スクリーン上の本棚から君へ

主道 学

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本も時代と共に

「あのー? 失礼ですが、石井 智子というこの本の作者さんと同じ名前なんですね。奇遇ですね。ぼくはファンになろうかと思うんです。石井 智子さんの。ぼく。このPRがとても気に入っちゃって……あ、すいません」

 彼女はやっぱりこの本の作者だったようで、恥ずかしかったのだろうなあ。次の言葉でぼくはそれが確信へと至った。 

「ふうー、いいんですもう……実は……その本は私が4年前に書いた本なんです。もう、全然売れなかったんです。それで、今は紙の本がなくなったでしょ。それですぐに絶版になっているんですけど、ここの本屋さんの店長がどうしてもというから……本棚に並べているんです。私、それが恥ずかしくて恥ずかしくて。ここ辞めようとも思った時もあるんですよ」
「どうして?」
「6年前のひどい大失恋を書いたんです」

 彼女はそういうと、はずかしそうな怒っているような顔で、プイッと背を向けた。

 本のタイトルは「春風と共に桜はすぐに散る」だった。
 4年前は紙の本はたくさんあったんだ。

 けれど……今はないんだね。

 受付には彼女はいない。

 そもそも、レジなんてないんだ。
  
 ぼくはスマホをズボンのポケットから取り出して、端末で会計を済ませた。
 お給料を前月に貰ったけれど、その時のお金が11万ポイントだから、無駄遣いしない限りは、今月は大丈夫だろう。

 結局、この本屋で買った本は、なんと20冊。
 占めて2万ポイントだ。
 爆買いしたんだ。

 機械は嫌いだけれど、こればっかりはしょうがないじゃん。
 ぼくは本が好きだ。
 それが、現実だし。

 お給料はポイントで全て統一されて、正社員は20万ポイント。公務員は18万ポイント。バイトは11万ポイントとなっている。全て平等に配られるんだ。
 
 お給料は上がることもなく、下がることもない。

 ポイントの配分日もみんな一緒だった。

 今や、スマホがないと、財布がないのと同じだった。保険証、免許証、身分証明書、クレジットカード、銀行、現金、年金。後、お得なポイントキャンペーンに自宅でも観れるニュースにテレビetc.etc.おおよそ必要なものは全部付いているんだね。

 なんでもかんでも一つになったんだ。
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