平和な日常は終わりを告げた――体格に恵まれぬ三十路の兵士が手にしたのは、触れた能力を己の力に変える『天賦転換』絶望から始まる遅咲きの英雄譚

よっしぃ

文字の大きさ
18 / 139
30歳になったので兵役を終えてもいい?駄目?

第17話 帝国の誤算

 Side 帝国

 帝国きっての猛将・チェチーリオ・アルバーノ・クレリチ率いる帝国軍は快進撃を続け、遂にオランド王国を攻め滅ぼす事に成功する。

 但し王族を一人取り逃していた事が発覚、どうすべきか迷った後、逃げ延びたとされるアルベルテュス王国の攻略を決断、そのままの勢いで侵略できると考えた帝国上層部はチェチェーリオに進軍を命じた。
 アルベルテュス王国との国境付近でアルベルテュス王国軍と激突。
 そしてチェチェーリオの放った裂空斬によりアルベルテュス王国軍は全滅、幸先のいい進軍を開始した。
 帝国の上層部は報告を受け、そのまま前進を命じる。
 但し報告は此処までしか届かなかった。

 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

 チェチェーリオ率いる帝国軍はアルベルテュス王国の王都と国境の間にある砦を目指していた所、砦を護る守備隊と戦闘。
 チェチェーリオが放った裂空斬により全滅・・・・と思いきや、チェチェーリオが違和感を覚え、確認の為異変を感じた場所へ向かい、原因と思われる盾を除去。
 両手が塞がっていた事もあり、裂空斬を使用した直後で動きが鈍くなっていた事も重なり、無防備になっていた額に突然起き上がった兵士に指を突きつけられ、チェチェーリオは身体に異変を感じ、ほんの僅かな間ながら身動きが取れなくなってしまった。

 盾を除去してから時間にして僅か数秒。
 しかしこの僅かな時間が、チェチェーリオの名運を尽きさせる事となった。

「おりゃあ!」

 目の前で起き上がった兵士があまり力の入っていないような声で叫びつつ、抜剣し信じられない事に己が絶対の自信を持っている裂空斬を放ったのだ。
 無防備の状態だったチェチェーリオは、防御をする事なくその身に裂空斬を受けてしまい、そのまま吹き飛び、どうしてこんな事態になったのか理解できないままその生涯を閉じた。
 そし命運が尽きたのは帝国軍の兵士も同様だった。

 今回行軍していた全ての兵士を導入していた帝国軍は、レクスの放った裂空斬によって全滅。
 これにより帝国軍はチェチェーリオ率いる軍の状況を把握できなくなり、全滅した事実を知らずにいたのだった。

 連絡が途絶え、何が起こったのか調べに来た斥候が見たのは信じられない光景だった。
 帝国兵が一人残らず死んでいたからだ。
 更に付け加えるならば、総大将であったチェチェーリオが、信じられない事に無残にも戦場で死んでいた事を確認。
 急ぎ帝国本土へ戻った斥候は、チェチェーリオの遺品を携え皇帝へ報告を行った。

 その報告を聞いた皇帝は、チェチェーリオの死を信じられなかった。
 帝国の皇帝とチェチェーリオは古くからの知り合いで、所謂学友だった。
 皇帝はチェチェーリオの事を知り尽くしており、彼の持つ能力【裂空斬】の威力も知り抜いていた。
 それ故にチェチェーリオの死が信じられなかったのだ。
 チェチェーリオには妻がいた。
 妻は皇帝の妹。

「ば・・・・バカな・・・・何故なのだ?チェチェーリオが敗れ去るとはあり得ぬ!裂空斬を用いれば、相手は必ず全滅するはずだ。」

 皇帝がチェチェーリオの死を信じられず認めなかった事で対応が遅れてしまい、後にこれが起因となって帝国は存亡の危機となるのであるが、それはもう少し後の話。
感想 2

あなたにおすすめの小説

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。