五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ

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第70話:初めての約束、芽生える愛と添い寝の夜

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 アキオと五人の妻たちの間で、新しい家族の形と未来への約束が交わされた数日後。シルヴィアの提案した「デートの日」と「夜のローテーション」が、いよいよ始まることになった。その最初の相手として、出会った順番、そして第一夫人という立場から、アヤネが選ばれたのは自然な流れだった。ただし、アキオの強い意向により、アヤネが二十歳を迎えるまでは、夜はあくまで「添い寝」という形が取られることになっていた。

 デートの当日、アヤネは朝からどこかそわそわと落ち着かない様子だった。シルヴィアやキナたちが「アヤネ、頑張ってね!」「アキオ様を独り占めできるなんて、羨ましいですわ!」と温かく(そして少しからかい気味に)送り出す中、彼女は頬を染めながらも、しっかりと頷いた。
「アキオ様、今日は…よろしくお願いいたします」
「ああ、こちらこそ。どこへ行きたいとか、何かしたいことはあるか?」
 アキオの優しい問いかけに、アヤネは少し考えた後、「でしたら…私たちの、最初の家…あの、森の小屋へ行ってみませんか? それから、生命樹の周りをゆっくりお散歩したいです」と、はにかみながら答えた。それは、二人にとって、そしてこの村の始まりにとって、かけがえのない場所だった。

 アキオとアヤネは、手を取り合って村を歩いた。すれ違う村人たちは、皆、温かい眼差しで二人を見守り、中には「村長、第一夫人とおデートですか!お幸せに!」と声をかけてくる者もいる。その度にアヤネは顔を赤らめたが、アキオと繋いだ手の温もりが、彼女の心を勇気づけた。
 森の奥の、最初に暮らした小さな小屋は、今もアキオたちの手で大切に手入れされ、時折物置として使われていた。二人はその前に並んで座り、出会った頃の思い出や、これまでの苦労、そして今の幸せについて、ぽつりぽつりと語り合った。
「あの頃は…毎日が必死でしたね。でも、アキオ様がいてくださったから…」
「俺の方こそ、アヤネや子供たちがいてくれたから、この世界で生きてこれたんだ」
 言葉少なながらも、互いの心は深く通い合っていた。

 生命樹の周りでは、聖獣の子たちが元気に駆け回り、美しい花々が咲き乱れていた。二人は、その聖なる気に包まれながら、ゆっくりと歩を進める。アヤネは、アキオの隣で、彼が語る村の未来の夢や、地球での思い出話に、静かに耳を傾けた。その横顔は、太陽の光を浴びてキラキラと輝き、アキオは改めて、彼女がこんなにも美しい女性に成長したのだという事実に、胸が熱くなるのを感じていた。

 日が暮れ、中央館の「愛の巣」――アキオとシルヴィアの寝室ではあったが、今夜はアヤネのために用意された特別な空間となっていた。アヤネは、シルヴィアが用意してくれた新しい寝間着(これも彼女がアヤネのために心を込めて縫ったものだ)に身を包み、緊張した面持ちでベッドの端に座っていた。
 アキオも、少しぎこちないながらも、彼女の隣に腰を下ろす。
「アヤネ…今日は、ありがとう。とても、良い一日だった」
「私も…私もです、アキオ様。夢のようで…本当に、幸せでした」
 アヤネの声は震えていた。アキオは、そっと彼女の手を取ると、優しくベッドへと促した。
「今夜は、こうして一緒に眠るだけだ。君が二十歳になるまでは、それ以上のことはしないと約束する。だが、君が俺の大切な妻であることに、変わりはない」
 その言葉に、アヤネの瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。それは、安堵と、感謝と、そして何よりもアキオへの深い愛情が溢れ出た涙だった。
「アキオ様……!」
 彼女は、たまらずアキオの胸に顔をうずめた。アキオは、その華奢な体を優しく抱きしめ、彼女の髪をそっと撫でる。幼い頃、こうして彼女を慰めた日のことを思い出し、アキオの胸にも様々な感情が込み上げてきた。
 アヤネは、アキオの腕の中で、その温もりと力強い鼓動を感じながら、これまでの人生で感じたことのないほどの幸福感と安心感に包まれていた。彼女は、顔を上げ、潤んだ瞳でアキオを見つめると、震える声で言った。
「私…アキオ様の妻になれて…本当に、本当に幸せです……! いつか…いつか、私が二十歳になったら…その時は……」
 そこまで言うと、彼女は再び言葉を詰まらせ、顔を真っ赤にしてアキオの胸に顔を隠した。

 アキオは、そんなアヤネのいじらしさと純粋な想いに、どうしようもないほどの愛おしさを感じていた。彼は、アヤネの額に優しい口づけを落とすと、しっかりと彼女を抱きしめたまま、静かに横になった。
 同じ寝具の中で、互いの温もりを感じ合い、穏やかな寝息を立てるアヤネ。アキオは、その寝顔を見守りながら、彼女がこれからさらに美しい女性へと成長していく未来を思い描き、その時が来るのを、心からの愛情をもって待ち続けようと、静かに誓うのだった。
 この夜、二人の間に肉体的な交わりはなかった。しかし、その心は、かつてないほど深く、そして温かく結ばれたのだった。
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