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第393話:聖域オーバーテクノロジー
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古代地下都市の解体作業から数日が過ぎた、ある晴れた朝。
アキオは、ふかふかのベッドの中で目を覚ました。
窓の外はまだ肌寒い季節のはずだが、寝室の空気は春のように暖かく、湿度は完璧に保たれている。
「……おはよう、アキオ様。室温は快適ですか?」
枕元にちょこんと座っていたセフィアが、タブレットのような水晶板を操作しながら微笑みかけてきた。
「ああ、最高だ。……というか、快適すぎて布団から出られないな」
アキオは苦笑しながら身を起こした。
壁には、地下都市から回収した「環境維持パネル」が埋め込まれている。アキオが名付けた『魔導エアコン』だ。これのおかげで、新・中央館は常春の楽園と化していた。
「お風呂、沸かしておきました」
セフィアが指先で空中のパネルを操作すると、バスルームから「ポーン」という軽やかな音が響く。
行ってみると、湯船には0.1秒でお湯が満たされ、しかも入浴剤代わりの薬草エキスまで自動で調合されていた。
「便利すぎる……。俺が求めていたスローライフって、こういうことだったのか?」
アキオは贅沢な悩みをつぶやきながら、朝の支度を整えて外に出た。
◇
外に出ると、そこにはさらに信じられない光景が広がっていた。
広大な農場では、ザックたち元荒くれ共が、農具を持たずに腕組みをして立っている。
彼らの目の前では、かつて地下都市の警備をしていた巨大なゴーレムたちが、その剛腕に特注の鍬(くわ)を取り付け、猛烈なスピードで畑を耕していたのだ。
「おう、だんな! 見てくれよこれ! 朝から晩までかかってた開墾作業が、十分で終わっちまった!」
「ザック、お前ら……それじゃ体がなまるぞ」
「へへっ、空いた時間でキナの姐さんと狩りの訓練ができるって喜んでるぜ!」
さらに、街道の方を見れば、シャルロッテが目を輝かせて指示を飛ばしている。
そこでは、重い荷物を満載したコンテナが、車輪もないのに地上数センチを浮遊し、滑るように運ばれていく。古代の『浮遊ディスク』を大型化した、リザとドルガン親方の自信作だ。
「素晴らしいですわアキオ様! これなら、卵を運んでも一つも割れません! 聖域の物流革命ですわ!」
極めつけは、アキオの懐で震えた小さなクリスタル板だ。
取り出すと、そこには森の奥にいるはずのキナの声が鮮明に響いた。
『よぉだんな! 聞こえるか? 今、すげえデカい猪を見つけたぞ! 今夜は猪鍋だ!』
古代の念話増幅技術を応用した『魔導スマホ』だ。映像までは送れないが、遠く離れた家族の声がいつでも聞ける。
「……すごいな。一気に百年くらい未来に来ちまった気分だ」
アキオが呆然としていると、セフィアが申し訳なさそうに上目遣いで見てきた。
「あの……アキオ様。やりすぎ……でしたか? 私はただ、皆様の役に立ちたくて、リザ様たちに使い方を教えただけで……」
「いやいや、感謝してるよ。便利になるのはいいことだ」
アキオはセフィアの頭を撫でた。
「ただ、あまりに便利になりすぎると、人間がダメになりそうでな。……よし! 今日の昼飯は、俺が竈(かまど)で火をおこして作るぞ! 便利機能禁止だ!」
「賛成ですわ! たまには不便を楽しむのも、贅沢というものですものね」
アヤネが笑って賛同する。
超古代文明のテクノロジーと、薪で火を焚くスローライフ。
そのちぐはぐで、けれど最高に豊かな生活が、聖域の新しい「日常」として定着し始めていた。
アキオは、ふかふかのベッドの中で目を覚ました。
窓の外はまだ肌寒い季節のはずだが、寝室の空気は春のように暖かく、湿度は完璧に保たれている。
「……おはよう、アキオ様。室温は快適ですか?」
枕元にちょこんと座っていたセフィアが、タブレットのような水晶板を操作しながら微笑みかけてきた。
「ああ、最高だ。……というか、快適すぎて布団から出られないな」
アキオは苦笑しながら身を起こした。
壁には、地下都市から回収した「環境維持パネル」が埋め込まれている。アキオが名付けた『魔導エアコン』だ。これのおかげで、新・中央館は常春の楽園と化していた。
「お風呂、沸かしておきました」
セフィアが指先で空中のパネルを操作すると、バスルームから「ポーン」という軽やかな音が響く。
行ってみると、湯船には0.1秒でお湯が満たされ、しかも入浴剤代わりの薬草エキスまで自動で調合されていた。
「便利すぎる……。俺が求めていたスローライフって、こういうことだったのか?」
アキオは贅沢な悩みをつぶやきながら、朝の支度を整えて外に出た。
◇
外に出ると、そこにはさらに信じられない光景が広がっていた。
広大な農場では、ザックたち元荒くれ共が、農具を持たずに腕組みをして立っている。
彼らの目の前では、かつて地下都市の警備をしていた巨大なゴーレムたちが、その剛腕に特注の鍬(くわ)を取り付け、猛烈なスピードで畑を耕していたのだ。
「おう、だんな! 見てくれよこれ! 朝から晩までかかってた開墾作業が、十分で終わっちまった!」
「ザック、お前ら……それじゃ体がなまるぞ」
「へへっ、空いた時間でキナの姐さんと狩りの訓練ができるって喜んでるぜ!」
さらに、街道の方を見れば、シャルロッテが目を輝かせて指示を飛ばしている。
そこでは、重い荷物を満載したコンテナが、車輪もないのに地上数センチを浮遊し、滑るように運ばれていく。古代の『浮遊ディスク』を大型化した、リザとドルガン親方の自信作だ。
「素晴らしいですわアキオ様! これなら、卵を運んでも一つも割れません! 聖域の物流革命ですわ!」
極めつけは、アキオの懐で震えた小さなクリスタル板だ。
取り出すと、そこには森の奥にいるはずのキナの声が鮮明に響いた。
『よぉだんな! 聞こえるか? 今、すげえデカい猪を見つけたぞ! 今夜は猪鍋だ!』
古代の念話増幅技術を応用した『魔導スマホ』だ。映像までは送れないが、遠く離れた家族の声がいつでも聞ける。
「……すごいな。一気に百年くらい未来に来ちまった気分だ」
アキオが呆然としていると、セフィアが申し訳なさそうに上目遣いで見てきた。
「あの……アキオ様。やりすぎ……でしたか? 私はただ、皆様の役に立ちたくて、リザ様たちに使い方を教えただけで……」
「いやいや、感謝してるよ。便利になるのはいいことだ」
アキオはセフィアの頭を撫でた。
「ただ、あまりに便利になりすぎると、人間がダメになりそうでな。……よし! 今日の昼飯は、俺が竈(かまど)で火をおこして作るぞ! 便利機能禁止だ!」
「賛成ですわ! たまには不便を楽しむのも、贅沢というものですものね」
アヤネが笑って賛同する。
超古代文明のテクノロジーと、薪で火を焚くスローライフ。
そのちぐはぐで、けれど最高に豊かな生活が、聖域の新しい「日常」として定着し始めていた。
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