EARTH STRIDER 〔アースストライダー〕

とと

文字の大きさ
28 / 54
第1章〔地球編〕

17.BADNEWS GOODNEWS

しおりを挟む
「ユウヤ……、誰……、だって?」

キアトが声を奮わせながらユウヤにもう一度確認した。

須藤勇矢の能力は超頭脳能力を持つアースストライダーで、まゆの何百倍も頭がいいんだ。

「那賀龍神先生だよ。驚くのは無理ないよね」

言ったのはまゆ達との幼馴染で、大親友のひろなの次に大好きな友達の葉山くるみだった。

その衝撃にまゆもひろなと同じように腰を抜かし、自然と涙を流しちゃった。その時、ひろなと目が合い、自然にお互いに笑顔になり、思い出したように二人で大泣きしちゃった。それほどに驚きと喜びとの感情が大きかった。

「な、なんで、那賀先生が……?」

キアトも衝撃が大きかったのか、次の台詞が言葉に出来なかった。

「あの時、ボクら全員が那賀先生が死んだと思っていた。だけど……」

ユウヤはそこまで言い、溜息を吐いた。

「杉並優菜………」

ユウヤが歯を食い縛りながらその名を吐き捨てるように言った。その人の名前にまゆもひろなもさらに衝撃を受けた。

キアトはその人の名前に敏感に反応し、近くの壁を殴った。

「物に当たらないでよ……」

くるみの冷静な一言にキアトはくるみを睨み付けた。

「キア兄、くるみさんは関係ないよ」

あっちゃの言葉にキアトはくるみに一言「ごめん」と謝った。

「仕方ないよ、わたしだってあの女の名前を聞いた時、理性を失ったわ」

「許せるわけないよ……」

くるみの感情に、まゆの感情。まゆも、いや三十人の友達も全員があの人のことが嫌い! 

だって……

「私達の大事な、大好きだった……」

「弥生先生を殺したあの女が!」

ひろなとキアトの発言に誰もが無言になった。

だけど、すぐに仙道さんが質問をした。

「杉並優菜は犯罪者で捕まることなく、地球から、いや、銀河系から逃げて逃亡中だ。それと那賀龍神が生きていると何を理由に?」

「那賀龍神先生はあの時、死ぬ直前にあの女の能力で間一髪で助かったんだ。そして、那賀先生をどんな方法でか解らないが三年後に宇宙へと逃亡した」

「つまり、那賀先生はこの宇宙のどこかで生きている可能性があるという事が最近解ったの」

ユウヤとくるみが答えると、再びこの場に沈黙が始まった。

「だあぁぁぁ~!!」

キアトがいきなり叫び、まゆもひろなも、あっちゃもビクッとし、キアトを見つめた。

「嫌な話しに、良い話しが同時に来たな」

キアトはそう答え、両手で自分の頬を数回叩き、急に笑顔になった。

「とにかく、三十人の仲間と会い那賀先生を見つける。目的ができたんじゃねぇか?」

キアトはユウヤに向かって答えると、ユウヤは真顔で頷いた。

「あの女をどうするかは、後でみんなで考えるとして、取り敢えず三十人の仲間に会いに行こうぜ!」

キアトの宣言にまゆ達は笑顔で頷いた。






それから数時間後。まゆとひろなと、あっちゃとキアトの四人はこのビルの屋上で風に当たりながら、東京の風景を見ていた。

辺りは夜なのに、ネオンや様々な光で明るかった。

「ねぇ、キアト、キアトは三十人の友達の中で誰に会いたい?やっぱり、マシンとかナオジくん?」

「まゆは、テルのあほちん以外なら誰でもいいよ」

ひろなのキアトへの質問にまゆが変わりに答えると、ひろなもキアトも苦笑いした。

「お前、昔からテルのこと嫌いだよな」

「だって、アイツ、バカだし、まゆに意地悪するし、あっ、そう言えば……」

まゆって、そう言えば、瓦礫の山の出来事を思い出した。

「瓦礫の山の空でテルのバカのWEGSらしき物体を見たような、見間違えのような……のを一瞬見た……ような見てないような……、うん、見間違えだ」

「「「どっちだよ」」」

まゆのボケにキアト達がツッコミを入れ、キアト達が笑った。

「あれ?」

空を見ていたひろなが、ふと不思議そうな表情をした。まゆはひろなの視線の先に目を向けた。

「うげっ!」

思わずまゆは拒否反応を見せた。

黄色いWEGSの上にいるヤツを見てしまったから……

「なんでアイツがいるの!?」

「まゆを追って愛知から追って来たんじゃない?ははは……」

「ひろ姉の言い方、彼はまゆ姉のストーカーですか?」

「テルじゃねぇか!?」

空中に見覚えのある襟足が異様に長く、頬に傷のあるまゆの大嫌いな男子、中條テルが自分の相棒に跨がり、恥ずかしそうに手を振りながらまゆに向かって間違いなく微笑んでいた。

うげっ、うげっ、うげげげっ!ホントに勘弁して~!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

処理中です...