平和な日常は終わりを告げた――体格に恵まれぬ三十路の兵士が手にしたのは、触れた能力を己の力に変える『天賦転換』絶望から始まる遅咲きの英雄譚
三十路は【遅咲きの英雄】となるか――?
「30歳になったら兵役を終え、この力で悠々自適なスローライフを送るんだ!」
貧困から抜け出すため、望まずして15歳から兵役に就いていたレクス・ヴィルケス、間もなく30歳。体格に恵まれぬ彼は後方支援兵として、長らく平和な日々を送っていた。
彼の能力は【天賦転換】――触れた相手の能力を一時的に己の力と入れ替えることができる。この特異な力を活かし、平時には治療院で人々のために尽力していた。魔力消費の激しい治療も、治療士と入れ替わることで乗り切ってきたのだ。運が良ければ、その能力を己のスキルとして獲得することもあった。
そんな生活が15年。ようやく兵役が終わるはずだったその時、隣国が強大な帝国に滅ぼされ、その侵略の魔の手がレクスの祖国へと迫ってきた。
前線は壊滅。もはや後方支援など顧みている余裕はない。軍は後方部隊を前線に投入する決断を下す。
レクスは、手助けをしていた鍛冶職人の親方から餞別に贈られたミスリル製の剣と盾を手に、否応なく戦場へ向かう。
敵は、誰もが恐れる帝国の猛将。圧倒的な力で次々と兵士を薙ぎ払っていく。
レクスの【天賦転換】は、触れた相手の能力を知覚していなければならない。辛うじて猛将のスキルを目撃したレクスは、盾のおかげで一命を取り留めるも、意識を失ってしまう。
死んだふりをして治療を試みるレクス。しかし、その動きを猛将は見逃さない。容赦なく迫る足音。レクスは咄嗟に盾の下に身を潜め、さらに味方の死体が覆いかぶさる。身動き一つ取れない絶体絶命の状況。
死体を蹴散らし、盾を剥がした猛将が、ついにレクスを見つけ出す。その瞬間、レクスは最後の力を振り絞り、右手を伸ばした。両手が盾で塞がれた猛将の額に、指先が触れる――!
猛将の能力を奪取したレクスに、この絶望的な戦況を覆す術はあるのか!?遅咲きの英雄譚が、今、幕を開ける!
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死んだふりをして治療を試みるレクス。しかし、その動きを猛将は見逃さない。容赦なく迫る足音。レクスは咄嗟に盾の下に身を潜め、さらに味方の死体が覆いかぶさる。身動き一つ取れない絶体絶命の状況。
死体を蹴散らし、盾を剥がした猛将が、ついにレクスを見つけ出す。その瞬間、レクスは最後の力を振り絞り、右手を伸ばした。両手が盾で塞がれた猛将の額に、指先が触れる――!
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