【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

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世界征服編

亜空間旅行(下層・深層)

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 中層はかなり分かりやすく自分の遺産だった。

 螺旋階段を降りながら、自分の遺産を思い出す。

 「まぁあれだけ魔導具やら便利道具があれば、アイツ以外はどうにかなりそうか」

 ここには自分しかいない。
 だからずっと独り言をブツブツ言いながら階段を降り、下層に辿り着いた。

 「まぁ、あれか?」

 似たような倉庫が視界には映った。
 看板にも戦略級兵器・素材またはその他なんて書かれてある。

 「一旦スルーが正解だな」

 そのまま続けて空間を通り過ぎる。
 そして深層の扉。

 スキャンしていくのだが。

 「ヤケに慎重だな」

 もう何十回もやっている。
 そのまま5分ほど物凄い音を鳴らしていると、やっとの事カチャンと扉が自動で開く。

 「それだけ大切な物が眠っているのか?」

 扉を抜け、しばらくすると。

 「喫茶店?」

 そこには、カウンターがあって、洒落てる椅子が10脚くらい横一列に並んでいる空間。

 だが、俺は気づいている。
 これが表面であって、その後ろにはあり得ないほど奥に広がる空間が。

 椅子に座ってメニューらしきものを手に取る。

 "最重要エリア"
 "ケルビン・アルファル・ディア・アウグスベルファウスの全て"

 "頭の中で念じろ"
 
 「なるほどな。
 ここは俺の積み上げてきた全てが結集してあるのか」

 ⋯⋯ある意味、俺が知りたいものが全てここにあるのか。

 「急ぐ事はない」

 カウンターにあるドリンクバーを模して作ったであろうサーバーから飲み物を注ぎ、椅子に座って一口飲む。

 「⋯⋯⋯⋯ふっ」

 美味いな。
 
 「まさか、深層はこんなまったりとした空間だったとは」

 振り返るとクリーム色の壁。
 ポスターや様々な地方だったであろう国旗や民族の象徴らしきものが壁に掛けられている。

 この部屋に流れる全く同じではないが、リュートのようなゆったりとした音色がこの喫茶店に響きわたっている。

 角がなくてすっと首の方から優しく囁いてくれているような感覚。

 安心感と間がちょうど良くて。
 乾いた感じなのに、ポカポカする。

 「俺のセンスとは思えないな」

 自分でも笑ってしまうくらいセンスが良いこの場所で、俺は黙って目を閉じて⋯⋯温かいミルクティーを味わいながら数分だけ余韻に浸る事にした。
 




 そして。

 "俺の生きた年数"
 
 何処まで反応するのかを試そうととりあえずで念じた最初の質問。

 左奥の返却口と書かれた食器類を返す棚の方からラメの粒子が張り付く本が俺の手に収まる。

 「⋯⋯まじかよ」

 結構まずそうかと思ったのだが。
 イケるのか。

 大体図書室にある図鑑の分厚さ。
 大きさは大したことはないが、とにかく分厚い。

 「タイトルは、俺の生きた歴史⋯⋯か」

 こげ茶の表紙を軽く親指で刻印された文字をなぞる。
 
 これ、俺が付けたってことだよな?
 中々痛い事をする。

 ペラッと最初の表紙を捲り、真っ白いページのど真ん中に書いてある俺が望んだ答えがあって⋯⋯俺は今の人生で初めての絶句というものを覚えた。








































 "18万年と三ヶ月19日5時間24分19秒"

 
 「⋯⋯いやしらんて」

 これまでの人生、自分としてはそこそこ許容領域が多い方だと自認しているのだが、これはさすがに許容オーバーだ。

 何を言ってるのかイマイチ理解できてない。

 その後ページを捲ると白紙。

 「どういう事だ?
 もしかして、念じた答えが本として返ってくるっていう仕様か?」

 本を置いて、次の質問を念じる。

 "なんで俺にこの記憶がないのか"

 すると目の前にあった本は消え、返却口の方からまた本が飛んでくる。

 "神ではないから"

 開いた最初のページに書かれてある言葉はえらく端的で分かりづらい物だった。

 試しに次のページを捲ると。

 "お前は既に必要な事に使っている"
 "その為お前から記憶が欠如しているのは至極当然である"
 
 "人間という種はそもそも長期的に生存できるように設計されていない。
 
 故に私の人格、記憶や内部ログはこの星の図書館に全て保存されている"

 "必要であれば「戻す」ことも可能"

 「そら王になるわな」

 そんだけ生きてたらな。
 というより、何聞くべきだ?
 
 聞くべきことが色々あるな。

 "魔法の上限を突破するにはてるてるエリクサー以外に選択肢はあるか"

 "今危機に瀕している。
 必要な知識を読み取って解決策をくれ"

 この2つをとりあえず聞いてみると。

 「クオリティやばいな」


 "てるてるエリクサーは古代の自分が作った劣化品である"

 "完璧なエリクサーは存在する"
 "配合は、──と──、────]─"

 "危機の種類によるが、情報を求める"

 
 どういうシステムで成り立ってるんだ?
 これ。

 リアルタイムで俺のイメージした言葉に対して白紙のページに文字が浮かび上がってきてる。

 少なくとも俺の今の知識量ではこんな事わからなかった。

 とりあえず頭に浮かぶ自分の情報を並べる。

 "情報確認。神の代行者である可能性極大"
 "該当者、第501代アレイスター直系子孫、アレクサンドル・オジディンデウス・リアハイル・アレイスター"

 "10万年前に存在している個体"
 "内部星図書館照合の結果、自身も10万年前に戦闘記録が残っている"

 "概要。

 自身に対して最も憎悪を抱いている個体であり、最も自身が感じた中で才能と肉体両方を持ち合わせた個体はその後現れなかったと記録されている"

 "アレクサンドルの特徴"

 "生涯女性に手を伸ばされるような美しい容姿を持ち、剣を最も得意とす"

 "無限に近い神聖力を有しながらも人徳に優れた高貴な騎士であったと記載"

 "一方で幼少の教えを全員が当たり前のように行っているという側面を持っており、そこが狂信に見える部分があると記載"

 "家族という存在に憧れを抱いてる様子や普通にこだわっているように見えると記載"

 "劣等感などはないが自身の記録には完成品が未完成品になりたがっている男だと言葉を残している"

 "情報をまとめた現在の対処方法──極端な方法以外にはなし"

 "実行するには自身の魔力上限を伸ばし、ここにて知識を取り戻すのが最善"

 "最善だが勝率は25%" 
 "原因、現状の体組成から、最低でも1000年後でないと対等になれないほどの魔力量に絶対差がある"

 「名前も忘れていたが、そんな勇者みたいな名前だったな」

 それより、完璧なエリクサーが存在している⋯⋯か。

 "エリクサーの種類の記憶を読み取り、ここに保管されている種類と効能による上位互換があれば変換して記載ほしい"


 "即時実行可能"
 "該当エリクサーの種類は100種程変換可能。
 記憶情報読み取りにより、地球という惑星の力の均衡が崩壊する恐れあり"

 まぁ、全盛期の自分が作ったエリクサーともなれば、今と比べてどれだけの事が起こるかすら予測出来ん。

 ひらひら返却口から大量の本が俺を囲み、俺の頭に情報を詰め込んでくる。

 "共有完了"

 「すげぇな、言われた内容全部思い出せる」

 素材ならおそらく上層の倉庫に眠っているだろうし、一つあれば錬金術で増やせる。

 そら、女も権力も全て手に出来るに決まってるわな。

 「そうだ」

 大事なことを忘れていた。

 "神功覇旬について知っている事を教えてくれ"

 そう念じると。

 "自身の記録には答えは載っていない"

 「やはり本当の父親については俺という存在の時間持ってしても知らなかったということになるのか」

 そしてあとは、聞くべきことが一つある。

 "自分の眼に能力があるのは事実か?
 そしてその使い方を記しているのであれば教えてくれ"

 本がやってくるのだが、先程までの本とは違い、明らかに上下の揺れが激しい。

 「厳重そうで。ご苦労さん」

 本を手にとって開く。

 "概要。

 忘星眼。
 自身の代償によって全ての因果を操作、創造を可能にすることが可能。

 しかしほとんど現実的でない。
 が、自身のルートにはかなり関わっている。

 原文の中の一部を抽出。

 『お前の力では、宇宙を理解することは出来ず、結局頼る他なかった』"


 "使用方法"
 "使用するには瞳に魔力を流すことで自動的に脳へとアクセスし、実現内容と代償を即時計測される。

 浮かんだ代償を受け入れるのであれば、そのまま口に出せば実行される"

 ""しかし二度と返ってくる事はない""。


 「そうか」

 とりあえず良いだろう。
 俺はそっと本を閉じ、立ち上がって星の図書館へと深く頭を下げる。

 「過去の自分よ、これまで長い間積み上げてきた事に深い感謝を」

 また来るだろうから、その時はまた頼む。

 そのまま、俺は最下層への扉に立ち、スキャン受け入れる。

 カチャン。
 始まってたった一秒。

 「⋯⋯拍子抜けだな」

 もっと時間が掛かるのと思ったのだが。

 "お前という存在"

 "お前はなんだと思う?"

 "自分の存在価値とはなんだと思う?"

 "なんで生きていると思う?"

 "その止まぬ問いには答えがある"

 最後の扉はサラサラしてそうな暗黒色のデカイ扉。

 見るからに威圧感がある。

 「最後か」

 行くか。

 俺は、何があるのか渦巻く不安と共に、最後の場所へと足を運んだ。
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