193 / 247
世界征服編
歴史の一ページ
しおりを挟む『ERURAから続報です!
緊急記者会見を開くとのことです!』
『この度、我々は検証に検証を重ね、微弱だが電力を生み出すことに成功した』
強烈なシャッターの嵐に光量。
そしてどよめく報道陣の声。
んで。寝ている俺の身体を揺らして通訳くんが俺の惰眠を邪魔してくる。
「伊崎さん、やっぱり早かったのでは?」
あれから数日。
ある意味本当の家族として華国で過ごした。
久し振りに南と拳哉に会ったのだが、二人ともめちゃくちゃ成長していた。
拳哉は俺を見ると喜んでくれて、最近あった出来事や悩んでることに乗ったりしたりした。
顔も結構良くなっててイイ感じ。
ただ一番変化を感じるのは、南だ。
色気づいて彼氏ができるんじゃないとか思ったくらいだ。
──絶対にアイツの男を選ぶセンスは無いと思うから好きになったら顔とプロフィールと喋ってる動画送れ。
じゃなかったら彼氏しばくって言ったら怒られた。
⋯⋯一体何故だ。
俺が学生の時辺りから性に加速が掛かった気がするのだがな。
俺の妹だぞ?
美人に決まってる。
そのせいで痴漢とかの被害にならないようにタクシーで通えと月に百万円を支給している。
もし友達がいるのならそれでも構わないって付けとけば面倒くはならないだろう?
一応俺も空けてる事になってる上に、二人は来年に向けてガチの鍛錬をしないといけないらしいので、俺はパパッとサンフランシスコへと戻りだ。
「あぁ?お前いたのか」
ムクッと起き上がって煙草に火をつけ、あぐらでテレビを溺れ気な視界で見つめる。
「一応エリックさんは止めましたからね?」
「情報には聞いてる。
誇張ではなくて電力を生み出せたらしいな。
ここでは少量で上手く行ったと言うくらいだが、本当は結構上手く行ってるんだろ?」
「はい。しかも恐ろしい勢いですよ」
「まぁそりゃそうだろうな。
電力を無限に出来ることの恐ろしさなんてわからないやつがいるのか?
現代において電力を無視できるなんて進化が一世紀以上の力の差を感じるレベルだろうしな」
長時間気にすることもなく使えるに加えて生活面、農業、工業、軍事、挙げるだけでもここまではっきり出る。
「これ、国から目を付けられるのでは?」
「んー、だろうな」
目を擦りながら目の前に置いてある灰皿に灰を落とし、見上げながらコーヒー片手に答える。
「こんくらいでちょうどいい。
既に制裁をエリックたちは受けていた」
そう。
物資の遅れや彼らの家族の危険がかなり頻繁に脅かされていた。
幸い、施設周辺に集めているからそこまで広がりはしなかったが。
『正直思うところは色々あるだろう。
実際我々もまだまだ追いついていないのが現状だしな。
しかし我々はすぐに事を起こそうなどとは思ってはいない。
とりあえず、電力会社が我々を嫌いになるくらいには──消費する電力を生み出し、まずは自分たちで循環させていく予定だ
それはそれは農業のようにな』
ニヤリ顔を決め、エリックは挑発する。
『我々は受けたモノを数百倍にして返すつもりだ。
整理券は最後の方になる事をお忘れなく』
記者会見はサッと終わった。
案の定テレビは異例の議論でいっぱい。
「まずいですよ。
民衆の声がキツくなりそうですよ」
「まぁいいだろう。
その時はその時だ」
ただ。
俺としては、これを始めとして向こうの連中が馬鹿を打って来てほしいんだがな。
美女欲しいし。
*
「ソウ!」
それから数時間後。
エリックからお呼びが掛かった。
歩いて10分くらいで到着したのは、規模感で言えば装飾されていないコンビニより少し高いくらいの密閉された無骨な建物。
「ここは?」
「ゴッドオブソウのアイディアによって生まれた本当の試作機──ゼウスタワーだ」
「おぉ、これがか」
確かに。
俺の言った通りの規模感ではない。
まぁ素材も素材だし、小さくてもいいだろう。
「ひとまずは二機作成した。
一つは本当に実験するための物で、ここは実際に我が社の一部電力を測るテストで」
話しながら中へ。
確かにちっこい。
暗闇の中で少し見上げるくらいのものだ。
スタッフによって光が灯る。
「久しぶりだな」
「ん?」
俺が向こうで魔力を自動で集めていたときを思い出す。
横にいるエリックに訊ねる。
「テストするんだろ?」
「そうさ。
設計者の大元に来てもらわないとな。
⋯⋯早速準備取りかかれ!!
歴史的な瞬間になるぞ!」
準備は迅速に行われ、すぐにセレモニーばりの人の数だ。
中には見慣れた顔が入ってくる。
「伊崎さん!」
「宏光さん、お久しぶり」
それぞれ日本で技術担当をしていて、今では年収1億8000万+ボーナスを与えているスタッフの一人だ。
元は年収1000万くらいだったらしいが、俺の評価でこれくらいまで上がった。
そして、そのせいでホワイトブラックを達成した最初の一人だ。
硬い握手を交わし、俺は訊ねる。
「宏光さん」
「どうしました?」
「人生⋯⋯変わりましたか?」
この人は自殺をも視野に入れていた人だった。
リストラされてしまえばもう後がなく、海外に行くという手もあったがそこまでして⋯⋯という人間だった。
もしかしたら。
俺がある意味人生を変えれた人の身近な例なのかもしれない。
「っ、」
呼気が少し漏れると、一瞬俯いてパッと明るくなる。
「はい!
あなたのおかげで海外に来ても自信が持てて、妻と子供にも恵まれました!」
「ふっ、そっか。
現状で不満足なところは?」
「⋯⋯やめてくださいよ。
これ以上あなたに迷惑をかけるわけには行きません」
そういう彼は、どこか幸せそうで、今ある人生を最大限に楽しんでるようにも見えて。
そうだ。
俺はこういうことがしたくて活動したんだ。
報われて⋯⋯良かった。
「これからも日本の為にも、そしてあなたの稼ぎも増えるように頑張ります」
「ハハッ。
頼むよ、俺の見出した最強技術者先輩」
何もこの人だけではない。
後ろで会釈する彼らも、俺が見つけた技術者たち。
部品や様々な細かい項目を担当している。
だが宏光さんがリーダーであるから彼らも出しゃばる事なく聞いているだけ。
「日本の未来を⋯⋯担う準備と覚悟は?」
問う。
今、この人たちは次世代の覇者となるツールを完成させた歴史的な瞬間に立ち会う事になるのだから。
全員が少し恥ずかしそうに顔を背け。
だが居なくなろうとはせずに、笑って俺を見つめて、こう言った。
「勿論です」
「⋯⋯ふっ。
なら、見ましょうか。
日本を、最強にする。
そして個人的に──世界を征服する最初の一歩を踏む、その瞬間を」
起動核が唸りを上げると、無音ながらコイルが回転していき、火花が散る。
エーテルの安定が見て取れる。
さすが日本の技術者だ。
「我々には目視できませんが、観測、速度テストを計測します!!」
常人には目で捉えることはできないが、彼らなりに努力して把握することができたようだ。
宏光さんが片隅で計測を始めている。
「試作機ファースト、1,10,100⋯⋯凄いです!!
当初のスケールから遥かに低い見積もりで建設したこのタワーですが、安定して100kWの出力を確認しています!!」
「そんな馬鹿な⋯⋯!?
少しのズレもないのか!?」
エリックが動揺している。
「テスト現在、安定して100,102の電力を確認しています!
オシロスコープも異常な程安定しています!
電圧もこちらの設計通り、誤差範囲0.1から0.5という異常な安定を見せています!」
負荷も関係ない。
デメリットなしの──正真正銘の神の産んだ奇跡。
拍手喝采が舞う。
「実験は成功です!!
このまま次の段階に移りましょう!!
すぐに生産と設計のスケールを上げます!」
声は凄まじい熱狂の歓喜によってかき消される。
関係者たちは皆これから始まる覇者の道を約束されたようなものだ。
抱き合う者もいれば、泣いている者もいる。
「ソウ!!
神が遣わした日本の奇跡よ!」
「力強えな」
そう。
これから、誰がこの世界に帰還してやったかを──教えてやる地球人よ。
60
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~
虎柄トラ
ファンタジー
下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。
意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。
女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。
敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。
剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。
一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。
快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる