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第335話:王都の奇跡と過去からの解放
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国王によってアキオに与えられた、土地。そこは王都の北西に位置する広大な荒れ地だった。
その乾いた大地に、アキオと彼の最強の布陣である、シルヴィア、アウロラ、凛、クラウディア、シャルロッテ、そしてキナの六人の妻たちが立っていた。彼らはこれから始まる奇跡のための準備を進めていた。
その日の午後。凛とクラウディアの元学友たちが、王城からの特別な許可を得て、その場所に見学にやってきた。皆、30代の落ち着いた雰囲気を持つ、妙齢の才媛たちだ。王都の様々な分野で既に中核として活躍している専門家集団だった。そしてその一団の中には、ひときわ静かで、しかし強い探究心の光を宿した瞳を持つ女性がいた。国王の妹君、ミランダ姫だった。
才媛たちはアキオたちの存在そのものと、彼らがこれから何をしようとしているのかに強い関心を寄せていた。彼女たちは皆、子を持つ母親。しかしこの世界の過酷な現実の中、死産や幼くして我が子を亡くした経験を持つ者も少なくなかった。聖域の子供たちのそのあまりにも健やかな成長ぶりを聞き、彼女たちはアキオの起こす奇跡に母としての切実な希望を見出していたのだ。
その輪から少し離れた場所で、凛は特に親しかった学友と話し込んでいた。
「凛…。本当に、お幸せそうで何よりだわ。貴女のそのお腹…。本当に良かった」
友人は心からの祝福を述べた後、少し声を潜めて続けた。
「ところで、聞いた? 先日粛清されたマーカム侯爵家のこと…。もう何年も前のことだから貴女も乗り越えられたと思うのだけれど…。あれ、貴女を襲ったあの馬鹿な嫡男の家だったそうよ。陛下が今回の聖域伯様への無礼を理由に、お家取り潰しをお決めになったとか。これで貴女の心のわだかまりも完全に晴れると思って」
それは親友として彼女の過去の傷が完全に清算されたことを知らせたいという、善意からの言葉だった。
だがその言葉を聞いた瞬間、凛の顔から血の気が引いた。忘れかけていた過去の悪夢、あの忌まわしい記憶がフラッシュバックする。彼女の体がかすかに震え始めた。
その小さな変化をアキオは見逃さなかった。
彼はすっと凛のそばに歩み寄ると、その震える肩を何も言わずに力強く抱きしめた。
「…アキオ、様…?」
「…もう大丈夫だ。俺がいる。お前の過去も未来も全て俺が守る」
その温かい胸と絶対的な安心感を与えてくれる言葉。凛の瞳から一筋涙がこぼれ落ちた。それは恐怖の涙ではない。過去の呪縛から完全に解放された安堵の涙だった。
凛を優しく抱きしめたまま、アキオは集まった国王や貴族たち、そして才媛たち全員に聞こえるように言った。
「さて、皆。これからこの何もない荒れ地に新しい命を吹き込む。俺たちの本当の仕事を見せてやろう」
アキオは凛を離すと、妻たちの方へと向き直った。
「シルヴィア、アウロラ、キナ、凛、クラウディア、シャルロッテ。皆、来てくれ。お前たちの力も必要だ。これから俺たちの家族の本当の力を見せる時だ」
その言葉に呼ばれた六人の妻たちは皆、真剣な、しかし絶対的な信頼をその瞳に宿して頷いた。
アキオと妻たち、七人が荒れ地の中心へと進み出る。
シルヴィアが目を閉じこの土地の力の流れを読み解くと、その中心点を指差した。
「あなた。ここですわ。この真下に王都の全ての地脈が眠っています」
アキオはその場所に生命樹の若木をそっと置く。
そしてシルヴィアが両手を広げ静かに詠唱を始めると、地面から無数の蔦や枝が生命を得たかのように伸び始め、アキオたち七人の周りを瞬く間に覆っていく。やがてそこには外部から中が一切見えない、緑の葉で覆われた巨大なドーム状の囲い(聖所)が完成していた。
国王たちが固唾をのんで見守る中、その聖所が内側からまばゆいほどの金色の光を放ち始めた。
光はただ輝いているのではない。まるで巨大な心臓のようにドクン、ドクンと脈打ち、その鼓動に合わせて輝きを増していく。
ゴゴゴゴ…と大地が喜び震え、空気は生命のエネルギーで満たされ、ただその光を浴びているだけで体中の疲れが消え、心が浄化されていくのを誰もが感じていた。それはまさしく神の領域の御業。
どれほどの時間が経っただろうか。
天を焦がすほどだった金色の光がゆっくりと収まっていき、七人を覆っていた緑のドームが静かに解け、土へと還っていった。
再び姿を現したアキオと六人の妻たち。
彼らは皆明らかに消耗していた。汗で髪を濡らし互いの肩を支え合い、どうにか立っているのがやっとという様子だ。アキオはシルヴィアとアウロラの両肩を抱き、凛とクラウディアは互いに支え合い、シャルロッテはキナにもたれかかっている。
だがその表情は疲労困憊でありながらこの上ない達成感と、そして家族としての深い絆の輝きに満ち溢れていた。
そして見守っていた全員が息をのんだ。
七人が立っていたその場所。不毛の荒れ地だったはずのその中心に、若々しくそして力強く輝く新しい生命樹が根付き、その周囲には緑の絨毯のような草がどこまでも広がっていたのだ。
打ち捨てられていた「忌み地」がほんの僅かな時間で生命力に満ち溢れた【聖地】へと完全に生まれ変わった瞬間だった。
その神の御業としか思えない光景を目の当たりにした国王も貴族たちも才媛たちも、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
ただ一人ミランダ姫だけがその驚愕の渦の中で冷静にその奇跡の本質と、それを成し遂げたアキオという男の存在の意味を見極めようと、その知的な瞳を細めていた。
王都の歴史が、そして常識が、塗り替えられた瞬間だった。
その乾いた大地に、アキオと彼の最強の布陣である、シルヴィア、アウロラ、凛、クラウディア、シャルロッテ、そしてキナの六人の妻たちが立っていた。彼らはこれから始まる奇跡のための準備を進めていた。
その日の午後。凛とクラウディアの元学友たちが、王城からの特別な許可を得て、その場所に見学にやってきた。皆、30代の落ち着いた雰囲気を持つ、妙齢の才媛たちだ。王都の様々な分野で既に中核として活躍している専門家集団だった。そしてその一団の中には、ひときわ静かで、しかし強い探究心の光を宿した瞳を持つ女性がいた。国王の妹君、ミランダ姫だった。
才媛たちはアキオたちの存在そのものと、彼らがこれから何をしようとしているのかに強い関心を寄せていた。彼女たちは皆、子を持つ母親。しかしこの世界の過酷な現実の中、死産や幼くして我が子を亡くした経験を持つ者も少なくなかった。聖域の子供たちのそのあまりにも健やかな成長ぶりを聞き、彼女たちはアキオの起こす奇跡に母としての切実な希望を見出していたのだ。
その輪から少し離れた場所で、凛は特に親しかった学友と話し込んでいた。
「凛…。本当に、お幸せそうで何よりだわ。貴女のそのお腹…。本当に良かった」
友人は心からの祝福を述べた後、少し声を潜めて続けた。
「ところで、聞いた? 先日粛清されたマーカム侯爵家のこと…。もう何年も前のことだから貴女も乗り越えられたと思うのだけれど…。あれ、貴女を襲ったあの馬鹿な嫡男の家だったそうよ。陛下が今回の聖域伯様への無礼を理由に、お家取り潰しをお決めになったとか。これで貴女の心のわだかまりも完全に晴れると思って」
それは親友として彼女の過去の傷が完全に清算されたことを知らせたいという、善意からの言葉だった。
