287 / 387
第287話:聖域の湯浴み、そして新たなる祝福
しおりを挟む
エルドリアから、セレスティーナとレオノーラ、そしてその子供たちが駆けつけてきたことで、アキオの新・中央館は、これまでにないほどの、賑やかさと、そして華やかな空気に満ちていた。王家との会談という、大きな問題を前に、アキオは、まず、このかけがえのない家族との時間を、何よりも大切にしたいと考えていた。
その日の午後、アキオは、妻たちと、そして歩けるようになった子供たち全員を連れて、新しく完成した、一家専用の大浴場へと向かった。
「うおおお! ひろーい!」「きゃはは、まってー!」
アルスやリク、アサヒといった男の子たちは、その広大な湯船に、歓声を上げて飛び込んでいく。ステラやエルザといった女の子たちも、母親に手を引かれながら、楽しそうに湯と戯れている。まだ歩けない、小さな子たちは、ユメや、町の若い女性たちが「子守役」として、隣接する休憩室で、責任を持って預かってくれている。
アキオは、そんな子供たちの姿を、湯船に浸かりながら、目を細めて見つめていた。その隣には、シルヴィアやアウロラ、キナたちが、穏やかな笑みを浮かべて寄り添っている。それは、彼が夢にまで見た、大家族の、幸せな日常そのものだった。
その夜。子供たちが、満足しきった顔で眠りにつくと、アキオの寝室の扉を、そっと叩く者がいた。セレスティーナとレオノーラだった。
「あなた…今宵は、わたくしたちと、共に過ごしていただけませんか…」
「アキオ…エルドリアにいる間、ずっと、お前の温もりが恋しかった…」
妊娠初期の身でありながら、愛する夫のために、そして家族の危機のために、遥々駆けつけてくれた二人の妻。その、いじらしいまでの愛情に、アキオが応えないはずはなかった。
その夜、三人は、明け方まで、何度も、深く、そして優しく愛し合った。それは、ただの肉欲の交歓ではない。遠く離れていても、自分たちの魂は、常にアキオと共にあり、そして、これからも、永遠に一つであるということを確かめ合う、神聖な誓いの儀式だった。
翌日、アキオが、少しだけ寝不足の頭で、執務室で凛やクラウディアと、王家への対策を練っていると、慌ただしい足音と共に、ヴァルト子爵が駆け込んできた。
「アキオ殿! 大変だ! スタンフィールド侯爵閣下より、正式な日程が通達された!」
子爵が差し出した羊皮紙には、十日後、侯爵領の都で、王家の名代を交えた、公式な会談の場が設けられる、と記されていた。
「そして、もう一つ…信じられん報せだ。陛下は、この会談の場で、アキオ殿を、聖域の領主として、正式に叙任される、と。…それも、男爵ではない。侯爵閣下の強い働きかけにより、いきなり『伯爵』の位を、お与えになるそうだ…!」
平民から、いきなり伯爵へ。その、前代未聞の叙任は、王家が、アキオを、いかに重要人物として、そして、懐柔すべき相手として見ているか、という、何よりの証拠だった。
そして、その報せがもたらされた、まさに同じ時。
新・中央館の庭で、もう一つの奇跡が、静かに起きていた。
先日、アキオが、妻たちと共に植えた、「神聖なる実」の種。その場所から、眩いほどの、虹色の光が溢れ出し、一本の、水晶のように透き通った、神々しい芽が、天を目指して、ゆっくりと顔を出したのだ。
その、あまりにも聖なる光景に、庭にいた妻たちは、息をのむ。
さらに、奇跡は続いた。
町の森との境界線。町の守護者である、三頭の若い聖獣たちが、何かを歓迎するかのように、嬉しそうな鳴き声を上げた。彼らの視線の先、森の木々の間から、一頭の、角が芽吹いたばかりの、子鹿のような、新しい聖獣が、おずおずと、しかし、迷いのない足取りで、姿を現したのだ。
アウロラの近くにいることの多い、成体の聖霊獣は、その新しい同胞の誕生を、まるで我が子を見るかのように、愛おしそうに見つめていた。
王家との対決という、大きな試練を前に、アキオの聖域は、その祝福の力を、さらに増大させていた。新しい命の誕生、新しい守護者の出現、そして、新しい聖樹の胎動。
アキオは、その全ての奇跡を、自らの家族と、仲間たちと共に、真正面から受け止める覚悟を、改めて、固めるのだった。
その日の午後、アキオは、妻たちと、そして歩けるようになった子供たち全員を連れて、新しく完成した、一家専用の大浴場へと向かった。
「うおおお! ひろーい!」「きゃはは、まってー!」
アルスやリク、アサヒといった男の子たちは、その広大な湯船に、歓声を上げて飛び込んでいく。ステラやエルザといった女の子たちも、母親に手を引かれながら、楽しそうに湯と戯れている。まだ歩けない、小さな子たちは、ユメや、町の若い女性たちが「子守役」として、隣接する休憩室で、責任を持って預かってくれている。
