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第71話:獣人流デートと初めての夜の攻防(?)
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アヤネとの穏やかで心温まるデートと添い寝の夜から数日後。アキオの「デートの日」の次なる相手は、狼獣人のキナだった。彼女は、この日を指折り数えて待っていたようで、朝からそわそわと落ち着かず、その大きな尻尾は嬉しそうに左右に揺れっぱなしだった。
「だんなー! 今日はあたしとのおデートの日だよね! どこ行く? 何する? あたし、だんなと一緒ならどこでも楽しいぜ!」
キナは、アキオの腕に元気よく絡みつき、その太陽のような笑顔を向ける。そのあまりの積極性と距離の近さに、アキオは少しタジタジになりながらも、彼女の純粋な好意を嬉しく感じていた。
「そうだな…キナは森が好きだろうから、今日は一緒に森の奥まで行って、新しい狩場や薬草を探してみるのはどうだ? お弁当はアヤネが作ってくれたし、シルヴィアからは『くれぐれも、このじゃじゃ馬娘に振り回されぬように』と釘を刺されてるがな」
アキオが苦笑しながら言うと、キナは「奥方様も心配性だねぇ! 大丈夫だって、だんなはあたしがしっかり守るからさ!」と胸を張った。
二人のデートは、まさにキナの独壇場だった。彼女は獣人ならではの優れた五感で、アキオも気づかなかったような微かな獣の痕跡や、珍しいキノコ、薬効のある植物などを次々と見つけ出し、アキオを驚かせた。時には、高い木に軽々と登って木の実を採ったり、素早い動きで小動物を追いかけたり(狩りはしなかったが)と、その野性的な魅力と生命力は、アキオの目にも新鮮で、そして眩しく映った。
「だんな、見て見て! このキノコ、すっげーいい匂いがするぜ! 後でシルヴィアの奥方様に見てもらおう!」
「こっちには、綺麗な色の鳥の羽根が落ちてたよ! ミコちゃんやユメちゃんへのお土産にどうだい?」
キナは、見つけたものを次々とアキオに見せ、その度に彼の反応を嬉しそうに伺う。アキオも、彼女の純粋な喜びように、自然と笑みがこぼれた。
森の奥深く、陽光が差し込む美しい泉のほとりで、二人はアヤネが作ってくれたお弁当を広げた。
「アヤネちゃんのご飯、やっぱり最高だね! だんなは毎日こんな美味いもん食えて幸せもんだな!」
キナは大きな口でパンを頬張りながら言う。
「ああ、本当に。アヤネには感謝してもしきれないよ。…キナも、いつも村のために力仕事や狩りを頑張ってくれて、本当に助かってる。ありがとうな」
アキオが素直に感謝を伝えると、キナは一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐに顔を真っ赤にして俯いた。
「べ、別に…だんなのためってわけじゃ…いや、まあ、だんなのためでもあるけどさ…! あたしは、この村が好きだし、みんなが好きだからやってるだけだよ!」
その照れたような表情は、普段の快活な彼女とは違う、年頃の娘らしい可愛らしさを感じさせた。
日が暮れ、中央館のキナの私室(彼女の希望で、少し野趣あふれる内装になっている)に戻ると、キナは途端に緊張した面持ちになった。部屋の中には、彼女が集めてきた森の香りの良い花や葉が飾られ、獣の毛皮が敷かれた寝台が一つ。
「だ、だんな……その……あたし、こういうの、初めてだから……その、なんていうか……お手柔らかに、頼むよ……?」
先ほどの森での勇ましさとは裏腹に、キナの声は小さく震え、その大きな瞳は潤んでいる。アキオも、彼女のそのいじらしさに、胸が高鳴るのを感じていた。これが、彼女との「初めての夜」なのだ。
(シルヴィアとの時も、アヤネとの時もそうだったが…俺は本当に、この世界の女性たちの純粋さに、救われているのかもしれないな……)
アキオは、キナの震える手を優しく取ると、ゆっくりと寝台へと導いた。
「大丈夫だ、キナ。俺も、君の気持ちを大切にしたい。焦ることはない。ゆっくりと、お互いを知っていこう」
アキオの言葉に、キナは少しだけ安心したように頷いた。しかし、いざ寝台に横になると、彼女の緊張は再び高まり、アキオがそっと彼女を抱き寄せようとすると、
「ひゃっ!? だ、だんな、いきなりはダメだって! あたし、心の準備が…!」
と、思わずアキオを突き飛ばさんばかりの勢いで身を捩った。アキオは慌てて手を引く。
「す、すまない、キナ! つい…」
「い、いや、あたしの方こそごめん! だって、こんなの初めてで…どうしたらいいか…」
キナは顔を真っ赤にして、毛皮に顔をうずめてしまう。
その後も、アキオが少しでも近づこうとすると、キナが「ま、待って!」と慌てたり、かと思えば、アキオが少し距離を取ると、「…だんな、あたしのこと、嫌いになっちゃったのかい…?」と不安そうに上目遣いで見てきたりと、まさに一進一退の攻防(?)が続いた。
アキオは、そのあまりの初々しさと不器用さに、困惑しつつも、どうしようもないほどの愛おしさを感じていた。彼は、無理強いすることは決してせず、ただ優しくキナに語りかけ、彼女の緊張が解けるのを辛抱強く待った。
どれほどの時間が経っただろうか。アキオの優しさと誠実さが、キナの心の壁を少しずつ溶かしていった。彼女は、アキオの温かい手に導かれるように、ゆっくりと彼に身を委ね、初めての愛の交歓は、不器用ながらも情熱的で、そして何よりもお互いを深く求め合う、忘れられないものとなった。やがてキナの体の力が抜け、アキオの腕の中で小さな寝息を立て始めたのは、三つの月が空高く昇る頃だった。彼女の寝顔は、まだ少し緊張の色を残しながらも、どこか安心しきったような、子供のような無邪気さがあった。
アキオは、キナの柔らかな髪をそっと撫でながら、心の中で呟いた。
(…まあ、これもまた、一つの始まりの形なのかもしれないな。大変だったが…愛おしい夜だ)
この不器用で、しかし純粋な獣人の妻との愛もまた、アキオの心に深く、そして温かく刻まれていくのだった。
「だんなー! 今日はあたしとのおデートの日だよね! どこ行く? 何する? あたし、だんなと一緒ならどこでも楽しいぜ!」
キナは、アキオの腕に元気よく絡みつき、その太陽のような笑顔を向ける。そのあまりの積極性と距離の近さに、アキオは少しタジタジになりながらも、彼女の純粋な好意を嬉しく感じていた。
「そうだな…キナは森が好きだろうから、今日は一緒に森の奥まで行って、新しい狩場や薬草を探してみるのはどうだ? お弁当はアヤネが作ってくれたし、シルヴィアからは『くれぐれも、このじゃじゃ馬娘に振り回されぬように』と釘を刺されてるがな」
アキオが苦笑しながら言うと、キナは「奥方様も心配性だねぇ! 大丈夫だって、だんなはあたしがしっかり守るからさ!」と胸を張った。
二人のデートは、まさにキナの独壇場だった。彼女は獣人ならではの優れた五感で、アキオも気づかなかったような微かな獣の痕跡や、珍しいキノコ、薬効のある植物などを次々と見つけ出し、アキオを驚かせた。時には、高い木に軽々と登って木の実を採ったり、素早い動きで小動物を追いかけたり(狩りはしなかったが)と、その野性的な魅力と生命力は、アキオの目にも新鮮で、そして眩しく映った。
「だんな、見て見て! このキノコ、すっげーいい匂いがするぜ! 後でシルヴィアの奥方様に見てもらおう!」
「こっちには、綺麗な色の鳥の羽根が落ちてたよ! ミコちゃんやユメちゃんへのお土産にどうだい?」
キナは、見つけたものを次々とアキオに見せ、その度に彼の反応を嬉しそうに伺う。アキオも、彼女の純粋な喜びように、自然と笑みがこぼれた。
森の奥深く、陽光が差し込む美しい泉のほとりで、二人はアヤネが作ってくれたお弁当を広げた。
「アヤネちゃんのご飯、やっぱり最高だね! だんなは毎日こんな美味いもん食えて幸せもんだな!」
キナは大きな口でパンを頬張りながら言う。
「ああ、本当に。アヤネには感謝してもしきれないよ。…キナも、いつも村のために力仕事や狩りを頑張ってくれて、本当に助かってる。ありがとうな」
アキオが素直に感謝を伝えると、キナは一瞬きょとんとした顔をしたが、すぐに顔を真っ赤にして俯いた。
「べ、別に…だんなのためってわけじゃ…いや、まあ、だんなのためでもあるけどさ…! あたしは、この村が好きだし、みんなが好きだからやってるだけだよ!」
その照れたような表情は、普段の快活な彼女とは違う、年頃の娘らしい可愛らしさを感じさせた。
日が暮れ、中央館のキナの私室(彼女の希望で、少し野趣あふれる内装になっている)に戻ると、キナは途端に緊張した面持ちになった。部屋の中には、彼女が集めてきた森の香りの良い花や葉が飾られ、獣の毛皮が敷かれた寝台が一つ。
「だ、だんな……その……あたし、こういうの、初めてだから……その、なんていうか……お手柔らかに、頼むよ……?」
先ほどの森での勇ましさとは裏腹に、キナの声は小さく震え、その大きな瞳は潤んでいる。アキオも、彼女のそのいじらしさに、胸が高鳴るのを感じていた。これが、彼女との「初めての夜」なのだ。
(シルヴィアとの時も、アヤネとの時もそうだったが…俺は本当に、この世界の女性たちの純粋さに、救われているのかもしれないな……)
アキオは、キナの震える手を優しく取ると、ゆっくりと寝台へと導いた。
「大丈夫だ、キナ。俺も、君の気持ちを大切にしたい。焦ることはない。ゆっくりと、お互いを知っていこう」
アキオの言葉に、キナは少しだけ安心したように頷いた。しかし、いざ寝台に横になると、彼女の緊張は再び高まり、アキオがそっと彼女を抱き寄せようとすると、
「ひゃっ!? だ、だんな、いきなりはダメだって! あたし、心の準備が…!」
と、思わずアキオを突き飛ばさんばかりの勢いで身を捩った。アキオは慌てて手を引く。
「す、すまない、キナ! つい…」
「い、いや、あたしの方こそごめん! だって、こんなの初めてで…どうしたらいいか…」
キナは顔を真っ赤にして、毛皮に顔をうずめてしまう。
その後も、アキオが少しでも近づこうとすると、キナが「ま、待って!」と慌てたり、かと思えば、アキオが少し距離を取ると、「…だんな、あたしのこと、嫌いになっちゃったのかい…?」と不安そうに上目遣いで見てきたりと、まさに一進一退の攻防(?)が続いた。
アキオは、そのあまりの初々しさと不器用さに、困惑しつつも、どうしようもないほどの愛おしさを感じていた。彼は、無理強いすることは決してせず、ただ優しくキナに語りかけ、彼女の緊張が解けるのを辛抱強く待った。
どれほどの時間が経っただろうか。アキオの優しさと誠実さが、キナの心の壁を少しずつ溶かしていった。彼女は、アキオの温かい手に導かれるように、ゆっくりと彼に身を委ね、初めての愛の交歓は、不器用ながらも情熱的で、そして何よりもお互いを深く求め合う、忘れられないものとなった。やがてキナの体の力が抜け、アキオの腕の中で小さな寝息を立て始めたのは、三つの月が空高く昇る頃だった。彼女の寝顔は、まだ少し緊張の色を残しながらも、どこか安心しきったような、子供のような無邪気さがあった。
アキオは、キナの柔らかな髪をそっと撫でながら、心の中で呟いた。
(…まあ、これもまた、一つの始まりの形なのかもしれないな。大変だったが…愛おしい夜だ)
この不器用で、しかし純粋な獣人の妻との愛もまた、アキオの心に深く、そして温かく刻まれていくのだった。
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