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何もかも新しくなっていく
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――――
本屋を全部洗濯機にでも入れたみたいな大掃除もやった。
本棚の至る所に、設置された無数の電子書籍を、PRしているスクリーンを取り替えるという蟻のように細かな作業もやった。
石井さんと商品説明や接客の特訓もやった。
「うん?」
そんなある日。
本屋で、ぼくは不意に例の何も映っていない本棚に向かって、右手を突っ込んでしまった。ちょうど掃き掃除をしていた時に、バランスを崩したからだ。
でも、本棚のスクリーンには感触が何もなかった。
「あれ?」
ぼくの右手はスッとスクリーンの中へと入ってしまった。
石井さんがそれを目撃して、慌ててぼくの右手を強く握って引っ張ってくれた。
だけども、それも虚しくぼくの身体全部がスクリーンの中へと吸い込まれてしまった……。
「わっ!」
スクリーンの中は、見たこともない電子空間になっていた。
「あれれ?? スマホがある?」
ぼくの消えたはずのスマホが、目の前で宙に浮いていた。
何故だろう?
ひょっとして、ここの本屋で無くしたんだろうか?
こんな心細い電子空間でたった一つで、浮いていたのだろう。
ぼくのスマホからは、この本屋の全ての電子書籍が買えることができるポイントが目の前で突然、跳ね上がりだした。
「うわーーー、信じられない!!」
60万ポイント……。
150万ポイント……。
500万ポイント……。
…………
9999万ポイント……?!
ぼくのスマホのポイントが、120000万ポイントまで数字が大きく跳ね上がる頃には、ぼくは豪奢な家付きで一生分の読書ができるんだなと思えてきた。
でも、ぼくにはこの本が読めれば十分だったんだ。
本は「春風と共に桜はすぐに散る」だけでいいんだよ。
すぐに、スマホが耳障りな音を鳴らして、浮上する。
ぼくもまたスマホと一緒に浮上していく。
「原因はバグ?? ひょっとして、この本棚故障中かな?」
スマホをこの故障した本棚へ落としたのが、そもそもの原因なんだ。
きっと、そうだ!
浮上している間に、ぼくはこの現象は一体なんだったんだろうと考えていた。
ああ、そうだ!
そう、故障した電子空間にスマホを落としてしまったのだ。
気がつくと、ぼくはスクリーンから外へ出て本屋の床で倒れていたようだ。
「大丈夫?」
石井さんがぼくの顔を覗きこんでいる。
本屋を全部洗濯機にでも入れたみたいな大掃除もやった。
本棚の至る所に、設置された無数の電子書籍を、PRしているスクリーンを取り替えるという蟻のように細かな作業もやった。
石井さんと商品説明や接客の特訓もやった。
「うん?」
そんなある日。
本屋で、ぼくは不意に例の何も映っていない本棚に向かって、右手を突っ込んでしまった。ちょうど掃き掃除をしていた時に、バランスを崩したからだ。
でも、本棚のスクリーンには感触が何もなかった。
「あれ?」
ぼくの右手はスッとスクリーンの中へと入ってしまった。
石井さんがそれを目撃して、慌ててぼくの右手を強く握って引っ張ってくれた。
だけども、それも虚しくぼくの身体全部がスクリーンの中へと吸い込まれてしまった……。
「わっ!」
スクリーンの中は、見たこともない電子空間になっていた。
「あれれ?? スマホがある?」
ぼくの消えたはずのスマホが、目の前で宙に浮いていた。
何故だろう?
ひょっとして、ここの本屋で無くしたんだろうか?
こんな心細い電子空間でたった一つで、浮いていたのだろう。
ぼくのスマホからは、この本屋の全ての電子書籍が買えることができるポイントが目の前で突然、跳ね上がりだした。
「うわーーー、信じられない!!」
60万ポイント……。
150万ポイント……。
500万ポイント……。
…………
9999万ポイント……?!
ぼくのスマホのポイントが、120000万ポイントまで数字が大きく跳ね上がる頃には、ぼくは豪奢な家付きで一生分の読書ができるんだなと思えてきた。
でも、ぼくにはこの本が読めれば十分だったんだ。
本は「春風と共に桜はすぐに散る」だけでいいんだよ。
すぐに、スマホが耳障りな音を鳴らして、浮上する。
ぼくもまたスマホと一緒に浮上していく。
「原因はバグ?? ひょっとして、この本棚故障中かな?」
スマホをこの故障した本棚へ落としたのが、そもそもの原因なんだ。
きっと、そうだ!
浮上している間に、ぼくはこの現象は一体なんだったんだろうと考えていた。
ああ、そうだ!
そう、故障した電子空間にスマホを落としてしまったのだ。
気がつくと、ぼくはスクリーンから外へ出て本屋の床で倒れていたようだ。
「大丈夫?」
石井さんがぼくの顔を覗きこんでいる。
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