アキオは、そんな子供たちの姿を、湯船に浸かりながら、目を細めて見つめていた。その隣には、シルヴィアやアウロラ、キナたちが、穏やかな笑みを浮かべて寄り添っている。それは、彼が夢にまで見た、大家族の、幸せな日常そのものだった。
その夜。子供たちが、満足しきった顔で眠りにつくと、アキオの寝室の扉を、そっと叩く者がいた。セレスティーナとレオノーラだった。
「あなた…今宵は、わたくしたちと、共に過ごしていただけませんか…」
「アキオ…エルドリアにいる間、ずっと、お前の温もりが恋しかった…」
妊娠初期の身でありながら、愛する夫のために、そして家族の危機のために、遥々駆けつけてくれた二人の妻。その、いじらしいまでの愛情に、アキオが応えないはずはなかった。
その夜、三人は、明け方まで、何度も、深く、そして優しく愛し合った。それは、ただの肉欲の交歓ではない。遠く離れていても、自分たちの魂は、常にアキオと共にあり、そして、これからも、永遠に一つであるということを確かめ合う、神聖な誓いの儀式だった。
翌日、アキオが、少しだけ寝不足の頭で、執務室で凛やクラウディアと、王家への対策を練っていると、慌ただしい足音と共に、ヴァルト子爵が駆け込んできた。
「アキオ殿! 大変だ! スタンフィールド侯爵閣下より、正式な日程が通達された!」
子爵が差し出した羊皮紙には、十日後、侯爵領の都で、王家の名代を交えた、公式な会談の場が設けられる、と記されていた。
「そして、もう一つ…信じられん報せだ。陛下は、この会談の場で、アキオ殿を、聖域の領主として、正式に叙任される、と。…それも、男爵ではない。侯爵閣下の強い働きかけにより、いきなり『伯爵』の位を、お与えになるそうだ…!」
平民から、いきなり伯爵へ。その、前代未聞の叙任は、王家が、アキオを、いかに重要人物として、そして、懐柔すべき相手として見ているか、という、何よりの証拠だった。
そして、その報せがもたらされた、まさに同じ時。
新・中央館の庭で、もう一つの奇跡が、静かに起きていた。
先日、アキオが、妻たちと共に植えた、「神聖なる実」の種。その場所から、眩いほどの、虹色の光が溢れ出し、一本の、水晶のように透き通った、神々しい芽が、天を目指して、ゆっくりと顔を出したのだ。
その、あまりにも聖なる光景に、庭にいた妻たちは、息をのむ。
さらに、奇跡は続いた。
町の森との境界線。町の守護者である、三頭の若い聖獣たちが、何かを歓迎するかのように、嬉しそうな鳴き声を上げた。彼らの視線の先、森の木々の間から、一頭の、角が芽吹いたばかりの、子鹿のような、新しい聖獣が、おずおずと、しかし、迷いのない足取りで、姿を現したのだ。
アウロラの近くにいることの多い、成体の聖霊獣は、その新しい同胞の誕生を、まるで我が子を見るかのように、愛おしそうに見つめていた。
王家との対決という、大きな試練を前に、アキオの聖域は、その祝福の力を、さらに増大させていた。新しい命の誕生、新しい守護者の出現、そして、新しい聖樹の胎動。
アキオは、その全ての奇跡を、自らの家族と、仲間たちと共に、真正面から受け止める覚悟を、改めて、固めるのだった。
43
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜
キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」
20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。
一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。
毎日19時更新予定。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
スキル『倍加』でイージーモードな異世界生活
怠惰怠man
ファンタジー
異世界転移した花田梅。
スキル「倍加」により自分のステータスを倍にしていき、超スピードで最強に成り上がる。
何者にも縛られず、自由気ままに好きなことをして生きていくイージーモードな異世界生活。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた
秋月静流
ファンタジー
勇者パーティを追放されたおっさん冒険者ガリウス・ノーザン37歳。
しかし彼を追放した筈のメンバーは実はヤバいほど彼を慕っていて……
テンプレ的な展開を逆手に取ったコメディーファンタジーの連載版です。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる