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雨の日
5話
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隆は眉唾ものだがと、インターホンを鳴らすと予約を取っていないことを思い出した。
ドアが開き背の高く、上がワイシャツとネクタイの背広姿の若い男性がでてきた。長い髪は後ろに全部梳いてあり、ポニーテールのようだ。
均整の取れた顔をしていて、30代の浅黒いモテ男といったところだ。
「初めまして……。どうぞ。完全予約制というわけではないので。お入りください」
暇と遊びという両極端を持て余しているような気配が少しする男であった。その男は家の中へと隆を気軽に招く。
「すいません。どうにも……相談したいことがあります」
隆は応接用のソフャが二つ向かい合って、小さなテーブルの部屋へと案内された。部屋は華奢な造りで、バラの香りがしてきた。奥さんだろうか。花田の隣に立っていた花田とは対照的な色白で、白のブラウスとラベンダー色のスカート。目を自然に見開いてしまうかのような、そんな女性がキッチンへと行きコーヒーを渡してくれる。
隆はそそくさとソフャに座り、居住まいを正していると、
「いや。堅苦しいのは苦手なのです。こうやって、気楽にご相談に乗りたい。何があって
ご相談に来たんですか?」
花田は背広のネクタイを緩ませ、片手で持ったコーヒーカップをこちらに向け、ニッコリと笑った。
その笑顔に気が緩み。
「はあ。私は玉江 隆という名です……。実は娘が雨の日にいなくなってしまいました……。近くの川に落ちてしまったのです……。今現在は警察の人や消防の人たちや、近所の消防団の人たちなど多くの人たちが捜索をしてくれていますが。……もう……一週間も経っています……お願いです。私の娘を探してくださいませんか? あ、占いで探して下さるんですよね。見つかりますか? 私の娘は生きていますか?」
隆は沈痛な面持ちを粉砕してしまうほど取り乱した言動をした。
「玉江さん。どうか落ち着いてください。……お気の毒で恐縮ですが。お亡くなりになられたとは、お思いなのではないのですね……」
「ええ」
花田の妻は隣の部屋へと行った。
「ほう……。一週間ですか……」
花田はそういうと俯いて、落ち着いた言葉を慎重に選んだようだ。
「実は私は過去10年で、雨の日に不幸を体験した人々が急激に増えているというのを知っています。調べているんですよ。何故、そうなったのかはまだ解りませんが……」
タイミング良く花田の座るソフャへと、花田の妻が薄い本を奥の間から持ってきていた。
その本を隆に差し出す。
「これは……?」
「私の調査結果を本にしたものです。例えばここ取手市の西の方。つくばみらい市では、雨の日に飛び降り自殺をした人が僅か2年間で16人もいます。東の方、竜ケ崎市では車に撥ねられ死亡した人が3年で23人もいます」
花田はそこで熱いコーヒーを一気に飲み干してやや熱を持って話しだした。
「瑠璃もう一杯だ……。更に、ここ取手市では10年前から首つり自殺をした男性が85人。焼身自殺をした女性が68人。人身事故に巻き込まれた人は……なんと103人もいるんですよ」
隆は青ざめた。
花田の言っていることは、一体……。私の娘はどうしたというのだろう。雨の日には何か不幸を招く何かがあるのだろうか?
「私の娘はどうしたのでしょうか?」
一度も口にしていないコーヒーカップを花田の妻に返して懇願した。
「それを、今から調べるのです」
ドアが開き背の高く、上がワイシャツとネクタイの背広姿の若い男性がでてきた。長い髪は後ろに全部梳いてあり、ポニーテールのようだ。
均整の取れた顔をしていて、30代の浅黒いモテ男といったところだ。
「初めまして……。どうぞ。完全予約制というわけではないので。お入りください」
暇と遊びという両極端を持て余しているような気配が少しする男であった。その男は家の中へと隆を気軽に招く。
「すいません。どうにも……相談したいことがあります」
隆は応接用のソフャが二つ向かい合って、小さなテーブルの部屋へと案内された。部屋は華奢な造りで、バラの香りがしてきた。奥さんだろうか。花田の隣に立っていた花田とは対照的な色白で、白のブラウスとラベンダー色のスカート。目を自然に見開いてしまうかのような、そんな女性がキッチンへと行きコーヒーを渡してくれる。
隆はそそくさとソフャに座り、居住まいを正していると、
「いや。堅苦しいのは苦手なのです。こうやって、気楽にご相談に乗りたい。何があって
ご相談に来たんですか?」
花田は背広のネクタイを緩ませ、片手で持ったコーヒーカップをこちらに向け、ニッコリと笑った。
その笑顔に気が緩み。
「はあ。私は玉江 隆という名です……。実は娘が雨の日にいなくなってしまいました……。近くの川に落ちてしまったのです……。今現在は警察の人や消防の人たちや、近所の消防団の人たちなど多くの人たちが捜索をしてくれていますが。……もう……一週間も経っています……お願いです。私の娘を探してくださいませんか? あ、占いで探して下さるんですよね。見つかりますか? 私の娘は生きていますか?」
隆は沈痛な面持ちを粉砕してしまうほど取り乱した言動をした。
「玉江さん。どうか落ち着いてください。……お気の毒で恐縮ですが。お亡くなりになられたとは、お思いなのではないのですね……」
「ええ」
花田の妻は隣の部屋へと行った。
「ほう……。一週間ですか……」
花田はそういうと俯いて、落ち着いた言葉を慎重に選んだようだ。
「実は私は過去10年で、雨の日に不幸を体験した人々が急激に増えているというのを知っています。調べているんですよ。何故、そうなったのかはまだ解りませんが……」
タイミング良く花田の座るソフャへと、花田の妻が薄い本を奥の間から持ってきていた。
その本を隆に差し出す。
「これは……?」
「私の調査結果を本にしたものです。例えばここ取手市の西の方。つくばみらい市では、雨の日に飛び降り自殺をした人が僅か2年間で16人もいます。東の方、竜ケ崎市では車に撥ねられ死亡した人が3年で23人もいます」
花田はそこで熱いコーヒーを一気に飲み干してやや熱を持って話しだした。
「瑠璃もう一杯だ……。更に、ここ取手市では10年前から首つり自殺をした男性が85人。焼身自殺をした女性が68人。人身事故に巻き込まれた人は……なんと103人もいるんですよ」
隆は青ざめた。
花田の言っていることは、一体……。私の娘はどうしたというのだろう。雨の日には何か不幸を招く何かがあるのだろうか?
「私の娘はどうしたのでしょうか?」
一度も口にしていないコーヒーカップを花田の妻に返して懇願した。
「それを、今から調べるのです」
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