【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

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世界征服編

都市伝説

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 不気味なBGMと共に、一人の男にスポットライトが当たる。

 テレビのテロップには"悪魔崇拝"という文字。

 ひな壇の芸能人たちがええ?という顔をしている中、一人の都市伝説テラーである樋口が前傾姿勢になって口を開いた。

 『これね、今話題になってる話なんですけど』

 『悪魔崇拝が?まさかぁ』

 『いやいや、これマジなんですよ。
 それでですね?』

 そのまま喋りだす。

 『まずこの発端となるのが1968年のフロリダ州にあるところで撮影されたこれなんですよ』

 浮かび上がるのは謎の血塗られた現場の写真。

 『これって言うのが、所謂悪魔崇拝の痕跡と呼ばれているものでして近代では中々お目にかかることのない本物の儀式が行われた場所として、都市伝説が好きな人たちには広く知れ渡ってるものなんですね』

 『えぇ~不気味』

 『このコンクリートに染み付いた痕跡あるでしょ?

 明美ちゃん』

 『はい』

 『これが人間の生き血を啜ったとされる』

 『きゃああ!やめてくださいよっ!』

 ビビりながら女芸人の明美に肩を引っぱたかれている。

 『なんで嬉しそうなのよ』

 『ごめんごめん。
 それでね?というか、皆さんにお聞きしたいのが、どんな理由で悪魔儀式をするんや?と思いません?』

 『え?気になる気になる』

 『流星くんも気になるねんな?』

 『え、めっちゃ気になります』

 『流星くんはちなみになんだと思う?』

 『えー⋯⋯悪魔なので、多分⋯⋯願いを叶えてもらえるとか?』

 『あー!良い線行ってる行ってる』

 『ホンマか?適当言ってるんちゃうの?』

 先輩芸人に突っ込まれながらも、樋口はいやいやと続ける。

 『これ、実は、モハネの黙示録や様々な予言の書でも言われているんですよ』

 と、予言の書の説明が写真とテロップで出てくる。

 『これ、れっきとした有名な教典ですし、聖なる書なので、しっかりしているんです。

 ご興味ある方は調べてもらって』

 一笑いとって樋口は進める。

 『これ、何が話題になっているかなんですけども、この写真だと英語なんですけど、これを翻訳すると、

 "悪魔に祈る事で、全ての生物は救われる"

 っていう文になるんですよ、これ』

 司会の芸人はキョロキョロして声を張る。

 『ちょちょ、誰か英語出来るやつおらへん?』

 『あ、出来ます』

 高学歴芸人の一人がそれをしっかり見つめて読むと。

 『直訳なのであれですけど、今の意味で間違いないです』

 スタジオの空気は氷る。

 『そう。

 それで、この悪魔儀式の"祈り"⋯⋯なんですけど、この祈りが、僕達人間だったら祈りってこうじゃないですか?』

 『そうやな?
 高両膝ついてこう両手を合わしてな?』

 司会が後輩芸人の一人にやらせる。

 『そうでそうです!
 なんですけど、ここが悪魔と人間の違いになってて』

 『ほうほう』

 『悪魔の祈りは、人間で言うところの生贄を捧げるということなんです』

 ヒェーという表情のひな壇の芸人。

 『それでこれをするとどうなんの?』
 
 『そうなんです。
 これをすることによって、悪魔に力を与えることになってしまうわけなんですね』

 『ほうほう』

 『与えられた結果、本来なら悪魔というのは目に見えない存在なんですが──これが目に見えるくらい具現化したような悪魔が出てきてしまうと、世界が滅ぶと言われているんです』

 『そんな事あるかぁー?
 なぁ?』

 司会芸人の言葉に観客も同じような反応を見せる。

 『何より怖いのは、今から1000年前ほどに作られたこの聖なる書にも、そのようなことが書かれていて、こちらには黒い髪をした人間が大好物という風に書かれているんですね』

 『おぉ?』

 『それで思い当たるのが我々東洋の人間たちな訳ですよ』

 『おぉ、おぉ』

 『今、移民が多いじゃないですか?
 聖なる書の記述にも2016年で一度世界は東の小さい島で停止するという風にも書かれているんです』

 『えぇ、てことは今の移民が危ないって言うこと?』

 『これがねぇ、分からないんですよ。

 ただ、聞くところによると、結構色々宗教では黒いというのはあまり良くないとされているので、犯罪率も上がっている昨今、これみんな気をつけてね?っていう注意喚起になるんじゃないかっていう話ですね』

 『何処が都市伝説やねん』

 綺麗に芸人たちがダダンとわざとらしく転ぶ。

 『いやいや、でもこの悪魔儀式は本当で、今日本で噂がちょくちょく上がってるんですよ、気になったら調べてみてください。

 今はスマホで検索ができる時代になりましたからね』

 「⋯⋯中々手が込んでるな?石田」

 ソファに座りながら該当部分を見終わった俺は、振り返って飯を作っている石田に声をかける。

 「白波会長に訊ねたところ、これなら行けるんじゃないか?ということで試してみました。

 別に批判的でもなく、あくまでもオカルトの範囲でアプローチができるんじゃないかという事で」

 秘密基地ではないが、いくつか土地を買っていた中にうちの近くにイイ感じの1軒家が建てられそうな場所があったので、異能を使うということにしてアパートを建てた。

 石田にはしっかりとした魔法を見せる初めての機会だった。

 もちろん、ぽかんとした顔をして「最初から全部やってくださいよ」なんて真顔で爆詰めされたのだが。

 徒歩数分のところなので、実家にはすぐに帰れる。

 基本的には石田にしか話していなくて、銀も治り次第こちらに来てくれるようだ。

 意外と⋯⋯ではないか。
 このヘンテコ右腕に助けられた。

 詰んだと正直思っていたからだ。

 「伊崎さん濃すぎず薄すぎない程度に味付けした奴と濃いめのやつどっちが良いですか」

 「ガツンとする方」

 「了解でーす。
 あと一応、諸星さんにもそれとなく伝えておきました。
  
 プロジェクトアマテラスに関与している企業、下請けにも、今後の事については各々対策するように」

 「もう俺いらねぇんじゃね?」

 「何言ってるんですか。
 あなたが変えたのでしょう?日本を。

 以前なら俺が言ったところで聞いてくれませんよ。

 それだけ大和魂があるからその言葉に重みがあるんじゃないですか」

 「まぁ⋯⋯そうか?」

 「あなたはこういう真面目な話になると途端に逃げ腰ですね。

 どうぞ、シチューです」

 コトッと置かれたのはモクモク湯気くんと共に現れるホワイトシチューである。

 「悩むのは良いですが、しっかりご飯食べて、飲み物飲んで、風呂に入って寝ることです。

 ただ異能を使えばどうにでもなるわけじゃないんですから」

 スプーンを持つ俺に、彼女みたいに笑いかけてくれる。

 「お前結婚したいのか?」

 「はい?
 冗談言ってないで食べてくださいよ。

 とにかく、てるてるなんちゃらという飲み物を飲まないといけないんですよね?

 お風呂の準備は終わっていますし、早く済ましちゃってくださいね。

 とりあえず、特殊作戦群の檜山さんと芦屋さんに声かけときましたから」

 「そいつらは?」

 「どうやら裏で超常的な物と戦闘経験や関わりがあるという事で有名な人間たちです。

 とにかく会ってみて私的には良さげだったので伊崎さんと一目会わせようということに」

 ⋯⋯本当、なんか成長ってこんな気持ちだったなぁ。

 優秀になったなぁ、石田くん。

 
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