精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる！が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない

第79話

　ヘイマンスがトラブルにあっている頃、3人の女性達は・・・・

　丸太を運搬している作業者？とのトラブルで、ヘイマンスと離れてしまっていた。

　どうしてこうなったかと言えば、先に3人が馬車から降りヘイマンスを待っていたが、ヘイマンスが馬車から降り、馬車が移動を開始した直後丸太を運搬していた作業者が馬車を避けようとし、丸太を落下させてしまった。

　この時女性達の方へ丸太が転がったので、ヘイマンスから離れる形で3人は丸太を避けるべく後退していた。

　その直後オリビアはヘイマンスが誰かに突き飛ばされるのを見た。
　ヘイマンスを突き飛ばしてそのまま逃走する暴漢？に違和感を覚えたオリビアは、直ぐに後を追った。

　エレンとメイドはヘイマンスの所へ向かおうとしたが・・・・
「すまんすまん、ちょっと待っててくれよお？いひひひひ・・・・」
　何やら薄笑いをしながら近づいてくる作業者？に警戒するエレン。
「エレンお嬢様、怪しげな気配をあの者達から感じます！」
　ヘイマンス達を迎えに来ていたメイドさん、つまりエレンの実家からやってきた訳で、エッフェン家のメイドである。
「何となくそうだと思った。この様なトラブルが偶然に発生するとは思えない。貴族の馬車近くに丸太を運搬するという選択肢はあり得ない。」

　貴族の所有する馬車に何かあったり、進路を妨げるような事があれば大問題なのである。
　最悪死罪となるのだが、当然の事ながら余程の急ぎでない限り、そのような危険を冒す必要がないのである。
　寧ろ避ける。

「仕方がない・・・・先に向かってくれ。」
「かしこまりました。」
　エレンはそう言うと、メイドの手を掴み・・・・
「えい！」

【エレン　は　メイド　を　なげた】

　驚く事にエレンはメイドの手を取り、そのまま投げ飛ばしたのだ！

　華麗に飛翔するメイドさん。
　はためくスカートを抑える余裕すらある。
　呆気にとられているのは、丸太の運搬人を装っている正体不明の作業者。

　丸太の上を超え、そのままヘイマンスと丸太の中間地点付近に着地するメイドさん。

「さて、ヘイマンス殿は彼女に任せるとして、貴殿達が何者か教えてもらうとするか。」

　あっという間にエレンは2人の作業者？を拘束した。
　何故即座に行動しなかったかと言えば、本当にミスをした可能性があったからだ。
　だが違うと確信、そしてヘイマンス殿が待ったなしの状況に追い込まれているので、メイドを送ったのだ。

　で、ヘイマンスと言えば・・・・
　地面に倒れたまま拘束をされていた。
『これ、どうすればいいんじゃ？』
『いざとなればいつでも救出できます。暫く様子を見ましょう。』
『こちらも包囲を済ませておりますわ。』
『既にたっぷり魔力貰っちゃったからね・・・・あいつらバカなの？あいつを何とかするなら地面に押し付けていたら駄目なのに！』

　精霊さん達である。
　ヘイマンスが地面に倒れている間、ちゃっかり魔力を貰っている辺り要領がよかったりする。

　一方肝心のヘイマンスだが・・・・未だ何が起こったのか理解できておらず、精霊に立着けを求める事すら気が付かないのだった。

　そしてオリビアだが・・・・

　ヘイマンスを突き飛ばした暴漢？を追い詰めていた。
「逃がしませんよ。」

　今回ヘイマンスは空気だった。