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トカゲ王の城
3.
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二日後、アストとパラガスは、アルード王国の南、シーフー山脈の山道を横断していた。
アストは二日前と違い、髭を剃り、身なりも整え、白銀の鎧を装着し、愛用の剣を腰の鞘にしまっており、黒毛の愛馬シャムに跨がり、ようやく騎士らしき風貌を醸し出していた。
パラガスは馬車に乗り込み、二頭の馬を手綱で操っていた。
馬車の中には、旅に必要な食料、衣類などの生活必需品。
そして、二人の珍客を乗せている。
アストとパラガスが王国の家畜を逃がした際、宝物庫で、必要な道具を調達する時、二人の盗賊を発見した。
エルフのペテンとドワーフのタンクだった。
このまま王国に置いておくとロクな事をしないと判断したパラガスは、二人を珍客として、目的地、ラットビード王国へ連れてく事に決めた。
二人の亜人は断固拒否したが、半ば強制的にまるで、囚人を護送するかの如く、連行した。
それはさておき、一行が横断する緑の繁ったシーフー山脈には、危険で獰猛なモンスター達が数多く、存在する。
モンスターの中には、獅子鷲グリフォン。飛行小龍ワイバーン。中でも最も遭遇したくない、老人顔凶悪獅子マンティコア、八脚王蛇バジリスクがいる。
ほとんどのモンスターが人肉を好む最悪の生物であった。
アストとパラガスは、この二日間、何度となく、襲い来るモンスターを退治し、難を逃れてきた。
しかし…。
アストは突如、手綱を引きシャムの走行を止めた。
「どうした?アスト」
パラガスも馬車馬を止め、アストを見た。
「バジリスクがいます」
アストの顔がひきつる。
「な、なななんだってぇぇ」
馬車の奥でペテンが悲鳴をあげる。
見れば、前方の木々の間に爬虫類の鱗を持つ、十メートルありそうな大蛇が、静かに寝いっていた。
「よりによってバジリスクか…」
パラガスが苦虫を潰した顔をしながら、呟いた。
「バジリスクには確か、睨まれると石化されると…」
「それだけじゃない、雄のバジリスクの血には半径五十メートルを放つ毒を持っている」
アストの言葉を遮り、パラガスがバジリスクの特徴を補足した。
八脚王蛇バジリスクは、ある意味最強のモンスターだ。
相手を凝視するだけで石化させる能力、そして雄バジリスクにのみ備わる生物を死滅させる猛毒の血液を持っている。
バジリスクに出会ったら戦わずに後退して逃げるか、死ぬかにある。
「パラガス様、逃げますか?」
「…この道を抜けるしかラッドビード王国には行けないぞ」
辺りは岩と木々に挟まれており、後退するか前進するしか道はなかった。
「逃げるに決まってるじゃないですか~、まだバジリスクはこっちに気付いてないですよ~」
ペテンがアストとパラガスの会話に口をはさんだ。
タンクはただ静観し、前方のバジリスクの動きに気配を殺していた。
「アスト、オレ達二人の敵討ちの願いはこんな爬虫類によって砕かれるのか?」
パラガスがアストを睨みつけた。
アストは腰に収めた剣の柄を握り、答えはじめる。
「いえ…ボクがバジリスクを倒します」
「よし、作戦を言おう…」
パラガスが微笑みを浮かべた。
「オレの透明魔法でバジリスクを透明にする、そうすればバジリスクの眼をみずにすむ。そしてアストお前はバジリスクの気配を感じ、剣で攻撃するんだ」
「どどど…毒は?」
パラガスの作戦にペテンが水を刺す。
その答えにアストとパラガスは馬車奥のペテンに微笑み…
「雌であることを祈れ」
と、答えた。
ある意味、運任せの戦いだった。
二人の青年はミレアと戦う前に死ぬのなら、そこまでの運命として諦めるしかなかった。
パラガスは目の前のバジリスクに透明魔法を唱えた。
消えたバジリスクは雄叫びをあげる。
アストは愛馬シャムの手綱を左手で引き、右手に愛用の剣を透明のバジリスクに掲げた。
翌日、ラッドビード王国の城の王室に招かれざる客が四人現れた。
ラッドビード王国国王、ロッツロット国王を眼にし、四人は全身を震わせた。
ロッツロット国王は四本の腕を持つ、双頭の蜥蜴亜人だった。
そして四人の招かれざる客は、ペテンにタンク、亡国の宮廷魔術師パラガス、そして同じく亡国の騎士隊長だったアストである。
