38 / 42
人間としての未来へ
未来へ 5
しおりを挟む
「おっーーと!! 雷蔵選手!! ノウハウのフェラーリ F12ベルリネッタを追い抜いた!!」
竹友は叫んだ。
「これは驚きです!! ノウハウと車の性能を上回った瞬間です!!」
斉藤は興奮して、立ち上がった。
「性能を上回ったんですか!! 人間が!!」
竹友はマイクをあさっての方に向けていることに気が付かなかった。
「ええ……。奇跡です……。後は雷蔵氏がブロックをしたまま。ゴールへ行ければいいのです。けれども、先に5台の車がゴールしなければいけないので……。勝負はまだ決まりませんね」
斉藤は無意識のうちに拍手していたが、顔が曇り出した。
「雷蔵さん……」
晴美さんは真剣な眼差しをして、応援席の一角で泣いていた。
「矢多辺……」
夜鶴は晴美さんの肩に手を置いて、このレースを観戦していたが、それは晴美さんのボディガードをしてもいた。
「雷蔵さん……凄い……」
河守も九尾の狐とアンジェたちと観戦をしているが、うまく言葉が出てこないかった。
「うーん……。まだまだ、これからなのがこの試合の怖いところだね……」
藤元は神社なんかでお祓いに使う棒を振り独り言ちた。
僕は6週目へと突入した。
フェラーリ F12ベルリネッタはブロックしているから、なんなく僕はレーシング場を走り回れる。
もうすぐゴールだ。
前方にコントロールラインが見えてきた。
「雷蔵選手!! ゴール!!」
竹友がランボルギーニ・エストーケを見送った。ここはゴール地点の近くにある。
「でも、フェラーリ F12ベルリネッタもゴールですから……」
斉藤はふと我に返った。
「そういえば……日本の将来がかかっているんですね……この試合は……」
竹友が斉藤を見つめ、
「ええ。確か、興田 道助が勝つか奈々川 晴美が勝つか。当然、日本国民はレースに勝ったチームに投票しますし……斉藤さん。今、気が付いたのですが……。興田 道助のエレクトリック・ダンスという政策は機械のノウハウが5千万人の老人を介護するのですよね。そして、A区が全面的に協力してくれるという。…………」
竹友がマイクを握り、
「一方。奈々川 晴美の政策ではノウハウを一家に一台。無料で提供し、私たちの介護や援助のサポート的立場を保障する。当然、国がノウハウのお金などは負担するという」
斉藤はこっくりと頷いて、
「二人とも私たちの老後のことを考えています。けれども、ノウハウが人間のサポートをするか、それとも人間をノウハウが……管理するかですね」
そこまで言うと、斉藤は大きく目を開いた。
竹友も驚いて口を開いた。
「三年前と同じだ!! 三年前の野球の試合とまったく同じ戦いです!!」
「晴美さん!! 試合はまだ終わっていない!!」
僕は応援席の晴美さんたちの袂へと走って戻ってきた。
「ええ……。そうですね。その通りです」
晴美さんが僕の顔を見つめた。
「雷蔵さん。あなたの戦いは人間の戦いでした。人間の力でノウハウを倒したのです……これから、私たちがしなければならないこと。それは人間性で機械に勝つことです」
僕は河守に笑顔を向けて、
「ええ……ええ…………そうですね…………」
僕は泣いていた。
「あ、田場選手と島田選手が6週目です。未だに周囲のノウハウの乗る車を寄せ付けません」
竹友が不思議がった。
「ドライビングテクニックがいいのです。周囲のノウハウの車は体当たりをして遠ざける。まるで、この無法レースを最初から得意としているみたいですね。その精神と腕で今まで走り抜いている。本当に……島田と田場はこのレースのためだけに生まれてきたみたいですね……もっとも……適正があるだけかも知れませんが……」
斉藤は微笑んだ。
島田と田場がそのままコントロールラインを鬼の形相でゴール。
後、二台。僕のチームの車が入れば勝利だ。
だが、相手も三台のノウハウの車がゴールしてしまっている。
後、二台。どちらかの車が先にゴールすれば決着する。
「斉藤さん。今、一番ゴールに近い車は?」
竹友が斉藤に首を向けた。
斉藤は素早くレーシング場を見回し、
「原田選手かペンズオイル ニスモーGTRですね。後、ニスモ GT-R LM。カルソニック スカイライン。流谷選手と遠山選手ですね」
斉藤はストップウオッチを見つめて、
「二番目が津田沼選手と山下選手です。でも全長12メートルのトレーラーのブロックじゃ、どうしようもないでしょう。三番目が淀川選手です」
「先頭のCチームはゴールをするためにと、その車を用意したようですね」
「ええ。そうでしょうね。改造をしていますし、かなり早いですね。おや?」
斉藤は原田の乗るスカイライン クロスオーバーを見た。
竹友は叫んだ。
「これは驚きです!! ノウハウと車の性能を上回った瞬間です!!」
斉藤は興奮して、立ち上がった。
「性能を上回ったんですか!! 人間が!!」
竹友はマイクをあさっての方に向けていることに気が付かなかった。
「ええ……。奇跡です……。後は雷蔵氏がブロックをしたまま。ゴールへ行ければいいのです。けれども、先に5台の車がゴールしなければいけないので……。勝負はまだ決まりませんね」
斉藤は無意識のうちに拍手していたが、顔が曇り出した。
「雷蔵さん……」
晴美さんは真剣な眼差しをして、応援席の一角で泣いていた。
「矢多辺……」
夜鶴は晴美さんの肩に手を置いて、このレースを観戦していたが、それは晴美さんのボディガードをしてもいた。
「雷蔵さん……凄い……」
河守も九尾の狐とアンジェたちと観戦をしているが、うまく言葉が出てこないかった。
「うーん……。まだまだ、これからなのがこの試合の怖いところだね……」
藤元は神社なんかでお祓いに使う棒を振り独り言ちた。
僕は6週目へと突入した。
フェラーリ F12ベルリネッタはブロックしているから、なんなく僕はレーシング場を走り回れる。
もうすぐゴールだ。
前方にコントロールラインが見えてきた。
「雷蔵選手!! ゴール!!」
竹友がランボルギーニ・エストーケを見送った。ここはゴール地点の近くにある。
「でも、フェラーリ F12ベルリネッタもゴールですから……」
斉藤はふと我に返った。
「そういえば……日本の将来がかかっているんですね……この試合は……」
竹友が斉藤を見つめ、
「ええ。確か、興田 道助が勝つか奈々川 晴美が勝つか。当然、日本国民はレースに勝ったチームに投票しますし……斉藤さん。今、気が付いたのですが……。興田 道助のエレクトリック・ダンスという政策は機械のノウハウが5千万人の老人を介護するのですよね。そして、A区が全面的に協力してくれるという。…………」
竹友がマイクを握り、
「一方。奈々川 晴美の政策ではノウハウを一家に一台。無料で提供し、私たちの介護や援助のサポート的立場を保障する。当然、国がノウハウのお金などは負担するという」
斉藤はこっくりと頷いて、
「二人とも私たちの老後のことを考えています。けれども、ノウハウが人間のサポートをするか、それとも人間をノウハウが……管理するかですね」
そこまで言うと、斉藤は大きく目を開いた。
竹友も驚いて口を開いた。
「三年前と同じだ!! 三年前の野球の試合とまったく同じ戦いです!!」
「晴美さん!! 試合はまだ終わっていない!!」
僕は応援席の晴美さんたちの袂へと走って戻ってきた。
「ええ……。そうですね。その通りです」
晴美さんが僕の顔を見つめた。
「雷蔵さん。あなたの戦いは人間の戦いでした。人間の力でノウハウを倒したのです……これから、私たちがしなければならないこと。それは人間性で機械に勝つことです」
僕は河守に笑顔を向けて、
「ええ……ええ…………そうですね…………」
僕は泣いていた。
「あ、田場選手と島田選手が6週目です。未だに周囲のノウハウの乗る車を寄せ付けません」
竹友が不思議がった。
「ドライビングテクニックがいいのです。周囲のノウハウの車は体当たりをして遠ざける。まるで、この無法レースを最初から得意としているみたいですね。その精神と腕で今まで走り抜いている。本当に……島田と田場はこのレースのためだけに生まれてきたみたいですね……もっとも……適正があるだけかも知れませんが……」
斉藤は微笑んだ。
島田と田場がそのままコントロールラインを鬼の形相でゴール。
後、二台。僕のチームの車が入れば勝利だ。
だが、相手も三台のノウハウの車がゴールしてしまっている。
後、二台。どちらかの車が先にゴールすれば決着する。
「斉藤さん。今、一番ゴールに近い車は?」
竹友が斉藤に首を向けた。
斉藤は素早くレーシング場を見回し、
「原田選手かペンズオイル ニスモーGTRですね。後、ニスモ GT-R LM。カルソニック スカイライン。流谷選手と遠山選手ですね」
斉藤はストップウオッチを見つめて、
「二番目が津田沼選手と山下選手です。でも全長12メートルのトレーラーのブロックじゃ、どうしようもないでしょう。三番目が淀川選手です」
「先頭のCチームはゴールをするためにと、その車を用意したようですね」
「ええ。そうでしょうね。改造をしていますし、かなり早いですね。おや?」
斉藤は原田の乗るスカイライン クロスオーバーを見た。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる