一人ぼっちの嘘

主道 学

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一人ぼっちの嘘

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「そう。これは嘘さ。真実なんかないんだ」
 ぼくは頷いた。
「人類の裏側。太陽の裏側。月の裏側。星の裏側。そんなものもないんだ。全ては表裏一体だけの裏表もないんだ」
 縁側に座って、俯いた。
 ぼくの家は3階建てだけど、ここが一番のお気に入りだ。
 去年に亡くなったおばあちゃんが言っていた。
「地球は丸い。星々も丸い。みんな丸い」
 そう、おばあちゃんが言っていた。
 ぼくにはわかるんだ。
 この世も丸いんだ。

「でも、悪もあれば天使もいる。裏表にいつも使われている言葉。天国と地獄。それも丸いのかな?」
 縁側から顔を上げると、空から大粒の雨が降り出した。
 天気予報では、今日の午後から明日の朝まで降るようだ。
「雨は天と地を繋ぐもの」
 それも、おばあちゃんが言っていた。
「そうだ。繋げば良いんだ。全てまーるくなる。あれ? あの世とこの世もそうかな?」
「死者は蘇ることはないし、どんなに立派な聖者もいつかは死んでしまう」
 もう一つ、おばあちゃんが言っていた。
「繋がる?」
「悟―。ごはんだよー」
 母さんの声に、ぼくは意表を突かれたみたいに驚いた。
「そうだ! 神がいるんだ! 神の声や行いは偉大なり!」
 
 そう、みんな繋がってまーるい。
 でも、これは……嘘。
 何故なら、だれも知らない。ぼくの嘘。


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