【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

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国内無双編

美智、それは俺が最も得意としていて、最も本業に近いんだ

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 「⋯⋯ざっくりこんな感じだ」

 そこから約2時間。
 外はもう完全に夜だ。

 「とりあえず話は分かった」

 「いや、聞いてくれて嬉しかったよ」

 ん?

 「ん?どういう事だ?」

 「相手が相手だし、親父もいけない所があったからさ!

 とりあえずどうにかしないとってさ」

 「⋯⋯何言ってんだ」

 立ち上がるよしに向かって、俺は鼻で笑いながらワインを一口喉ごす。

 「任せろ。それはこの日本で俺が最も適任であり、最も最悪の結末を作れる」

 「ま、待て。何するつもりだ?
 あんな暴力的に行かないよな!?」

 不安気だ。
 まぁそれもそうだな。

 結局アイツら放置したまま俺達は呑気にこんな所で飯食ってるわけだし。

 「絶対によしの家族に被害が行かない。
 それは約束する。

 それと、数日の内にご両親と妹さんに合わせてもらえるようセッティング出来るか?」

 「ま、まぁ色々気にはなるんだけど行かないなら良かった」

 そこへタイミングよく、銀と石田が帰ってくる。

 「おー。俺はいいから先によしを送ってやってくれ」

 「了解です。では美智さん、こちらへ」

 「いや俺なんてただの庶民ですから⋯⋯あはは!」

 「大事なお客様です」

 と、案内しながら一瞬俺を見たと思ったら片目でウインクしてきやがった。

 後で休み1日くらい与えてやるか。
 あ、理沙ちゃんグッズがいいかな?

 「ざっきー、とりあえずありがとう!」

 「こんなもんじゃない」

 行こうとするよしに呟く。

 「俺ら──ビッグにならねぇとな」
 
 少しの沈黙が広がった。
 だが、よしは数秒するとあの時のような獰猛な笑いをしながら。

 「ビッグか。ざっきーとなら出来るかもな」

 そう言って手を上げ、石田たちと共にこの場から消えていく。

 左に映る透明な窓ガラスから一望できる夜景を見ていると、よしとすれ違いざまに岩崎の主人である代理の松本が手を振りながら入ってくる。

 「どうも」

 「いやいやどうもどうも」

 松本は俺達一家が元々住んでいた近くにいた肉屋さんで、かなりの評判があったところだ。

 ──そもそも。
 岩崎はそこの商店街で困っていた老夫婦をお店として個人で働かせている。

 別に無理矢理ではなく、時間もなく人が多すぎてキツイというのを叶える形にしただけだ。

 松本は肉。
 岩崎は老夫婦で昔ながらの知恵を持っていて接客も出来ると言った具合だ。

 そして、脈絡もないざっくり2つの名前が出たが。
 
 「あの時、ご飯に困っていた両親の為に通りを走り回っていた子供が、こうして大金持ちになるなんて思わなかったよ」

 「いえ。結果論ですよ」

 この人は、俺が両親が食べれていないのを知ったその日から商店街で誰でもいいから肉をくれないかとかけ巡った中で唯一──無償でその日に高い肉をくれ、定期的に安いお肉でも提供してくれた、ある種恩人だ。

 「いやいや、人に良いことはするべきだというのは本当だね」

 松本にはあり得ないくらいの値段を給料として提供し、社会保障まで付け加えて渡した。

 「それも結果論ですね。
 返すのは結局その人次第ですから」

 「こんな東京の一等地で泥すすって生きて生きた子供が、夜景を眺めながらお肉を食えている事実の方が大事な事だろう?」

 「ですね」

 と、俺は近くのカウンターの上を目線を配る。

 「おいおい⋯⋯いいのか?」

 確認した松本がビビっている。

 「もちろん。
 岩崎の代理とはいえ、ここは色々な意味で裏がバレてはいけない会食とかをするつもりで作ったものなので。

 これくらいは当然です」

 カウンターにはピラミッドで現ナマが立っている。
 
 「まぁまぁ⋯⋯遠慮なく頂きますがね」

 笑って袋に詰めるとさっさと裏手に消えていく松本。

 「⋯⋯ふぅ」

 夜景を見ながら考え、そしてあの時なぜ聞かなかったのかすら思った。

 よしの両親、まぁ父だが。
 大型の開発案件をやっていたらしい。

 それがポシャったお陰で資金ショート。

 当たり前だが、資金繰りをどうするかだが。
 
 ──"結論として誰も貸してくれないという非常事態だ"

