【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

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国内無双編

破棄

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 いやぁ、レビューコメントってあんまりされないから普段より倍嬉しく感じますね(笑)

 ⋯⋯ありがとうございます!
 勿論?日々くださるコメントもメールボックスから通知が来ると走り出すくらいには嬉しいものですがね(ニヤリ
ーーー
 

 夏休み中盤。
 突然理沙ちゃんからご相談があった。

 「あ、あのぉ」

 珍しく顔が死んでいる。
 何かあったのか?

 「どうした理沙ちゃん、なんかあった?」

 「じ、実は⋯⋯実家に戻るという事に話が進みそうで」

 「実家?」

 そう言いながら指を動かすと熟年夫婦のように石田が書類を乗せてくれる。

 「あんがと」

 受け取って片手にコーヒーを飲みながら情報を読み上げる。

 永井理沙。23。
 実家は永井製作所。

 そこそこな工場を営んでいるようだ。
 それに、石田が後にプロファイリングしたやつがまだ残ってる。

 従業員は186名からなる工場で、評判はかなり良い。

 主に精密加工で大手建設会社から航空まで幅のある業務を請け負っているらしい。

 と、読み終え理沙ちゃんを見上げる。

 「実家に戻るっていうのは?」

 「あ⋯⋯えっ⋯⋯と⋯⋯」
 
 らしくない。
 耳に引っ掛ける所作がいつもよりもぎこちない。

 しかも、微かに指が震えている。
 典型的な過去にトラウマがあった症状だ。

 「まぁ、男に言いづらいかもしれないが、聞ける範囲で理由を言ってもらえると助かる。

 ⋯⋯言うには少し唐突な気がするし、特別嫌がる事はしていないと思っているし。

 今日だって朝から4回戦したじゃないか」

 そう言うと隣でバキッと音が聞こえるが無視する。

 「あ⋯⋯え⋯⋯」

 笑顔を張り付けてるが目が泳いでる。
 それに、感情からも恐れと不安。
 こりゃ相当だな。

 「ごめん。無理をさせるつもりはない。 
 悪かった。いつになったら戻る予定なんだ?」

 「⋯⋯1週間後でお願いします」

 「そうしたら何か渡した方がいいな」

 「い、いえ!大丈夫です!」

 「そうか。諸星にも伝えてるのか?」

 「既に辞表は出してます」

 そこまでなのか。
 
 「そうか。
 ⋯⋯とりあえず今までありがとう。先にお礼だけな」

 手を差し出す。
 
 「こんな形になってしまってすみません」

 申し訳無さげに俺の手を取る。
 そうして──読み取る。

 記憶に関する魔法とイメージしやすいものを掛けて魔力伝いに俺の脳にまで引っ張る。

 ⋯⋯っっ。

 「どうかしました?」

 険しい俺の顔を見た理沙ちゃんが首を傾げていた。

 「いや。なんでもない。
 とりあえず一週間、ここで過ごしたかったら過ごしてもいいし、帰りたかったらそれでもいい。

 少なくとも俺と関わることはないから安心しろ」

 「⋯⋯さ、最後まで」

 「諸星を辞めてるんだ。
 もう業務としては任期を終えてる⋯⋯逆にここまで律儀に居てもらってすまない。

 世話になった」

 そうお礼を言い。

 「石田。"永井"さんをゲストルームに」

 「──え。あ、了解しました!」

 俺の言動を察したのだろう。

 "彼女"は一瞬柔らかく口角を上げて瞬きをした後、肩で息をすると切り替え、儚げにこちらへ一礼し──にこやかに笑って俺の部屋から速やかに消えて行った。

 その背中を見ながら、思い出す。

 ーーそうくん、今日も肉じゃが作ろ!
 ーー今日はする?お風呂はいる?
 ーーそうくん、来年も居ていいよね?

 ガチャン。

 「⋯⋯⋯⋯」

 「大将、少し露骨じゃないか?」

 閉まると一部始終を見ていた銀が煙草に火をつけて一吸い。

 「業務だろう?
 石田だって分かってるはずだ」

 「⋯⋯間違いではないが、今までの事を見るととても愛人契約していた人間には見えなかったが」

 概ね同意だ。
 じゃなかったらあんなに毎日一緒には居ないし、鈴や大地と遊んだり、ましてや料理を作ったり相談に乗ったりしないだろう。

 自分から関わってくる事が多かった彼女に。

 「だろうな」

 「そんなサービス精神があった子にそこまでする理由はあるのか?」

 「珍しく男出してくるじゃん」

 「まぁ、少し寂しくもある。
 騒がしかった一因だったというのもあるが、彼女がいたからこの秘密基地の空気が明るくなっていたからな。

 粗末に扱ってるように見えた」

 「お前も分かってるだろ?この場所でのゲストルームは最高峰だ」

 「理解している」

 もたれ、俺は天井を見つめる。

 「それに、ここは機密情報しかない。
 諸星を辞めたとはいえ、信用を置くか置いてないは関係ない」

 銀は俺の言葉を聞くと黙って見下ろしていた。

 そして。

 「⋯⋯大将こそ、珍しくらしくない事をする」
 
 少しトイレと言って、銀は外へと出ていった。

 誰もいないのを確認して、俺は机の上に足を乗っけて、天井を黙って見つめ⋯⋯静かに目を瞑った。
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