虎倉街の天気予報 春のち地震で世界に均衡を

主道 学

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影の王国へ行こう

ここは……?

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「これから学校かい?」
「ほい! おにいちゃん。ということで、急いで学校行こう!」
「……」

 かくして、書統学校まで俺たちは走っていた。
 朝日に照らされた校門まで林道の登り坂を走っていると、公平が俺たちと同じく校門目指して突っ走っている。うぎっ! 公平の奴! 不良に戻ってる!

 昔風のツッパリカットの公平は唾を吐きながら走っていた。
 
 うん!
 あ、あそこに見えるのは!!

 真っ白な陶器のような。それでいて真珠のような透き通る肌の持ち主……そして、黒の長髪のなんとおしとやかな! 俺の大好きな恵さんだ!!

 ラッキーーー!!

「ほにいちゃん? ここって、多分……影の世界じゃないよね」
「……今頃、気が付いたか我が妹よ……」
 
 恵さんと公平が校門を通って行った。
 俺は少し立ち止まって書統高校の後ろ側を覗いた。
 無い!
 心影山が!
 やっぱりここは表の世界だ!!

 教室に入ると、みんな元に戻っていた。
 学校の先生も授業も全部いつも通りに時は過ぎていく。

 放課後になると。

「ふぁーーーー」

 大欠伸をしている俺は、今日は恵さんと公平と一緒に掃除当番だった。
 うん。今日も平和だ。

「影洋くん。聞いた? 昨日からこの学校の裏にあった山が忽然と消えたって……」
「うぎっ! それ本当ですか? 恵さん!? 裏にあった山って心影山?」
「うん……それにいつも夜だったのに、いきなり朝が来て……」
「???」
「今朝起きたら住んでいた屋敷がかなりこじんまりとしていて、黒かった肌も普通の色白になってて……私もびっくりしているけど、みんな不思議がっているわよ」
「ああ、俺もそうなんだ。朝起きたらこんな髪型になっててよお」

 なんて、不吉な!
 ここは一体……?
 単に影の世界から表の世界になっただけかーーー!
 でも、恵さんと公平……話し方が変?
 というか、元に戻ってるぞ!?
 もしかして、性格は元に戻ってる?

「なんか体の調子はいいんだがなあ。朝から誰かを殴ってスッキリしたくて仕方がないぜえ。まったく混乱するよなあ」
「私は朝から裁縫をしてくて仕方なかったわ」

 うーん。
 こっちまで混乱してくる。
 たぶん、影が表の世界の住人になってきているんだろう。
 
 うん。そういうことにしよう。 
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