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第318話:魂の誓いと、初めてのキス
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リリアーナとシャルロッテが光り輝く生命樹の実を口にした瞬間、世界が変わった。 それは味覚や食感といった陳腐な言葉では表現できない体験。魂が直接揺さぶられる圧倒的な多幸感。温かい金の光が体の内側から溢れ出し、細胞の一つ一つを歓喜の色に染め上げていく。 そして脳裏に無数の記憶が流れ込む。 アキオが初めて鍬を握った時の土の匂い。シルヴィアと愛を知った夜の月光。アヤネの出産、キナの疾走。妻たちの愛情、子供たちの笑い声、住民たちの感謝の祈り。 聖域の全ての愛と歴史が奔流となって二人を満たした。
「あ……ぁ……」
リリアーナはあまりの温かさに、生まれて初めて声を上げて泣いていた。滅びた帝国の皇女として自らを縛り付けてきた「氷の鎧」が、音を立てて溶けていく。 シャルロッテも膝から崩れ落ちそうになるのを必死に堪えていた。常に他者の期待に応え続けてきた人生。だが今感じているのは、無条件の絶対的な肯定感。ありのままの自分でいいという魂の安堵だった。
アキオは魂の変革の中にいる二人を静かに見つめていた。意識が少し戻ったのを見計らい、ゆっくりと歩み寄る。 まずは涙に濡れるリリアーナの前に立った。
「……お帰り、リリアーナ。俺の家族へ」
静かで、何よりも優しい声。アキオは両腕を広げ、震える小さな体を胸の中へと包み込んだ。 温かい。 リリアーナは逞しい胸板に顔を埋めた。木の匂い、土の匂い、太陽の匂い。ずっと求めていた絶対的な安らぎ。守られている。愛されている。ここに本当の居場所があったのだ。 想いが頂点に達した瞬間、彼女の理性が吹き飛んだ。 リリアーナは顔を上げると、導かれるように潤んだ唇をアキオのそれに重ねた。 ほんの一瞬、柔らかな感触。 だが直後、彼女は自分が何をしたのかを悟る。
「あ……っ! も、申し訳ありませ……! わ、わたくしは、何を……!」
白い肌が一瞬で炎のように赤く染まる。彼女は慌ててアキオの胸から飛びのき、顔を両手で覆って俯いてしまった。
アキオは初々しい反応に苦笑すると、呆然と立ち尽くしているシャルロッテへ向き直った。
「シャルロッテも、お帰り。よく決心してくれたな」
同じように彼女の華奢な体を優しく抱きしめる。 シャルロッテの心臓は早鐘を打っていた。リリアーナの大胆な行動、そして今、憧れの人の腕の中にいる安心感。これこそが知恵と覚悟を懸けて手に入れたかった宝物。 (リリアーナ様だけにいい格好はさせませんわ……!) 可愛い対抗心が、彼女の最後の理性のタガを外した。 シャルロッテは少し背伸びをすると、アキオの唇に自らのそれを「ちゅ」と押し当てた。明確な意志を持った口づけだった。 そして彼女もまた、自らの行動の意味を悟る。
「……こ、これも、その……家族としての挨拶ですわ! そうです! それ以外に意味はありませんことよ!」
顔を真っ赤にしながら腕を組み、ぷいとそっぽを向く。その強気な態度がいじらしさを際立たせていた。
アキオは対照的な二人の反応を、愛おしく見つめていた。 (……これが、あいつらの覚悟に対する答えか) この抱擁は、彼女たちを自らの守るべき領域(テリトリー)へ正式に招き入れる儀式だった。キスは予想外だったが、それだけ本気だということだろう。なら、俺もちゃんと受け止めなければならない。
あまりの恥ずかしさに耐えきれなくなった二人は、「し、失礼いたしますわ!」「ご、ごきげんよう!」と叫び、逃げるようにその場を走り去っていった。 生命樹の下に一人残されたアキオは、やれやれと空を見上げる。その顔には幸せそうな笑みが浮かんでいた。
