勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず！

召喚から５年が経過

第379話 神聖帝国ロンドロッグでの勇者召喚の失敗

神聖帝国ロンドロッグでの勇者召喚。
ピートロネラ・フェリシア・ファン・ディーレンという一人の皇女が今回勇者召喚を担う事になっていた。

彼女は若いながらも非常に優秀。
１５歳になったので召喚の議を行う事ができるようになり、早速召喚を行うのだが、ここに姉の存在が。

どういう訳かピートロネラの姉は妹を毛嫌いしており、今回の召喚もよく思っていなかった。
そこでこの勇者召喚を失敗させ、妹に恥をかかせようという、ただそれだけの為に勇者召喚を失敗させようと画策する。

「では只今より勇者召喚を執り行いますが、数日掛かりとなるかもしれません。その間にカードの用意をくれぐれもお忘れのなきよう、打ち合わせお通りにお願いいたします。」

そう言って彼女は魔法で何やら石板を触り、何やら語り掛けている。


それを見て姉は密かにその石板に細工をし、別の部屋にある石板と繋げており、勇者召喚に割り込む事に成功している。

そしてピートロネラが勇者足る人物と接触を図っている時にその装置を起動。
割り込む事に成功する。

そうとは知らず勇者としてこちらにやってきてもらうよう一生懸命語り掛けている間に姉は妨害を開始する。

しかしここで想定外の出来事が起こる。

交渉が長引くと思われたが、相手はなんとあっけなく承諾をしてしまう。

これではまずいと割り込み具合を最大にしてしまう姉。

本来なら召喚までもっと時間があるのだが、割り込みを最大限行い、召喚時間を思いっきり短縮させたのである。

これは本来もっと準備時間を設けるべきところを、その準備をさせないようにとの行動。

しかしここで無理があったのか、予期せぬ出来事が。

どういう理屈か不明だが時間軸がずれてしまう。

するとどうなるのか。
偶然にも並行世界が出来上がってしまい、姉は本来勇者となるべく人物を引き当てたのだが、ここで妹は並行世界の人物を召喚してしまう。

するとどうなるのか。

何と同一人物が２人召喚されてしまうという前代未聞の出来事が起こってしまう。

召喚された勇者はそれぞれの石板の所に召喚され、姉の方には本来召喚されるはずの人物が出現する。

これはまずいと取り急ぎカードを取り出し、石板で無理やり改名、自身が直接従えている騎士にこの勇者を王都の外へ無理やり連れださせる。

そして本物の勇者は、王都と次の町の中間付近で無理やり放置させられ、無防備な状態で魔物に襲われ、あえなく命を落としている。

そして並行世界のもう一人の召喚者。

何故か裸で大量の水とともに現れ、皇女はその水でずぶ濡れとなり、召喚時の負担も重なり気を失ってしまう。
何せ本来一人の召喚が、２人行われており、その負担は知らず本人にのしかかっていたせいなのだが、ピートロネラ皇女様はそれを知らない。

しかも本来用意されているべきカードは知らない間に姉が使ってしまい手持ちになく、皇女は気絶する前に辛うじて急ぎカードを作ったが、急ぎすぎて記載ミスがあったのだが誰も確認しないまま召喚者に渡してしまうというミスを犯し、そのカードの記載を見た者が召喚者を遊び人と断罪、追放処分となってしまう。
本来成功していた召喚だが、こうして失敗扱いとなってしまった。