 よしも具体的なものがわからないと言っていたからそれは本当なのだろう。

 ただ、融資してくれないというのが気がかりだ。

 普通なら可能なはずだ。

 大型の開発案件が出来るくらいのモノがあると思うが。

 とまぁ、よしの父親は結果あの四人組のご両親にお金を借りたのだが、返せる目処が立たないため株を担保にしていたらしく。

 ⋯⋯まぁ、予想はつくだろう。

 ーープルル!

 黒いガラステーブルがバイブ音で揺れる。

 「俺だ」

 『あ、伊崎様。三度目のご依頼ですね』

 白波特捜部。
 白波の全権力が詰まった場所らしく、国家規模に最も近いレベルの情報網を駆使して様々な案件を網羅的にあげる会長と木村さんポストの人間が使うものだ。

 「すみませんね、こんな夜に」
 
 『いえいえ!
 私共も給料泥棒になってしまう可能性がありますから、労働の意志を見せなきゃです』

 「はは、確かにそれは必要ですね。
 じゃあこれからちょくちょく使わせていただきましょうかね」

 『はははは。是非に』

 よしの話を聞きながら、会社と名前をメッセージで送り、まとめ終わったら連絡してくれと送った結果がコレか。

 やっぱり早いな。

 「それでどうです?」

 『調査の結果なんですが⋯⋯』

 何やらタメが長い。

 「どうしました?」

 『結論から言いますと、少し面倒かと思われます』

 「なるほど。
 やはり権力系の?」

 『はい。簡潔に調査結果なんですが⋯⋯』
 
 淡々と。
 そして端的によしの状況が赤裸々に本人の口よりも確かに並べられていく。

 「なるほど。
 いわゆるちょっと言葉としては大型開発案件で失敗したと?」

 『まさにそうです。
 調査によると自己資金の方はかなり薄いようでして、今回、開発予定地の場所的にはオリンピックと非常に相性が良いんですが、最近消費税が上がったせいで売れ行きが全く』

 「それだけですか?」

 『いや伊崎様。
 伊崎様ほどの人物と並を同じ括りしてはいけません。

 普通なら首が何個あっても飛びますから。

 しかも渡瀬様、いくつか案件を抱えております』

 俺は椅子に持たれながら大きな溜息をついた。

 「4人の方はどうなってます?」

 『そちらも大いに関係ありますが、少々⋯⋯』

 「そっちがメインか?」
 
 『一つが財閥である事。
 そして、それぞれ業界の上澄みと簡単に言えば』

 「カテゴリだけでも」

 『広告代理店、政治家、大手弁護士事務所。
 そして財閥でございます』

 だが、この人は何かを言い残している。

 「他にもありますよね?」

 『やはり分かってしまいますか。
 調査していると、4人の同級生が渡瀬様の妹様の話をしていることが判明しています』

 「妹の方は何かありますか?」

 『モデル兼隠れて"鬼サメ"という名前で歌い手?というものをやられているようです。

 確かに調査しますとかなり美人ですから⋯⋯恐らく』

 「なるほど。やることは山積みですね」

 『ですね。城山財閥はかなりですよ。
 地主ですから、戦後からかなり色々幅を利かせて金融、不動産、押さえているところを挙げればキリがありません』

 「ありがとうございます。情報量は別途送金します」

 『いつもありがとうございます』

 「固定給しかないと大変ですから。
 プロの仕事には見合った報酬を。では」

 テーブルにスマホを置いて、これからのことを考える。

 「派手にぶっ殺すか──支配するか」

 笑えてしまう。

 人間は良い。
 こんなにもわかりやすいのだから。
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