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レイ 19
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「つかれた・・・」
あてがわれた部屋に戻った途端、レイはぐったりとソファに倒れこんだ。
ただお菓子を食べていただけなのに、やたらと疲れた。
エイベルはレイの横に座ると、ソファに沈み込むレイの頭を撫でた。その何でもなさそうな態度にムッとする。
言いたいことは色々あったけれど、レイは身を起こしてエイベルの首に腕を回して抱き着き、そのまま口づけた。
「んっ んっ・・・」
応えるように回った腕が、背を撫でる。着ている服が違うと、撫でられる感覚も少し違う。その感覚の違いで、そうだ、借り物の服を着ていたんだった、と気づき、レイはくっつけていた唇を名残惜しく離した。
エイベルの手がそのままレイの頭を撫でていて、それに任せるように肩口に頬をつける。
馬車で移動した期間が四日。その前日を入れて五日、慣れない旅の行程で疲れさせないようにとエイベルはレイに触れなかった。ここに呼ばれたのは一応叱責を受けるためで、そんな場合ではないだろうに、頭を撫でる手がもっと触れてこないだろうかとぼんやり思う。
「いつまで見ている気だ?」
ゾッとするような冷たい声が頭上から聞こえて、レイは我に返った。
驚いて、預けていた頭を起こしてエイベルを見上げる。同時にそそくさと部屋を出て行くメイドの姿が見えて、頭の中が真っ白になった。
「い、いつから?」
いつからいたのだ。あのメイドたちは。
「ずっといただろう。気づかなかったのか?」
「・・・」
気づかなかった。というよりも、そうか。大きなお屋敷の部屋には大体主人の要望にすぐ応えられるように使用人が控えているものなのだ。そういえばさっきいた応接室の中にも壁際に何人か人が控えていた。エイベルの屋敷には人員がおらずそういう習慣がないからすっかり失念していた。
ということは自分は、使用人の目の前でその家の息子に抱き着いたりキスしたりしていたのだ。
しゅるりとスカーフを抜かれる感覚で再び我に返った。
「なんで脱がすの?」
「脱がない方がいいならそれでもいいが」
襟元が寛げられ、覚えのある感覚がおとされる。
「ちょっ エイベル、またお父さんとかが呼びに来たらどうするの?」
「さっきのメイドが父上に報告するだろうから、今日はもう邪魔は入らない」
「よけいヤダ!」
身をよじって逃げようとするけれど、こうなってはセバスが扉を叩かなければやめてくれないことは経験上分かっている。
そしてここにはセバスはいない。訓練が行き届いたアドルファスに忠実な使用人しか。
「んっ や・・・ エイベル、せめてベッドにして・・・」
猫耳を撫でながら鎖骨に口づけをおとし始めたエイベルの服を引っ張って訴える。
ここはソファの上だし、外はまだ明るすぎるし、扉一枚はさんだ向こうは即廊下だ。エイベルはもう誰も来ないとは言うし、実際そうなのだろうが、慣れない場所でこれでは落ち着かなさすぎる。
「気にするな」
「気にする!ほら、馬車にずっと乗ってて疲れてるし」
これは本当だ。これほど長時間馬車に揺られていたのは初めてで、具合が悪いというほどではないが体が気だるい感覚はある。
レイがそう言うとエイベルは、「そうだったな」と言ってレイの体を抱き上げた。
そのまま運ばれた先はこれまた豪華な寝室で、カーテンが閉まっているせいかほの暗い。
ベッドに下ろされたレイはようやく一安心して借り物のコートを脱ごうとしたのだが、性急に押し倒されてそれは叶わなかった。
幾重にもまとわされた服の前が開けられ、下半身が露出する。ズボンと下着は足に引っ掛かったままで、お高そうなシャツとコートは背中の下でくしゃくしゃになってしまっている。
「エイベル、脱がないと汚れちゃうよ・・・ あっ ダメっ!やだやだっ!」
足を開かせたエイベルがそのままレイのモノを口に含むのを見てしまい、レイは悲鳴を上げた。
ゾワリと寒気にも似た痺れが全身に走る。そんなことをされたのは初めてで、しかもここには着いたばかりで体も洗っていないのに。
「も、ばかっ ぁあっ」
引きはがそうとして髪に差し入れたはずの指が、じん とした痺れに負けて動かなくなる。それどころかねだるように腰が動いてしまい、あっという間に高められてしまった先端から先走りがたらたらと零れ落ちた。
それを舐めとりながら、さらに腰を上げさせたエイベルの指が、レイの後ろの穴に潜り込む。先走りを塗りつけながら侵入してくる指は、新たな刺激をレイにもたらした。
「ひっ そ、それ、同時やめて・・・」
「良くないか?」
「そこでしゃべらないでぇ・・・」
柔軟に受け入れるようになってしまった入り口を通過して、指はあっという間にレイが一番感じる場所に到達してしまう。そこをぐりりと押されると、何かのスイッチが入ったように涙が出てきた。
「やめっ あぁっ!」
涙が浮かんでぼやけた視界の中で、合った赤い目が意地悪そうに細められる。
それだけで体にゾクリと震えが走った。
見せつけるようにことさらゆっくりと舐めあげられたそれが、エイベルの口の中に含まれ軽く吸われる。それだけでも堪らないのに同時に中の敏感な場所を抉られ、レイはもぐりこんだ指を締め付けながらあっという間にイってしまった。
「―――っ!!」
痙攣する体から一度引き抜かれた指が、グチュ と酷く濡れた音と共に再び侵入してくる。
ぬめった指は、おそらくレイが放った白濁をまとっている。そうしてかき混ぜられると、敏感になった中に耐えがたい疼きが生じた。
身をくねらせ、コートの袖を噛んで快感を逃がそうとするけれど、到底追い付かない。
このままでは溶けてしまう。
「おねがっ えいべる・・・」
「どうして欲しいんだ?レイ」
「いれて・・・」
「ここに?」
本数の増えた指が中をかき回す。
口を開ければ喘ぎ声しか出てこず、レイは必死にこくこくと何度も頷いた。
ひくひくと収縮するそこから、ようやく指が抜かれる。それにほっとしたのもつかの間、もっと質量のあるものに貫かれた。
「ひっ! あーーっ!」
目の前がチカチカして、全身が痙攣する。
奥まで貫かれただけでまた絶頂を迎えてしまった。それなのにすぐに律動が始まって、レイはなすすべもなくただ震えた。
「レイ、レイ・・・」
「んぅっ ぅぅ・・・っ!!」
喘ぐ口を塞がれ、舌を絡めとられる。そうされながら奥を突かれると、おかしくなりそうなくらい気持ちがいいことを、もう体が知ってしまっている。レイはエイベルの背に腕を回して、夢中でそれを求めた。
あてがわれた部屋に戻った途端、レイはぐったりとソファに倒れこんだ。
ただお菓子を食べていただけなのに、やたらと疲れた。
エイベルはレイの横に座ると、ソファに沈み込むレイの頭を撫でた。その何でもなさそうな態度にムッとする。
言いたいことは色々あったけれど、レイは身を起こしてエイベルの首に腕を回して抱き着き、そのまま口づけた。
「んっ んっ・・・」
応えるように回った腕が、背を撫でる。着ている服が違うと、撫でられる感覚も少し違う。その感覚の違いで、そうだ、借り物の服を着ていたんだった、と気づき、レイはくっつけていた唇を名残惜しく離した。
エイベルの手がそのままレイの頭を撫でていて、それに任せるように肩口に頬をつける。
馬車で移動した期間が四日。その前日を入れて五日、慣れない旅の行程で疲れさせないようにとエイベルはレイに触れなかった。ここに呼ばれたのは一応叱責を受けるためで、そんな場合ではないだろうに、頭を撫でる手がもっと触れてこないだろうかとぼんやり思う。
「いつまで見ている気だ?」
ゾッとするような冷たい声が頭上から聞こえて、レイは我に返った。
驚いて、預けていた頭を起こしてエイベルを見上げる。同時にそそくさと部屋を出て行くメイドの姿が見えて、頭の中が真っ白になった。
「い、いつから?」
いつからいたのだ。あのメイドたちは。
「ずっといただろう。気づかなかったのか?」
「・・・」
気づかなかった。というよりも、そうか。大きなお屋敷の部屋には大体主人の要望にすぐ応えられるように使用人が控えているものなのだ。そういえばさっきいた応接室の中にも壁際に何人か人が控えていた。エイベルの屋敷には人員がおらずそういう習慣がないからすっかり失念していた。
ということは自分は、使用人の目の前でその家の息子に抱き着いたりキスしたりしていたのだ。
しゅるりとスカーフを抜かれる感覚で再び我に返った。
「なんで脱がすの?」
「脱がない方がいいならそれでもいいが」
襟元が寛げられ、覚えのある感覚がおとされる。
「ちょっ エイベル、またお父さんとかが呼びに来たらどうするの?」
「さっきのメイドが父上に報告するだろうから、今日はもう邪魔は入らない」
「よけいヤダ!」
身をよじって逃げようとするけれど、こうなってはセバスが扉を叩かなければやめてくれないことは経験上分かっている。
そしてここにはセバスはいない。訓練が行き届いたアドルファスに忠実な使用人しか。
「んっ や・・・ エイベル、せめてベッドにして・・・」
猫耳を撫でながら鎖骨に口づけをおとし始めたエイベルの服を引っ張って訴える。
ここはソファの上だし、外はまだ明るすぎるし、扉一枚はさんだ向こうは即廊下だ。エイベルはもう誰も来ないとは言うし、実際そうなのだろうが、慣れない場所でこれでは落ち着かなさすぎる。
「気にするな」
「気にする!ほら、馬車にずっと乗ってて疲れてるし」
これは本当だ。これほど長時間馬車に揺られていたのは初めてで、具合が悪いというほどではないが体が気だるい感覚はある。
レイがそう言うとエイベルは、「そうだったな」と言ってレイの体を抱き上げた。
そのまま運ばれた先はこれまた豪華な寝室で、カーテンが閉まっているせいかほの暗い。
ベッドに下ろされたレイはようやく一安心して借り物のコートを脱ごうとしたのだが、性急に押し倒されてそれは叶わなかった。
幾重にもまとわされた服の前が開けられ、下半身が露出する。ズボンと下着は足に引っ掛かったままで、お高そうなシャツとコートは背中の下でくしゃくしゃになってしまっている。
「エイベル、脱がないと汚れちゃうよ・・・ あっ ダメっ!やだやだっ!」
足を開かせたエイベルがそのままレイのモノを口に含むのを見てしまい、レイは悲鳴を上げた。
ゾワリと寒気にも似た痺れが全身に走る。そんなことをされたのは初めてで、しかもここには着いたばかりで体も洗っていないのに。
「も、ばかっ ぁあっ」
引きはがそうとして髪に差し入れたはずの指が、じん とした痺れに負けて動かなくなる。それどころかねだるように腰が動いてしまい、あっという間に高められてしまった先端から先走りがたらたらと零れ落ちた。
それを舐めとりながら、さらに腰を上げさせたエイベルの指が、レイの後ろの穴に潜り込む。先走りを塗りつけながら侵入してくる指は、新たな刺激をレイにもたらした。
「ひっ そ、それ、同時やめて・・・」
「良くないか?」
「そこでしゃべらないでぇ・・・」
柔軟に受け入れるようになってしまった入り口を通過して、指はあっという間にレイが一番感じる場所に到達してしまう。そこをぐりりと押されると、何かのスイッチが入ったように涙が出てきた。
「やめっ あぁっ!」
涙が浮かんでぼやけた視界の中で、合った赤い目が意地悪そうに細められる。
それだけで体にゾクリと震えが走った。
見せつけるようにことさらゆっくりと舐めあげられたそれが、エイベルの口の中に含まれ軽く吸われる。それだけでも堪らないのに同時に中の敏感な場所を抉られ、レイはもぐりこんだ指を締め付けながらあっという間にイってしまった。
「―――っ!!」
痙攣する体から一度引き抜かれた指が、グチュ と酷く濡れた音と共に再び侵入してくる。
ぬめった指は、おそらくレイが放った白濁をまとっている。そうしてかき混ぜられると、敏感になった中に耐えがたい疼きが生じた。
身をくねらせ、コートの袖を噛んで快感を逃がそうとするけれど、到底追い付かない。
このままでは溶けてしまう。
「おねがっ えいべる・・・」
「どうして欲しいんだ?レイ」
「いれて・・・」
「ここに?」
本数の増えた指が中をかき回す。
口を開ければ喘ぎ声しか出てこず、レイは必死にこくこくと何度も頷いた。
ひくひくと収縮するそこから、ようやく指が抜かれる。それにほっとしたのもつかの間、もっと質量のあるものに貫かれた。
「ひっ! あーーっ!」
目の前がチカチカして、全身が痙攣する。
奥まで貫かれただけでまた絶頂を迎えてしまった。それなのにすぐに律動が始まって、レイはなすすべもなくただ震えた。
「レイ、レイ・・・」
「んぅっ ぅぅ・・・っ!!」
喘ぐ口を塞がれ、舌を絡めとられる。そうされながら奥を突かれると、おかしくなりそうなくらい気持ちがいいことを、もう体が知ってしまっている。レイはエイベルの背に腕を回して、夢中でそれを求めた。
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