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第91話:奥方様の秘策、聖霊の悪戯と王女の自覚
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アキオたちの町に、キナの出産予定日が近づき、村全体がどこかそわそわとした期待感と、ほんの少しの緊張感に包まれていた。レオノーラのお腹も日に日に大きくなり、シルヴィアもまた、エルフとしての穏やかながらも確かな胎動を感じながら、母となる喜びを噛み締めていた。アヤネは、そんな姉妹のような妻たちを献身的に支え、助産師のマーサと共に、来るべき日に向けて万全の準備を整えていた。
一方、アキオは、愛する妻たちが次々と母となる喜びを感じつつも、自身の内に湧き上がる、以前にも増して旺盛な活力と…まあ、平たく言えば性欲を持て余し気味だった。シルヴィアは妊娠中期で比較的安定しているとはいえ無理はさせられないし、キナとレオノーラは臨月間近。アヤネとは約束がある。
(うーん、これは…正直、キツいな…)
アキオは、夜な夜な一人で腕立て伏せをしたり、早朝から無駄に走り込みをしたりして気を紛らわせようとするが、その有り余るエネルギーはなかなか収まるところを知らない。
そんなアキオの苦悩(?)を、誰よりも敏感に察していたのは、やはり正妻シルヴィアだった。彼女は、他の妻たちには内緒で、村に滞在中の聖霊様の元をそっと訪ねた。
「聖霊様…実は、夫アキオのことで、少々ご相談が…」
シルヴィアから事情を聞いた聖霊様は、クスクスと悪戯っぽく笑った。
「ふむ、人の子のオスというものは、なかなかどうして、厄介な生き物じゃのう。だが、奥方よ、安心せい。その悩み、このわらわが、ちょいと面白い方法で解決して進ぜよう」
その言葉通り、その夜から、アキオの身に不思議な現象が起こり始めた。夢の中で、どこまでも広がる美しい花畑をシルヴィアと手を取り合って散策したり、あるいは天を翔るような心地よい浮遊感を味わったりと、毎晩のように穏やかで幸福感に満ちた夢を見るようになったのだ。そして、朝目覚めると、不思議と心身ともにスッキリとし、あの持て余していたエネルギーも程よく鎮まっているのだった。
「…なんだか、最近よく眠れるし、体の調子もいいな…」
アキオは不思議に思いながらも、聖霊様の秘策(あるいは、彼女の高度な精神干渉による「夢の中での奉仕」?)には全く気づいていない。シルヴィアは、そんなアキオの様子を見て、聖霊様に感謝しつつも、その悪戯っぽいやり方に少しだけ頬を赤らめるのだった。
そして、ついにキナの陣痛が始まった。助産師マーサの的確な指示のもと、アヤネが献身的に付き添い、シルヴィアも薬草で痛みを和らげる手助けをする。中央館の一室は、緊張と期待、そして生命の誕生という神聖な雰囲気に包まれた。
アキオは、落ち着かない様子で部屋の前をうろうろするばかり。その時、隣でキナの無事を祈っていたセレスティーナの顔色が、ふと青ざめたのにアヤネが気づいた。
「セレスティーナ様? 大丈夫ですか? 顔色が…」
「え…? あ、いえ、わたくしは…ただ、この場の雰囲気に少し…」
セレスティーナは言葉を濁したが、その額には脂汗が滲んでいる。マーサが、キナの様子を見ながらも、ちらりとセレスティーナに視線を送り、そして何かに気づいたように小さく息をのんだ。
数時間の後、元気な産声と共に、キナは狼獣人の特徴を受け継いだ可愛らしい男の子を無事に出産した。村中が歓喜に沸く中、マーサはそっとアキオとシルヴィアを呼び止め、神妙な顔つきで告げた。
「村長様、奥方様…大変申し上げにくいのですが…セレスティーナ様も、ご懐妊されております。それも、おそらくは…もう安定期に入られた頃かと…」
「「えええええっ!?」」
アキオとシルヴィアの驚きの声が重なる。
当のセレスティーナは、マーサの言葉にきょとんとしていた。
「わたくしが…妊娠…? でも、つわりのようなものも全くありませんでしたし、お腹も…ほとんど…」
彼女は自分のお腹を不思議そうに見つめる。確かに、シルヴィアやレオノーラに比べれば、その膨らみはごく僅かで、普段のゆったりとした服装ではほとんど気づかない程度だった。
「キナ様の出産が無事に終わるまで、アキオ様にご負担をおかけするわけにはまいりませんもの。わたくしは、キナ様がお元気になられるまで、アキオ様のお側はしっかりとお守りいたしますわ」
つい数日前まで、彼女はそう言って、アキオの夜の相手を健気に、そして以前の「覚醒」ぶりを遺憾なく発揮して務めていたのだ。まさかその時、既に自分のお腹に新しい命が宿っていたとは、夢にも思っていなかった。
「…つまり、セレスティーナは、妊娠している自覚がないまま、俺の…あの、底なしの…相手をしてくれていた、と…?」
アキオは、セレスティーナの献身と、そして自分の鈍感さに、改めて戦慄(と深い感謝)を覚えるのだった。