だがその言葉を聞いた瞬間、凛の顔から血の気が引いた。忘れかけていた過去の悪夢、あの忌まわしい記憶がフラッシュバックする。彼女の体がかすかに震え始めた。
その小さな変化をアキオは見逃さなかった。
彼はすっと凛のそばに歩み寄ると、その震える肩を何も言わずに力強く抱きしめた。
「…アキオ、様…?」
「…もう大丈夫だ。俺がいる。お前の過去も未来も全て俺が守る」
その温かい胸と絶対的な安心感を与えてくれる言葉。凛の瞳から一筋涙がこぼれ落ちた。それは恐怖の涙ではない。過去の呪縛から完全に解放された安堵の涙だった。
凛を優しく抱きしめたまま、アキオは集まった国王や貴族たち、そして才媛たち全員に聞こえるように言った。
「さて、皆。これからこの何もない荒れ地に新しい命を吹き込む。俺たちの本当の仕事を見せてやろう」
アキオは凛を離すと、妻たちの方へと向き直った。
「シルヴィア、アウロラ、キナ、凛、クラウディア、シャルロッテ。皆、来てくれ。お前たちの力も必要だ。これから俺たちの家族の本当の力を見せる時だ」
その言葉に呼ばれた六人の妻たちは皆、真剣な、しかし絶対的な信頼をその瞳に宿して頷いた。
アキオと妻たち、七人が荒れ地の中心へと進み出る。
シルヴィアが目を閉じこの土地の力の流れを読み解くと、その中心点を指差した。
「あなた。ここですわ。この真下に王都の全ての地脈が眠っています」
アキオはその場所に生命樹の若木をそっと置く。
そしてシルヴィアが両手を広げ静かに詠唱を始めると、地面から無数の蔦や枝が生命を得たかのように伸び始め、アキオたち七人の周りを瞬く間に覆っていく。やがてそこには外部から中が一切見えない、緑の葉で覆われた巨大なドーム状の囲い(聖所)が完成していた。
国王たちが固唾をのんで見守る中、その聖所が内側からまばゆいほどの金色の光を放ち始めた。
光はただ輝いているのではない。まるで巨大な心臓のようにドクン、ドクンと脈打ち、その鼓動に合わせて輝きを増していく。
ゴゴゴゴ…と大地が喜び震え、空気は生命のエネルギーで満たされ、ただその光を浴びているだけで体中の疲れが消え、心が浄化されていくのを誰もが感じていた。それはまさしく神の領域の御業。
どれほどの時間が経っただろうか。
天を焦がすほどだった金色の光がゆっくりと収まっていき、七人を覆っていた緑のドームが静かに解け、土へと還っていった。
再び姿を現したアキオと六人の妻たち。
彼らは皆明らかに消耗していた。汗で髪を濡らし互いの肩を支え合い、どうにか立っているのがやっとという様子だ。アキオはシルヴィアとアウロラの両肩を抱き、凛とクラウディアは互いに支え合い、シャルロッテはキナにもたれかかっている。
だがその表情は疲労困憊でありながらこの上ない達成感と、そして家族としての深い絆の輝きに満ち溢れていた。
そして見守っていた全員が息をのんだ。
七人が立っていたその場所。不毛の荒れ地だったはずのその中心に、若々しくそして力強く輝く新しい生命樹が根付き、その周囲には緑の絨毯のような草がどこまでも広がっていたのだ。
打ち捨てられていた「忌み地」がほんの僅かな時間で生命力に満ち溢れた【聖地】へと完全に生まれ変わった瞬間だった。
その神の御業としか思えない光景を目の当たりにした国王も貴族たちも才媛たちも、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
ただ一人ミランダ姫だけがその驚愕の渦の中で冷静にその奇跡の本質と、それを成し遂げたアキオという男の存在の意味を見極めようと、その知的な瞳を細めていた。
王都の歴史が、そして常識が、塗り替えられた瞬間だった。
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