彼らは運もあるが、バジリスクを倒し、ようやくラッドビード王国へと入国し、二つの頭を持つ蜥蜴王に面会する事ができた。
アストは二日前と違い、髭を剃り、身なりも整え、白銀の鎧を装着し、愛用の剣を腰の鞘にしまっており、黒毛の愛馬シャムに跨がり、ようやく騎士らしき風貌を醸し出していた。
パラガスは馬車に乗り込み、二頭の馬を手綱で操っていた。
馬車の中には、旅に必要な食料、衣類などの生活必需品。
そして、二人の珍客を乗せている。
アストとパラガスが王国の家畜を逃がした際、宝物庫で、必要な道具を調達する時、二人の盗賊を発見した。
エルフのペテンとドワーフのタンクだった。
このまま王国に置いておくとロクな事をしないと判断したパラガスは、二人を珍客として、目的地、ラットビード王国へ連れてく事に決めた。
二人の亜人は断固拒否したが、半ば強制的にまるで、囚人を護送するかの如く、連行した。
それはさておき、一行が横断する緑の繁ったシーフー山脈には、危険で獰猛なモンスター達が数多く、存在する。
モンスターの中には、獅子鷲グリフォン。飛行小龍ワイバーン。中でも最も遭遇したくない、老人顔凶悪獅子マンティコア、八脚王蛇バジリスクがいる。
ほとんどのモンスターが人肉を好む最悪の生物であった。
アストとパラガスは、この二日間、何度となく、襲い来るモンスターを退治し、難を逃れてきた。
しかし…。
アストは突如、手綱を引きシャムの走行を止めた。
「どうした?アスト」
パラガスも馬車馬を止め、アストを見た。
「バジリスクがいます」
アストの顔がひきつる。
「な、なななんだってぇぇ」
馬車の奥でペテンが悲鳴をあげる。
見れば、前方の木々の間に爬虫類の鱗を持つ、十メートルありそうな大蛇が、静かに寝いっていた。
「よりによってバジリスクか…」
パラガスが苦虫を潰した顔をしながら、呟いた。
「バジリスクには確か、睨まれると石化されると…」
「それだけじゃない、雄のバジリスクの血には半径五十メートルを放つ毒を持っている」
アストの言葉を遮り、パラガスがバジリスクの特徴を補足した。
八脚王蛇バジリスクは、ある意味最強のモンスターだ。
相手を凝視するだけで石化させる能力、そして雄バジリスクにのみ備わる生物を死滅させる猛毒の血液を持っている。
バジリスクに出会ったら戦わずに後退して逃げるか、死ぬかにある。
「パラガス様、逃げますか?」
「…この道を抜けるしかラッドビード王国には行けないぞ」
辺りは岩と木々に挟まれており、後退するか前進するしか道はなかった。
「逃げるに決まってるじゃないですか~、まだバジリスクはこっちに気付いてないですよ~」
ペテンがアストとパラガスの会話に口をはさんだ。
タンクはただ静観し、前方のバジリスクの動きに気配を殺していた。
「アスト、オレ達二人の敵討ちの願いはこんな爬虫類によって砕かれるのか?」
パラガスがアストを睨みつけた。
アストは腰に収めた剣の柄を握り、答えはじめる。
「いえ…ボクがバジリスクを倒します」
「よし、作戦を言おう…」
パラガスが微笑みを浮かべた。
「オレの透明魔法でバジリスクを透明にする、そうすればバジリスクの眼をみずにすむ。そしてアストお前はバジリスクの気配を感じ、剣で攻撃するんだ」
「どどど…毒は?」
パラガスの作戦にペテンが水を刺す。
その答えにアストとパラガスは馬車奥のペテンに微笑み…
「雌であることを祈れ」
と、答えた。
ある意味、運任せの戦いだった。
二人の青年はミレアと戦う前に死ぬのなら、そこまでの運命として諦めるしかなかった。
パラガスは目の前のバジリスクに透明魔法を唱えた。
消えたバジリスクは雄叫びをあげる。
アストは愛馬シャムの手綱を左手で引き、右手に愛用の剣を透明のバジリスクに掲げた。
翌日、ラッドビード王国の城の王室に招かれざる客が四人現れた。
ラッドビード王国国王、ロッツロット国王を眼にし、四人は全身を震わせた。
ロッツロット国王は四本の腕を持つ、双頭の蜥蜴亜人だった。
そして四人の招かれざる客は、ペテンにタンク、亡国の宮廷魔術師パラガス、そして同じく亡国の騎士隊長だったアストである。
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