その夜。 リリアーナはベッドで枕に顔を埋め、足をバタバタさせていた。「わたくしの馬鹿、馬鹿、馬鹿……!」。 シャルロッテもまた、天井を見つめながら真っ赤な顔で呟いていた。「……明日はどんな顔でお会いすればいいのかしら……」。 二人の眠れない夜は、まだ始まったばかりだった。
「あ……ぁ……」
リリアーナはあまりの温かさに、生まれて初めて声を上げて泣いていた。滅びた帝国の皇女として自らを縛り付けてきた「氷の鎧」が、音を立てて溶けていく。 シャルロッテも膝から崩れ落ちそうになるのを必死に堪えていた。常に他者の期待に応え続けてきた人生。だが今感じているのは、無条件の絶対的な肯定感。ありのままの自分でいいという魂の安堵だった。
アキオは魂の変革の中にいる二人を静かに見つめていた。意識が少し戻ったのを見計らい、ゆっくりと歩み寄る。 まずは涙に濡れるリリアーナの前に立った。
「……お帰り、リリアーナ。俺の家族へ」
静かで、何よりも優しい声。アキオは両腕を広げ、震える小さな体を胸の中へと包み込んだ。 温かい。 リリアーナは逞しい胸板に顔を埋めた。木の匂い、土の匂い、太陽の匂い。ずっと求めていた絶対的な安らぎ。守られている。愛されている。ここに本当の居場所があったのだ。 想いが頂点に達した瞬間、彼女の理性が吹き飛んだ。 リリアーナは顔を上げると、導かれるように潤んだ唇をアキオのそれに重ねた。 ほんの一瞬、柔らかな感触。 だが直後、彼女は自分が何をしたのかを悟る。
「あ……っ! も、申し訳ありませ……! わ、わたくしは、何を……!」
白い肌が一瞬で炎のように赤く染まる。彼女は慌ててアキオの胸から飛びのき、顔を両手で覆って俯いてしまった。
アキオは初々しい反応に苦笑すると、呆然と立ち尽くしているシャルロッテへ向き直った。
「シャルロッテも、お帰り。よく決心してくれたな」
同じように彼女の華奢な体を優しく抱きしめる。 シャルロッテの心臓は早鐘を打っていた。リリアーナの大胆な行動、そして今、憧れの人の腕の中にいる安心感。これこそが知恵と覚悟を懸けて手に入れたかった宝物。 (リリアーナ様だけにいい格好はさせませんわ……!) 可愛い対抗心が、彼女の最後の理性のタガを外した。 シャルロッテは少し背伸びをすると、アキオの唇に自らのそれを「ちゅ」と押し当てた。明確な意志を持った口づけだった。 そして彼女もまた、自らの行動の意味を悟る。
「……こ、これも、その……家族としての挨拶ですわ! そうです! それ以外に意味はありませんことよ!」
顔を真っ赤にしながら腕を組み、ぷいとそっぽを向く。その強気な態度がいじらしさを際立たせていた。
アキオは対照的な二人の反応を、愛おしく見つめていた。 (……これが、あいつらの覚悟に対する答えか) この抱擁は、彼女たちを自らの守るべき領域(テリトリー)へ正式に招き入れる儀式だった。キスは予想外だったが、それだけ本気だということだろう。なら、俺もちゃんと受け止めなければならない。
あまりの恥ずかしさに耐えきれなくなった二人は、「し、失礼いたしますわ!」「ご、ごきげんよう!」と叫び、逃げるようにその場を走り去っていった。 生命樹の下に一人残されたアキオは、やれやれと空を見上げる。その顔には幸せそうな笑みが浮かんでいた。
その夜。 リリアーナはベッドで枕に顔を埋め、足をバタバタさせていた。「わたくしの馬鹿、馬鹿、馬鹿……!」。 シャルロッテもまた、天井を見つめながら真っ赤な顔で呟いていた。「……明日はどんな顔でお会いすればいいのかしら……」。 二人の眠れない夜は、まだ始まったばかりだった。
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