【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

文字の大きさ
44 / 247
国内無双編

めちゃくちゃやべぇ奴と理解できてないやべぇ奴

しおりを挟む
 そんな昔の事を思い出した俺は──同じ目、同じように虐められているはずなのに、殴られるであろう向きへ自然と顔を動かすアイツと重ねた。

 興奮した。
 また似たような奴を見たから。

 そのままゆっくり近付いて、数人の下っ端に混じってその現場を頷きながら見物する。

 「お前の母さんも!お前みたいなのが息子じゃ!恥ずかしくて外も出歩けねぇよな!?ははっ!」

 「おい大樹⋯⋯やりすぎじゃ」

 「そうだぜ? いくらなんでも歯が取れるって──」

 「あぁ?何ビビってんだよ──え?」

 ヤツが気づいた。
 頷きながら一緒に混じってた俺に。

 仕方ないか。

 「よっ!」

 「い、伊崎!?」

 下っ端の肩に手を回して、隣に立つ。

 「おぉ、新しい獲物を見つけたか? 
 次は?歯が折れてるだけじゃつまんねぇだろ?」

 そう言うと少し空気が冷えた気がした。

 「なんだ? オイオイ」

 下っ端と一緒に両膝を折りたたみ、小声で言う。

 「歯を折るんじゃなくて、もっとエグいのがあるだろう?」

 「え、え?や、やばいって⋯⋯」

 「何言ってんだよ。もうアイツの口元吐血の量やべぇじゃん? この際だ────眼球殴らねぇ?」

 思わず俺を突き飛ばす下っ端の一人。
 予想外だったのか、上擦った声で大声を出した。

 「なっ、、何言ってんだ!!」

 「なんだよ⋯⋯おもろいだろ。ッたく締まらねぇな」

 結構向こうではウケたネタなんだけどな。

 と立ち上がって俺は下っ端を掻き分け、近付く。

 「おう、お前名前は」

 「⋯⋯⋯⋯」

 「おい無視すんなよ。名前は?あるだろ?」

 「⋯⋯星」

 「せい?おぉ、親御さん良い名前付けるじゃん」

 これからキラキラ日本で輝く超新星なんだしね。

 「助けてくれるの?別にいいよ」

 断られるとは。
 こりゃまた予想外だな。

 「どうした?」

 「そこの大樹ってリーダー格は親が建設で有名なんだって。
 だから、やり返したところで別のやり方で報復をされるだけだよ。

 君は強かったし、何か訳ありのようだから報復はないようだけど。君が標的じゃなくなったら次は僕さ。

 良い両親って言ったけど、別に元々両親にも虐待は受けてたし、友達も⋯⋯一人も出来たことがない。

 なんで生まれたか分からないし、生きる理由もない。

 自分の存在意義が分からない。
 せめてこの人達が殴りたいって言うんだから、もうなんでもいいやって。

 ──最初から最後まで何もないんだからいいかなって」

 「よく分かってるじゃないか! 
 そう!世の中は弱肉強食! そう決まってる!」

 後ろから笑いながら何か言ってるのは聞こえてくる。

 だが、俺には関係なかった。

 「⋯⋯何やってるの」

 手を差し伸べる。
 あの時と同じように。

 「ないんだろ?生きる意味。生きる意味を与えてやる」

 「なに、それ」

 笑う星。
 だが、何処かホッとしたような笑みを浮かべている。

 「失うものがない。結構な事じゃないか」

 俺は手を出して指を見せる。

 「これは契約だ。お前に与えられるものはいくつかあるが、ざっと2つだ。

 一つは金だ。お前が望めば一生分の金をやる。

 2つ目は権力だ。俺はお前が想像しているよりも遥かに高いところから見下ろしている存在だ。お前が何かしても、何回かは助けてやれる。

 これを以て──お前は寿命の最後まで俺の歩兵となって戦うなら、今からこの権利は行使される。 

 ⋯⋯どうだ?悪くないだろう?」

 目が点になった星は一瞬固まったが、どうでも良さそうに頷いた。

 「今よりは良くなるんだよね?」

 微かな笑みと共に発した言葉に色々な意味が込められている、俺はそう思った。

 アイツもそうだったのだから。

 「あぁ。楽しい人生を歩めるだろう」

 「うん、じゃあ⋯⋯ついて行く」

 「決まりだな」

 そうだ。折角だし。

 「おい」

 振り返り、下っ端だけ帰らせようと声をかける。

 「コイツ以外は帰っていいぞ?」

 「な、なんだよ!何するつもりだ!?」

 「ん?別に居てもいいが」

 言い──。

 普段出さない拳を、大樹とかいう奴にぶつける。


 ーードゴッッ!!

 
 「ぅぐっ⋯⋯!!ぅぅ!」

 反応速度が違う俺とコイツらでは、喧嘩にすらならない。

 両膝をついたコイツの髪を掴んで顎を上げる。
 そして、一発。

 「ンィギッ!!」

 鈍い音が鳴る。
 
 「そういえば、俺もお前の意見に賛成だ」

 鈍い音が淡々と聞こえる中で、俺はそう言葉を投げつける。

 血が飛び散るその様を見た下っ端も、動けずにただ震えている。

 「弱肉強食。良い響きだ。生物はそうだろうな」

 「やめっ──」

 ーードゴッッ!

 「お前みたいなのを日常的に見てきたこの俺だが、いつも聞いてみたかったことがある」

 「ッキ、ヒューッ、ヒューッ」

 「お前──やられている側の意見を聞いたことがないのに、止めろなんてよく言えたな」

 歯は砕け、鼻も潰れている。
 呼吸すらままならないこの少年に、俺は話し続ける。

 「権力でどうにでもなるし、示談でどうにでもなると言ったな? 全く持ってその通りだ。
 この世界ではそうだ。金を持っている奴が全てであり、権力を手にしていると言える」

 「ヒュー、ヒュー」

 「だから聞きたい。お前が虐めている理由がなかったように──俺もお前を殴っている理由はない」

 血で染まっている顔の上からそう淡々とした俺が言い放つと、焦点があっていない。

 「何をしてもいいんだ。そうだろう?
 昔一人の人間の眼球抉った事があるんだが、以外とポヨンポヨン跳ねるんだなこれが。

 結構ピクピクしていい反応だったんだ。
 お前も一回味わって見る──」

 掴んでいる身体がこれでもかというほど震え、痙攣し始める。

 「うわっ、お前漏らすなよ⋯⋯汚いな」

 「ゥゥァゥゥッッ!ううううう!!」

 「おぉ。お前も人間だったんだな。俺とは精神が違かったみたいだ。ちゃんと人らしかったようだ」

 嗤いながら周囲を見つめる。
 楽しい。

 遠慮なく虐められる存在というのはなんて楽しいんだ。

 「俺が拳を出すのは──」

 本業と。

 力を込め、コイツに叩きつける。

 「人を甚振る時だけなんだよォ!っははははは!!」
 
 その後、しっかり四肢の骨をしっかりと折り、俺は星を連れて車へと向かった。

 んー、とりあえずアイツどうしようかな?
 後でお母さんの方を使おうかな?
 
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

処理中です...