キナの出産、そしてセレスティーナのまさかの妊娠判明。アキオたちの町は、立て続けの吉報に、かつてないほどのお祝いムードに包まれた。そして、アヤネ以外の妻全員が妊婦(あるいは新米ママ)という、アキオにとっては嬉しくも悩ましい(?)状況が、こうして現実のものとなったのだった。
聖霊様は、その様子を生命樹の上から眺め、クスクスと楽しそうに笑っている。彼女の「いたずら」は、まだまだ続くのかもしれない。
一方、アキオは、愛する妻たちが次々と母となる喜びを感じつつも、自身の内に湧き上がる、以前にも増して旺盛な活力と…まあ、平たく言えば性欲を持て余し気味だった。シルヴィアは妊娠中期で比較的安定しているとはいえ無理はさせられないし、キナとレオノーラは臨月間近。アヤネとは約束がある。
(うーん、これは…正直、キツいな…)
アキオは、夜な夜な一人で腕立て伏せをしたり、早朝から無駄に走り込みをしたりして気を紛らわせようとするが、その有り余るエネルギーはなかなか収まるところを知らない。
そんなアキオの苦悩(?)を、誰よりも敏感に察していたのは、やはり正妻シルヴィアだった。彼女は、他の妻たちには内緒で、村に滞在中の聖霊様の元をそっと訪ねた。
「聖霊様…実は、夫アキオのことで、少々ご相談が…」
シルヴィアから事情を聞いた聖霊様は、クスクスと悪戯っぽく笑った。
「ふむ、人の子のオスというものは、なかなかどうして、厄介な生き物じゃのう。だが、奥方よ、安心せい。その悩み、このわらわが、ちょいと面白い方法で解決して進ぜよう」
その言葉通り、その夜から、アキオの身に不思議な現象が起こり始めた。夢の中で、どこまでも広がる美しい花畑をシルヴィアと手を取り合って散策したり、あるいは天を翔るような心地よい浮遊感を味わったりと、毎晩のように穏やかで幸福感に満ちた夢を見るようになったのだ。そして、朝目覚めると、不思議と心身ともにスッキリとし、あの持て余していたエネルギーも程よく鎮まっているのだった。
「…なんだか、最近よく眠れるし、体の調子もいいな…」
アキオは不思議に思いながらも、聖霊様の秘策(あるいは、彼女の高度な精神干渉による「夢の中での奉仕」?)には全く気づいていない。シルヴィアは、そんなアキオの様子を見て、聖霊様に感謝しつつも、その悪戯っぽいやり方に少しだけ頬を赤らめるのだった。
そして、ついにキナの陣痛が始まった。助産師マーサの的確な指示のもと、アヤネが献身的に付き添い、シルヴィアも薬草で痛みを和らげる手助けをする。中央館の一室は、緊張と期待、そして生命の誕生という神聖な雰囲気に包まれた。
アキオは、落ち着かない様子で部屋の前をうろうろするばかり。その時、隣でキナの無事を祈っていたセレスティーナの顔色が、ふと青ざめたのにアヤネが気づいた。
「セレスティーナ様? 大丈夫ですか? 顔色が…」
「え…? あ、いえ、わたくしは…ただ、この場の雰囲気に少し…」
セレスティーナは言葉を濁したが、その額には脂汗が滲んでいる。マーサが、キナの様子を見ながらも、ちらりとセレスティーナに視線を送り、そして何かに気づいたように小さく息をのんだ。
数時間の後、元気な産声と共に、キナは狼獣人の特徴を受け継いだ可愛らしい男の子を無事に出産した。村中が歓喜に沸く中、マーサはそっとアキオとシルヴィアを呼び止め、神妙な顔つきで告げた。
「村長様、奥方様…大変申し上げにくいのですが…セレスティーナ様も、ご懐妊されております。それも、おそらくは…もう安定期に入られた頃かと…」
「「えええええっ!?」」
アキオとシルヴィアの驚きの声が重なる。
当のセレスティーナは、マーサの言葉にきょとんとしていた。
「わたくしが…妊娠…? でも、つわりのようなものも全くありませんでしたし、お腹も…ほとんど…」
彼女は自分のお腹を不思議そうに見つめる。確かに、シルヴィアやレオノーラに比べれば、その膨らみはごく僅かで、普段のゆったりとした服装ではほとんど気づかない程度だった。
「キナ様の出産が無事に終わるまで、アキオ様にご負担をおかけするわけにはまいりませんもの。わたくしは、キナ様がお元気になられるまで、アキオ様のお側はしっかりとお守りいたしますわ」
つい数日前まで、彼女はそう言って、アキオの夜の相手を健気に、そして以前の「覚醒」ぶりを遺憾なく発揮して務めていたのだ。まさかその時、既に自分のお腹に新しい命が宿っていたとは、夢にも思っていなかった。
「…つまり、セレスティーナは、妊娠している自覚がないまま、俺の…あの、底なしの…相手をしてくれていた、と…?」
アキオは、セレスティーナの献身と、そして自分の鈍感さに、改めて戦慄(と深い感謝)を覚えるのだった。
キナの出産、そしてセレスティーナのまさかの妊娠判明。アキオたちの町は、立て続けの吉報に、かつてないほどのお祝いムードに包まれた。そして、アヤネ以外の妻全員が妊婦(あるいは新米ママ)という、アキオにとっては嬉しくも悩ましい(?)状況が、こうして現実のものとなったのだった。
聖霊様は、その様子を生命樹の上から眺め、クスクスと楽しそうに笑っている。彼女の「いたずら」は、まだまだ続くのかもしれない。
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