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第323話:限界の夜と、正妻たちの『癒やし』
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シャルロッテが誇らしげに、そして満足げに部屋を去っていった後、アキオは一人、その場に立ち尽くしていた。扉が閉まるその最後の瞬間まで、彼女の輝くような笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。
(……リリアーナに、シャルロッテ……。こう立て続けにこられると、さすがの俺の理性もそろそろ限界なんだがな……)
額に浮かんだ玉の汗を手の甲で拭う。
体の奥底から突き上げてくる、どうしようもない熱。それは単なる性的な欲求だけではない。彼女たちのあまりにもひたむきな想いを受け止めたことによる精神的な高揚と、そしてそれを抑えつけなければならないという極度の緊張感。
その二つがアキオの中で渦を巻き、彼の心と体を内側から焼き尽くそうとしていた。
(……駄目だ。このままでは眠れん。少し頭を冷やしてこよう……)
アキオは誰にも告げず、そっと自室を抜け出した。深夜の冷たい空気にでも当たれば、この熱も少しは収まるかもしれない。
静まり返った新・中央館の廊下を歩く。
その足が自然と向かったのは、妻たちの居住区画だった。別に誰かの部屋を訪ねるつもりはなかった。ただ、彼女たちの息遣いが感じられる場所に身を置きたかっただけなのかもしれない。
その時だった。
一つの部屋の扉が音もなく、すっと開かれた。
そこに立っていたのは、月明かりをその銀髪に反射させ、まるで女神のように微笑む正妻シルヴィアだった。
「あら、アキオ。どこへいらっしゃるの?」
その声は、全てを見透かしているかのように穏やかだった。
「……いや、少し夜風にでも……」
「まあ。そんな獲物を求める獣のような目をして。……いけませんわ、あなた。その熱は夜風では冷めませんことよ」
シルヴィアはアキオの手をそっと取ると、有無を言わさず部屋の中へと優しく引き入れた。
「今宵は、わたくしたちのお部屋でゆっくりなさるとよろしいわ」
その部屋は、シルヴィアと第一夫人アヤネの二人だけの空間だった。部屋の中は心安らぐ香が焚かれ、薄暗い間接照明の光が幻想的な雰囲気を作り出している。
そして部屋の奥では、アヤネが柔らかな寝間着姿で、静かにお茶の用意をしていた。
「あなた。お疲れ様でございました」
アヤネはアキオの姿を認めると、聖母のように優しく微笑んだ。
「姫君たちのこと。そして会談のこと。全て存じておりますわ。……本当に、よくお耐えになりました」
その二人の、全てを包み込むような眼差し。アキオは、自分がこの二人の前ではただの一人の男でいられることを悟った。張り詰めていた最後の理性の糸が、ぷつん、と音を立てて切れた。
「シルヴィア……。アヤネ……。すまん、もう限界だ……」
「ふふ、分かっておりますわ」
シルヴィアはアキオの服の紐にそっと手をかける。
「貴方は本当に誠実で、そしてお馬鹿なお方。わたくしたち妻がいるというのに、一人で全てを溜め込もうとなさるのですもの」
「まあ、シルヴィア様。ですが、それこそが私共の愛した殿方ですわ。……あなた」
アヤネがアキオの背後に回り、その凝り固まった肩を柔らかな指で揉みほぐしていく。
「わたくしたちも連日の会談で、少し疲れが溜まっておりましたの。今宵は、お互いのこれまでの労を深く、深く、ねぎらい合いましょうぞ」
シルヴィアの妖艶な囁き。アヤネの慈愛に満ちた愛撫。
その夜、アキオは二人の正妻に、その心と体の全てを委ねた。
それはただの欲望の発散ではない。
三国会談という戦いを共に乗り越えた戦友であり、そして家族である三人が、互いの魂を癒やし、そして明日への活力を与え合う神聖な儀式だった。
アキオの本当の力の源泉。
