五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ

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第207話:新・中央館計画始動、そして妻たちの設計会議

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 凛とクラウディアの間に、かつて以上の友情が結ばれ、町の教育体制も新たな段階へと進み始めた頃。アキオは、町の喧騒の中心地である中央館で、嬉しい、しかし現実的な問題に直面していた。
 あまりにも、家が手狭なのだ。
 アキオ自身の子供たち、そして町のベビーラッシュで増えた多くの乳飲み子たちの元気な声、妻たちの賑やかな会話、凛やクラウディアとの仕事の打ち合わせ、そしてひっきりなしに訪れる町の住民からの相談事。現在の「第一の中央館」は、もはやその全ての活動を受け止めきれず、嬉しい悲鳴を上げていた。

「皆、聞いてくれ。この家も、もう手狭だな」
 ある日の夕食後、アキオは家族全員――シルヴィア、アウロラ、アヤネ、キナ、凛、そしてカイやアルト(一時帰還中)、ドルガン親方といった主要メンバーを集めて、切り出した。
「俺たちの、そしてこの町の未来のための、新しい、大きな家を建てようと思う」
 アキオが、町の中心部の、まだ手つかずの広大な区画を指しながら言うと、皆の顔が期待に輝いた。
「今度の家はな、ただ大きいだけじゃない。皆が、心から安らげる、自分だけの場所を持てるようにしたいんだ」
 アキオは、大きな羊皮紙を広げ、自ら引いた大まかな設計図を示した。それは、中央に執務室や食堂といった共有スペースを持つ本館を置き、そこから放射状に、妻たち一人一人のための独立した居住棟が繋がるという、壮大なものだった。
「というわけで、だ。皆の希望を聞かせてほしい。どんな部屋が、どんな空間が欲しい?」

 アキオのその言葉に、最初に口を開いたのは、正妻であるシルヴィアだった。
「わたくしは、アキオ様の執務室と繋がっている、静かで落ち着いた書斎と、薬草を調合するための清浄な研究室があれば、それで十分ですわ。そして、アルスとセレーネが遊べる、日の当たる小さな庭も…あると嬉しいですわね」
 その要望は、彼女の学者として、そして母としての立場を見事に表していた。

 次に、第一夫人として家事一切を取り仕切るアヤネが、少し頬を染めながら言った。
「わたくしは…最新の調理設備を備えた、広くて使いやすい厨房と、皆の食料を管理できる大きな食品庫が欲しいです。そして、アサヒと朱莉、町の子供たちが、雨の日でものびのびと遊べるような、板張りの広いプレイルームがあると嬉しいですわ」
 その言葉には、家族全員の胃袋と健康を預かる、彼女の深い愛情が込められていた。

「あたしはよぉ、」と、キナが元気よく続く。
「頑丈な訓練用の柱がある部屋と、リクたちが思いっきり走り回れる、土間のついた広い部屋がいいな! それと、だんながいつでもこっそり会いに来れるように、外から直接入れる秘密の入り口とかどうだ?」
 その快活で、少し悪戯っぽい提案に、皆から笑いが起こる。

 アキオは、次に凛に視線を向けた。彼女は、少し考え込んだ後、眼鏡の奥の理知的な瞳を輝かせた。
「わたくしは…壁一面の書棚と、大きな執務机、そして外部との書簡を整理するための、十分な収納スペースがあれば、他に望むものはありません。…もし許されるのであれば、アキオ様の執務室と隣接させていただけると、仕事が捗りますわ」
 その要望は、あくまで秘書官としてのものだったが、その言葉の端々からは、アキオの傍で彼を支えたいという、彼女の秘めたる想いが感じられた。

 最後に、アウロラが静かに口を開いた。
「わらわは、生命樹の光が直接差し込む、瞑想と祈りのための静かな空間があれば良いのです。そして、御子たちが、聖獣たちと自由に戯れることができる、清浄な中庭があれば…」
 その言葉は、この町の聖性を象徴するかのようだった。

 アキオは、妻たちのそれぞれの個性が溢れる願いを、愛情深く聞き入れ、その全てを設計図に盛り込むことを約束する。もちろん、エルドリアにいるセレスティーナとレオノーラのための、日当たりの良い、一番良い場所も確保されていた。
 翌日から、アキオ、ドルガン親方、凛、そしてアルトが中心となり、町の歴史上、最大規模となる建築プロジェクトの、具体的な設計と準備が始まった。その光景は、アキオ家の、そしてこの聖域の、新たな、そしてより豊かな未来の始まりを告げるものだった。
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