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国内無双編
何気ない日
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今年の初めは縁起が良い。
正月はのんびりしながらも、長蛇の列が並ぶ神社へ初詣だ。
何故こんなにも並ぶ場所へとみんなが向かうのか。
まるで向こうのアレイスター教と同じではないか。
いもしないとは失礼かもしれないが、やはり俺としてはこの世界で神様がいるとは思えん。
何故ならあまりにも介入が少なすぎるからだ。
それをこんなにも蟻のように祈るなんて⋯⋯などというのは野暮だろうな。
両手を合わせて俺もなんとなく祈る。
ポケットに入っていた10万円を賽銭に入れてな。
結局こういうのは、何をするかではなく、誰とくるかがすべてを決める。
色々経験したが、結局のところそういうものだ。
全てはタイミングという話はあるが、事実そう思う。
屋台を食べ、みんなでテクテクゆったり帰宅し、疲れたなどと言ってお昼寝。
悪くないだろう。
拳哉が俺の横で寝ようとする。
可愛いやつだ。
夜は正月のおせちと餅を食べた。
1年の内に正月以外ほとんど帰っていないのは流石に家族不幸者かなどと思いながら俺は寝ている家族をチラ見しては横切って、ベランダへと出る。
手すりに寄りかかって夜景を収め、飽きたらキィキィ言うパイプ椅子に座ってはテルテルエリクサーを飲んで楽しんでいた。
「ふぅ」
1本目を空中に投げ捨て、2本目を開ける。
霧散した瓶は空に消えていく。
もう一年か。
あの日からまさかここまで変わるとは思ってなかった。
まぁそこそこなんとかなるとは思ってはいたが、今のところ順調か。
資産は公表していない分を含めると1000行かないくらいだろうか。
今までの事業分に隠れてやっている株やファンド、あとは現在の美容液、芸能事務所。
確定しているだけでもありえんくらいの資金が俺の手元に来る予定だ。
これだけあるのには諸星のおっちゃんを助けた時の報酬として黒いカードを貰った事が要因だ。
これだとどう頑張っても自分の資産に手を付けないからな。
特典でコンシェルジュに色々やってもらうし、外商がひっきりなしに連絡してくれるから急いで何かをするということに事欠かない。
役員報酬だけで株式よりも儲かっているし、まぁ高額納税者としてはそこら辺の大人の中流階級より収めてんだから文句を垂れるなと説教してやりたい気分だ。
「まっ、一年で上々か」
グイッと飲み干し、三本目。
今年は何をやろうかな。
確かこの間映画もあったし、魔力で通した記憶には色々今年もあったからな。
脳がイカれなくなったのはデカイ。
あれ副作用結構エグいからな。
全盛期とまでは行かないが結構戻ったから楽だわな。
この小瓶一つで初期の俺の魔力分増えちまうんだからインフレは半端ねぇ。
「お兄ちゃん?」
「おぉ拳哉、どうした?眠れないか?」
「一緒に寝ようよ」
寝てたと思っていたが、まだ眠れなかったか。
「おいしょっと」
パイプ椅子から立ち上がり、部屋に戻って拳哉と眠る。
*
「そーちゃん?ご飯できたわよー」
「おー、ありがとう母さん」
テーブルに着くと既に全員ご飯を食べている。
今日は肉じゃがか。
「そういえば南」
「どったのお兄ぃ」
「受験だろ?こんなのんびりしてていいのか?」
そう言うと、手が止まる。
「ぎゃあああやめてー!!」
やっぱりそうだよな?
おかしいと思ってたんだよ。
「湊翔、南は今やってる普通科じゃなくて専門学校に行くんだと」
隣にいる父が短く挟んでくる。
「え? 専門?」
「う、うん」
「なんでそんなビビってるんだよ」
「お、お兄ぃ、たまにとんでもないオーラバァ~ンって出してくるじゃん?」
笑いながら訊ねると若干引き気味にそう心境を話してくる南である。
「いや。別に南が決めた道ならいいけど?
やっぱりパティシエを目指す為か?」
うん。母の料理は宮廷で出たどの料理よりも美味いな。
「うん! 高校行ってもやりたい事をやらずに勉強だけしてるのもなんか違うなあって思うんだよね」
まぁ本音だろうな。
とまぁ、ここは一つ。
「割とマジな話だが、将来パティシエになるのは分かったんだが、南は自分の店を持ちたいのか?
それともパティシエになるのがゴールなのか?」
問いを察した父が隣でおぉ、と小さく笑っている。
俺の問いを察せるのになんで金がなかったんや。
「え、え?」
「ん? ほら、将来パティシエになるー!ってまではいい。
だが、なってどうするまでは決めてないのか?」
「あんま決めてなかったかも。
ただ、お兄ぃの言葉で言うと自分の店を持ちたいのかなぁ?」
「だったら、自分の店を経営していくにはある程度勉強が出来ないとやっていくのは苦労するぞ?
実力だけあっても経営が出来なかったら潰れちゃう」
「んー⋯⋯」
食べながら頭を抱える南。
「時間はあるんだ。
これが40とかなら話は変わるが、まだ受験生の10代だ。
普通に感性や学校生活を身に着けてからでも遅くないんじゃないか?
恋愛も高校生ならではのイベントも、人生経験としてかなり後の創作にも活きると俺は考えてる。
まぁ最終的には南が決めるからどちらでもいいと思うが」
「お兄ぃが成功する理由が分かるわ」
「そーちゃん、さすがね!」
褒められても困るのだが。
「もう遠くないだろ?
今の話を聞いて、視野を広げるもよし、そのまま行くのもよし。
俺は南の道をただ応援するよ。
母さん美味しかったよ。
ごちそうさまでした」
キッチンに持っていくと良いのよと受け取ってくれる。
「行くの?」
「あぁ。
南の受験が楽しみだから今年は多めに帰るようにする」
「ドンドンそーちゃんは遠くなっていくわね」
「いや」
「ん?」
「俺の人生は最初から⋯⋯この空間を求めてたから、遠くはならないよ」
背を向けて俺は笑って玄関で履き替えると、慌てて両親たちがやって来る。
「湊翔、なら、受験が終わったら飯でも行こう」
「うん。行ってくる」
「そーちゃん!週に一回!」
「頑張るよ」
抱擁を交わし、俺は息を整え出ていく。
エントランスを出ると見覚えのあるリムジン。
パワーウィンドウが下がり。
「そーくん!来たよー」
「大将、鈴と大地がぐずってる」
「あぁ」
ただ一言鼻で笑い、淡白に返しながら歩き出す。
すると途中で何か聞こえたのでチラッと振り返って見上げる。
「湊翔ー!頑張れよー!」
「お兄ぃー!」
「そーちゃん帰ってきなさいー!」
ふっ。
「行ってきます」
⋯⋯今年も、両親たちに何を返そう。
正月はのんびりしながらも、長蛇の列が並ぶ神社へ初詣だ。
何故こんなにも並ぶ場所へとみんなが向かうのか。
まるで向こうのアレイスター教と同じではないか。
いもしないとは失礼かもしれないが、やはり俺としてはこの世界で神様がいるとは思えん。
何故ならあまりにも介入が少なすぎるからだ。
それをこんなにも蟻のように祈るなんて⋯⋯などというのは野暮だろうな。
両手を合わせて俺もなんとなく祈る。
ポケットに入っていた10万円を賽銭に入れてな。
結局こういうのは、何をするかではなく、誰とくるかがすべてを決める。
色々経験したが、結局のところそういうものだ。
全てはタイミングという話はあるが、事実そう思う。
屋台を食べ、みんなでテクテクゆったり帰宅し、疲れたなどと言ってお昼寝。
悪くないだろう。
拳哉が俺の横で寝ようとする。
可愛いやつだ。
夜は正月のおせちと餅を食べた。
1年の内に正月以外ほとんど帰っていないのは流石に家族不幸者かなどと思いながら俺は寝ている家族をチラ見しては横切って、ベランダへと出る。
手すりに寄りかかって夜景を収め、飽きたらキィキィ言うパイプ椅子に座ってはテルテルエリクサーを飲んで楽しんでいた。
「ふぅ」
1本目を空中に投げ捨て、2本目を開ける。
霧散した瓶は空に消えていく。
もう一年か。
あの日からまさかここまで変わるとは思ってなかった。
まぁそこそこなんとかなるとは思ってはいたが、今のところ順調か。
資産は公表していない分を含めると1000行かないくらいだろうか。
今までの事業分に隠れてやっている株やファンド、あとは現在の美容液、芸能事務所。
確定しているだけでもありえんくらいの資金が俺の手元に来る予定だ。
これだけあるのには諸星のおっちゃんを助けた時の報酬として黒いカードを貰った事が要因だ。
これだとどう頑張っても自分の資産に手を付けないからな。
特典でコンシェルジュに色々やってもらうし、外商がひっきりなしに連絡してくれるから急いで何かをするということに事欠かない。
役員報酬だけで株式よりも儲かっているし、まぁ高額納税者としてはそこら辺の大人の中流階級より収めてんだから文句を垂れるなと説教してやりたい気分だ。
「まっ、一年で上々か」
グイッと飲み干し、三本目。
今年は何をやろうかな。
確かこの間映画もあったし、魔力で通した記憶には色々今年もあったからな。
脳がイカれなくなったのはデカイ。
あれ副作用結構エグいからな。
全盛期とまでは行かないが結構戻ったから楽だわな。
この小瓶一つで初期の俺の魔力分増えちまうんだからインフレは半端ねぇ。
「お兄ちゃん?」
「おぉ拳哉、どうした?眠れないか?」
「一緒に寝ようよ」
寝てたと思っていたが、まだ眠れなかったか。
「おいしょっと」
パイプ椅子から立ち上がり、部屋に戻って拳哉と眠る。
*
「そーちゃん?ご飯できたわよー」
「おー、ありがとう母さん」
テーブルに着くと既に全員ご飯を食べている。
今日は肉じゃがか。
「そういえば南」
「どったのお兄ぃ」
「受験だろ?こんなのんびりしてていいのか?」
そう言うと、手が止まる。
「ぎゃあああやめてー!!」
やっぱりそうだよな?
おかしいと思ってたんだよ。
「湊翔、南は今やってる普通科じゃなくて専門学校に行くんだと」
隣にいる父が短く挟んでくる。
「え? 専門?」
「う、うん」
「なんでそんなビビってるんだよ」
「お、お兄ぃ、たまにとんでもないオーラバァ~ンって出してくるじゃん?」
笑いながら訊ねると若干引き気味にそう心境を話してくる南である。
「いや。別に南が決めた道ならいいけど?
やっぱりパティシエを目指す為か?」
うん。母の料理は宮廷で出たどの料理よりも美味いな。
「うん! 高校行ってもやりたい事をやらずに勉強だけしてるのもなんか違うなあって思うんだよね」
まぁ本音だろうな。
とまぁ、ここは一つ。
「割とマジな話だが、将来パティシエになるのは分かったんだが、南は自分の店を持ちたいのか?
それともパティシエになるのがゴールなのか?」
問いを察した父が隣でおぉ、と小さく笑っている。
俺の問いを察せるのになんで金がなかったんや。
「え、え?」
「ん? ほら、将来パティシエになるー!ってまではいい。
だが、なってどうするまでは決めてないのか?」
「あんま決めてなかったかも。
ただ、お兄ぃの言葉で言うと自分の店を持ちたいのかなぁ?」
「だったら、自分の店を経営していくにはある程度勉強が出来ないとやっていくのは苦労するぞ?
実力だけあっても経営が出来なかったら潰れちゃう」
「んー⋯⋯」
食べながら頭を抱える南。
「時間はあるんだ。
これが40とかなら話は変わるが、まだ受験生の10代だ。
普通に感性や学校生活を身に着けてからでも遅くないんじゃないか?
恋愛も高校生ならではのイベントも、人生経験としてかなり後の創作にも活きると俺は考えてる。
まぁ最終的には南が決めるからどちらでもいいと思うが」
「お兄ぃが成功する理由が分かるわ」
「そーちゃん、さすがね!」
褒められても困るのだが。
「もう遠くないだろ?
今の話を聞いて、視野を広げるもよし、そのまま行くのもよし。
俺は南の道をただ応援するよ。
母さん美味しかったよ。
ごちそうさまでした」
キッチンに持っていくと良いのよと受け取ってくれる。
「行くの?」
「あぁ。
南の受験が楽しみだから今年は多めに帰るようにする」
「ドンドンそーちゃんは遠くなっていくわね」
「いや」
「ん?」
「俺の人生は最初から⋯⋯この空間を求めてたから、遠くはならないよ」
背を向けて俺は笑って玄関で履き替えると、慌てて両親たちがやって来る。
「湊翔、なら、受験が終わったら飯でも行こう」
「うん。行ってくる」
「そーちゃん!週に一回!」
「頑張るよ」
抱擁を交わし、俺は息を整え出ていく。
エントランスを出ると見覚えのあるリムジン。
パワーウィンドウが下がり。
「そーくん!来たよー」
「大将、鈴と大地がぐずってる」
「あぁ」
ただ一言鼻で笑い、淡白に返しながら歩き出す。
すると途中で何か聞こえたのでチラッと振り返って見上げる。
「湊翔ー!頑張れよー!」
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「行ってきます」
⋯⋯今年も、両親たちに何を返そう。
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※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
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