
「ありがとうな」
「うえぇ。キモーい」
アイスで白色にさせた舌を人に見せる方がキモいだろ。汚の神に転職しろ。女神は俺の心の声を読み取って来ないので、ただただジャイ◯ントコーンを平らげるだけである。
咀嚼を続けながら「でも」から話を始めた女神だ。話題は俺の今後のこと。
「お前は寿命が尽きるぞ。新しい人生がやりたいなら、少しは地球の神と口を利いてやっても良い。今度は100年時代を無事に過ごせるように、怪我なし病気なしのチート人生にしてやろうか。嬉しかろう」
チート人生……。本来なら確定で大富豪になれる事とかをチート人生って呼べるんだろうけど。俺には確かに指を咥えてしまう案件だ。……いや、でも。
「やめとく。地球の神には、石ころとかその辺の草にするよう言ってくれ」
久しぶりに食べるガリ◯リ君は美味い。最後のところはちょっとしたコツを掴んでいれば上手く食べられる。
そして、意味深に当たりが……出ない。
もう人生で高望みをするのは疲れた。異世界なんか濃すぎて二十年過ごした感覚だし。俺は十分楽しかったんだ。
俺がひとりで力無く笑っていたら、女神は大あくびをしつつ浮遊してベッドに移った。神が横になったらベッドが自ら現れる。それが神の生きる世界だ。そこだけ羨ましいわ。
「転生者。ひとつ忘れていないか?」
ごろ寝の女神は怪訝な声で言った。
「お前は我に貸しがあるはずだろう」
「貸し?」
あー……そういえば……。
「いや、無い」
「あるだろ!?」
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