それは生命樹でも、彼の特殊な能力でもない。
何があっても自分を無条件に受け入れ、支えてくれる、この賢く、そして誰よりも愛しい妻たちの存在そのものなのだ。
聖域の主は、その原点に立ち返り、そして深い、深い眠りへと落ちていった。
(……リリアーナに、シャルロッテ……。こう立て続けにこられると、さすがの俺の理性もそろそろ限界なんだがな……)
額に浮かんだ玉の汗を手の甲で拭う。
体の奥底から突き上げてくる、どうしようもない熱。それは単なる性的な欲求だけではない。彼女たちのあまりにもひたむきな想いを受け止めたことによる精神的な高揚と、そしてそれを抑えつけなければならないという極度の緊張感。
その二つがアキオの中で渦を巻き、彼の心と体を内側から焼き尽くそうとしていた。
(……駄目だ。このままでは眠れん。少し頭を冷やしてこよう……)
アキオは誰にも告げず、そっと自室を抜け出した。深夜の冷たい空気にでも当たれば、この熱も少しは収まるかもしれない。
静まり返った新・中央館の廊下を歩く。
その足が自然と向かったのは、妻たちの居住区画だった。別に誰かの部屋を訪ねるつもりはなかった。ただ、彼女たちの息遣いが感じられる場所に身を置きたかっただけなのかもしれない。
その時だった。
一つの部屋の扉が音もなく、すっと開かれた。
そこに立っていたのは、月明かりをその銀髪に反射させ、まるで女神のように微笑む正妻シルヴィアだった。
「あら、アキオ。どこへいらっしゃるの?」
その声は、全てを見透かしているかのように穏やかだった。
「……いや、少し夜風にでも……」
「まあ。そんな獲物を求める獣のような目をして。……いけませんわ、あなた。その熱は夜風では冷めませんことよ」
シルヴィアはアキオの手をそっと取ると、有無を言わさず部屋の中へと優しく引き入れた。
「今宵は、わたくしたちのお部屋でゆっくりなさるとよろしいわ」
その部屋は、シルヴィアと第一夫人アヤネの二人だけの空間だった。部屋の中は心安らぐ香が焚かれ、薄暗い間接照明の光が幻想的な雰囲気を作り出している。
そして部屋の奥では、アヤネが柔らかな寝間着姿で、静かにお茶の用意をしていた。
「あなた。お疲れ様でございました」
アヤネはアキオの姿を認めると、聖母のように優しく微笑んだ。
「姫君たちのこと。そして会談のこと。全て存じておりますわ。……本当に、よくお耐えになりました」
その二人の、全てを包み込むような眼差し。アキオは、自分がこの二人の前ではただの一人の男でいられることを悟った。張り詰めていた最後の理性の糸が、ぷつん、と音を立てて切れた。
「シルヴィア……。アヤネ……。すまん、もう限界だ……」
「ふふ、分かっておりますわ」
シルヴィアはアキオの服の紐にそっと手をかける。
「貴方は本当に誠実で、そしてお馬鹿なお方。わたくしたち妻がいるというのに、一人で全てを溜め込もうとなさるのですもの」
「まあ、シルヴィア様。ですが、それこそが私共の愛した殿方ですわ。……あなた」
アヤネがアキオの背後に回り、その凝り固まった肩を柔らかな指で揉みほぐしていく。
「わたくしたちも連日の会談で、少し疲れが溜まっておりましたの。今宵は、お互いのこれまでの労を深く、深く、ねぎらい合いましょうぞ」
シルヴィアの妖艶な囁き。アヤネの慈愛に満ちた愛撫。
その夜、アキオは二人の正妻に、その心と体の全てを委ねた。
それはただの欲望の発散ではない。
三国会談という戦いを共に乗り越えた戦友であり、そして家族である三人が、互いの魂を癒やし、そして明日への活力を与え合う神聖な儀式だった。
アキオの本当の力の源泉。
それは生命樹でも、彼の特殊な能力でもない。
何があっても自分を無条件に受け入れ、支えてくれる、この賢く、そして誰よりも愛しい妻たちの存在そのものなのだ。
聖域の主は、その原点に立ち返り、そして深い、深い眠りへと落ちていった。
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