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Pseudomonarchia Daemonum(悪魔の偽王国) モート編
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ノブレス・オブリージュ美術館の館内は、外へ通じる窓が全て破壊され、雷鳴が轟いては、激しい血の雨がカーテンを真っ赤に染め上げる、まるで嵐が直撃したかのような半壊した姿となっていた。高価な骨董品や絵画は、古代の彫像なども、様々な美術品が次々と破壊され尽くし、床や壁から階段までもがひび割れてもいる。
モートは、アリスたちがいるであろうサロンへと向かった。
二つの螺旋階段の下にある広大なサロンは、談話する着飾った人々は誰もいなかった。代わりに大きな血痕だらけが大理石の床に広がっている。時計は深夜の2時を指したままで、サロンの壁面には13枚の美しい女性の絵画や30を超える高級な東洋の壺。このサロンと回廊を繋ぐ4枚の大扉には、みずみずしい花を咲かせた花瓶も粉々で跡形もなかった。
モートは、ここへ来ればアリスに出会えると思っていたが、残念でがっかりした。サロンには誰もいないのだ。アリスやヘレンや、オーゼムは一体どこだろう?
しばらく、モートはサロンの崩壊ぶりを見ていたが、後ろの方でカタンという小さな音が鳴ったことに気がついた。
音がした方は、回廊を繋ぐ4枚の大扉のうちのどれかだ。と、突然。重くて軋む音を発し、一枚の大扉が開いて、中から難しい顔をしたオーゼムが一人現れた。
「モートくん。ここは大丈夫ですよ。アリスさんも無事なんです。すぐに、北へ。クリフタウンのジョンの屋敷へ向ってください。そこに、原因のリッチーがいるはずです。リッチーは賢いので、決して一人ではないでしょう」
「……」
「ですが、実はまだ希望はあるのです。原因を創り出すリッチーを狩れば、あるいは……。何故なら、全人類は完璧には死滅していないのですから……。さあ、今、この時。再び賭けをしましょう。何を賭けるかというと、モートくんがたった一人で、全てのリッチーを倒せられるかどうかです。相手はかなり強力ですが、大勢いるかもしれません。私は勿論、モートくんが勝つ方に賭けますよ。頼みましたよ……いやはや、それにしても、ひどい埃ですねえ。扉の奥で、今も青い顔で震えているヘレンさんが、更に真っ青になってしまうでしょう」
「……次は、北だね」
モートは、アリスたちがいるであろうサロンへと向かった。
二つの螺旋階段の下にある広大なサロンは、談話する着飾った人々は誰もいなかった。代わりに大きな血痕だらけが大理石の床に広がっている。時計は深夜の2時を指したままで、サロンの壁面には13枚の美しい女性の絵画や30を超える高級な東洋の壺。このサロンと回廊を繋ぐ4枚の大扉には、みずみずしい花を咲かせた花瓶も粉々で跡形もなかった。
モートは、ここへ来ればアリスに出会えると思っていたが、残念でがっかりした。サロンには誰もいないのだ。アリスやヘレンや、オーゼムは一体どこだろう?
しばらく、モートはサロンの崩壊ぶりを見ていたが、後ろの方でカタンという小さな音が鳴ったことに気がついた。
音がした方は、回廊を繋ぐ4枚の大扉のうちのどれかだ。と、突然。重くて軋む音を発し、一枚の大扉が開いて、中から難しい顔をしたオーゼムが一人現れた。
「モートくん。ここは大丈夫ですよ。アリスさんも無事なんです。すぐに、北へ。クリフタウンのジョンの屋敷へ向ってください。そこに、原因のリッチーがいるはずです。リッチーは賢いので、決して一人ではないでしょう」
「……」
「ですが、実はまだ希望はあるのです。原因を創り出すリッチーを狩れば、あるいは……。何故なら、全人類は完璧には死滅していないのですから……。さあ、今、この時。再び賭けをしましょう。何を賭けるかというと、モートくんがたった一人で、全てのリッチーを倒せられるかどうかです。相手はかなり強力ですが、大勢いるかもしれません。私は勿論、モートくんが勝つ方に賭けますよ。頼みましたよ……いやはや、それにしても、ひどい埃ですねえ。扉の奥で、今も青い顔で震えているヘレンさんが、更に真っ青になってしまうでしょう」
「……次は、北だね」
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