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二章
15話:お食事会(2)
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そんで風呂が終わった。
本当は鈴木さんだけで対処させる予定だったんだけど、五香さんが中々納得しなかったので、ご本人が信用している数人の職員が紅里の方の家へとやってきて、様々な補助をしてくれている。
例えば。このように子どもたちの風呂上がりの際に髪を乾かしてあげたり。
はたまたトイレの使い方。
まぁ要約すると、普段使うことのない機能のお世話だ。
彼らからすれば、そもそもこのギルド職員でさえ神様的な存在である。子どもたちも終始頭を下げ続けている様子は──職員たちもキツそうな表情をしていることから明らかだ。
それもそうだと思う。いくら頭を下げられても、常人の神経ではその精神が耐えきれない場合がほとんどだと俺は思っているからだ。
話が逸れてしまった。
暇を持て余したせいでこんなベランダから外を眺め、こうして独り言を呟けるくらいには時間がかかっていて、そして今。
⋯⋯やっと食卓周りに子どもたちの声が聞こえてきた。
ーーお?
振り返って見てみると、みんな、かなり匂いや色付きが良くなっている。さすがおにぎり効果だ。
「紅里さん、終わりましたよー」
窓を開けた鈴木さんに声を掛けられ、俺は部屋の中へと戻る。席に付き、全員を見回す。
俺が席につくまでは誰も座ることはなく、全員の視線が集まっている。やはりこういうところの教育は上手く行っているようだ。
そう思うと、世の中の理不尽さがよくわかる。
⋯⋯まるで別世界の住人だ。
「座りなさい」
「失礼します!」
りゅう君の声が合図となって全員が席に着いた。
まるで軍隊みたいで、嫌な気持ちを若干感じるが仕方ない。
もう、そういうモノとしか言いようがないんだろうと納得する。
向かい合う俺とりゅう君を筆頭とする一家。
まずは目の前の敏腕営業マンを想像が容易いこの少年はりゅう君。
黒髪短髪、そしてワイルドなオールバックが似合うこの子は現在16歳で、既に6歳からこのサポーター業界に足を踏み入れた優秀な少年との呼び声高い子らしい。安い理由を知りたかったが為に聞いたことが、まさかそんなに優秀な人間を引き当てるとは。
彼の戦闘技術は乏しいが、逃げる技術はピカイチ。本人からちょろっと聞いた情報こんな感じだ。
一応他にも活動はしているらしいのだが、ゆうま君のように引っ掛けても逃げられたりして、大した収益にはなっていないらしい。
──悲しい話だが、サポーターではよくある話だそうだ。
「箸の使い方はわかる?」
「はい! 主な食材がラーメンの廃棄に出されてから2週間ほどのモノなので!」
⋯⋯やめてくれ。反応に困る。
「そうなの。なら、泣くかもしれないわね」
俺はこのキャラに合うようにそう言葉を投げる。というか、煮込みうどんは美味いのは分かるんだが、味自体はまだ知らん。
やたらこの評価が良かった事から購入した物ではあるが、果たしてどうだろうか?
「え?」
「え? これは廃棄されてなんかいない⋯⋯新鮮な煮込みうどんだもの。さぞあなた達からしたら、絶品よ」
りゅう君たち一家はだんまりしたまま、目の前に並ぶ大きな鍋へと視線が集中している。
まだ食べたことのない、グツグツ音を立てる鼻に香る麻薬じみたこの匂いを。
「さて、手を合わせるわよ。礼儀は一緒ね?」
りゅう君に視線をチラリと向け、確認をとる。
「はい、一緒なはずです!」
「ではいただきましょう、いただきます」
俺の号令とともに、全員が同じように手を合わせ、菜箸とお玉を使ってよそっていく。彼らの様子を眺めるべく見物していると、全員が顔を見合わせて一口。
「⋯⋯?」
見ていると全員が一口放り込んだと同時に、微動だにしない。固まってるぞ?
⋯⋯⋯⋯。
無言のまま沈黙が続き1分。
これもまた無言のまま一斉にがむしゃらになってうどんをかき込み始める。
まるで意識を失ったようなゾンビのように、一家全員が魅せる獣レベル並みの素早い手付きで大量の煮込みうどんが鍋の中から消えていく。
俺のうどんがないんだけど⋯⋯まぁそれはいいか。一杯よそってるし。
とりあえず自分も一口いただく。見たまんまの説明をすると、超絶分厚いラーメン屋で出るような肉と見たこともない長ネギに近いであろう緑野菜たち。
しかし放つ匂いは豚骨とうどんの汁で使われるものの間という感じだろうか。
⋯⋯とりあえずとんでもなくウメェ。
俺がこれほど美味しいと思うのだから、子どもたちにとっては天国のような味だろう。
チラリと横目で鈴木さんたちを見ると、俺と同じ反応だ。俺の視線に反応した鈴木さんたち職員は無言で視線逸らす。
まぁ歳が行ってからこんな刺激があるわけも無いか。俺だってこの煮込みうどんがバケモノ級に美味いことが分かる。
感想なんて言ってる場合ではない。
「少し席を外すわね」
そう言ってトイレでインベントリからマジックバックを取り出し、トイレから出ては、鈴木さんたちにグツグツ煮立っているもう一個の鍋を渡す。
「⋯⋯食べたいでしょ?」
「ありがとうございます、紅里さん」
ワンテンポ遅れての返事。一瞬恥ずかしそうに頬を紅くしていたが、それも仕方ないというやつだ。
◆◇
とりあえずそれから、1時間以上は飯の時間になり、話など関係なくなっていた。
俺は割とすぐに腹が満たされた事もあり、今の内に一家全員の鑑定をした。
アイテムが出来たのだから、人物も出来るだろうと完全に高をくくってしてみたが、まさか本当にできるとは。
[名前:りゅう]
[職業,レベル,称号,無し]
[HP:40→120]※アイテム効果反映中
[ステータス]
※特殊な力を解除し、覚醒した際のデータ
筋力:0→10
体力:0→5
素早さ:0→2
知能:0→1
感覚:0→9
(分配ポイント0)
[スキル]
・ランナーズハイ
※スキル使用時、5分間体力の消耗を90%抑える事ができる
(スキルツリーが育っていない為、その他のスキルは鑑定出来ません)
すげぇ。ガチでここまで見えるのかよ。
こりゃマジで俺無敵やぞ?
それにしても、またここでも謎単語が多い。
スキルツリー?
分配ポイント?
称号?
⋯⋯訳わからん。
とりあえずりゅう君以外の子どもたちにも行ってみたが、それらしいものは見つからなかった。
──しかし。
[名前:ゆうま]
[職業,レベル,称号,無し]
[HP:40→120]※アイテム効果反映中
[ステータス]
※特殊な力を解除し、覚醒した際のデータ
筋力:0→1
体力:0→1
素早さ:0→0
知能:0→0
感覚:0→10
(分配ポイント0)
[スキル]
・研石
※武器を研ぐことができる
カウント: 0\10000
(スキルツリーが育っていない為、その他のスキルは鑑定出来ません)
なにこれ!? 逆に気になる!!
ステータス値低すぎん?
なんでこうなる? おかしない?
スキル研ぎ⋯⋯?
まぁ強くはないんだろうけど、カウントがあるわけだし⋯⋯何かあるのかも?
「あ、あの!」
ステータス画面に見入っていると、向かいに座るりゅう君が声を上げた。
「どうかしたのかしら?」
「いえっ! 2ヶ月のご契約のお話なんですが」
「ええ、では話を進めるわよ」
軽く頷くりゅう君。そして俺は、これから面白いくらいトンデモ話を始めるつもりだ。
「とりあえず、ここが今日からあなたたちの家ね」
「⋯⋯はい?」
ポカンとした表情でこちらを見続けるりゅう君だが、構わず話を続ける。
「攻略と言っても、そんなに頻度自体は多くないから、私から声をかけるまでは、ここで家族全員で過ごすといいわ。食事やお風呂の設備は勿論使っていいし、遠慮なんてする必要もない」
⋯⋯少年に対してとんでもない条件を提示しているのは自覚している。もとより能力よりも何故かこの少年たちを助ける必要があると──俺が感じているからこうしているのだから。
「そ、そんな条件⋯⋯聞いたことがありませんよ!? な、何か間違えているのでは?」
「いいえ何も間違えていない。事実あなたには攻略の際には手伝ってもらうのだから取引はしているでしょう?」
「それはそうですが、家族全員なんて⋯⋯聞いたことがないっすよ!?」
「条件はあるわ?」
視線は、隣にいるゆうまに向く。
「⋯⋯は、はいっ!」
「あなた、とりあえず後日私が用意する施設に行ってもらい、武器を研ぐ能力を高める作業をしてもらう」
「と、研ぎですか?」
「ええ、私の予想では、あなたは武器を研ぐ才能があるとみているの。だからとりあえずあなたには協力してもらう」
こう言えば、彼らも納得せざるを得ないだろう。これで十分だ。
「りゅう、貴方は私が攻略する際の補助。他の兄弟たちはここでゆっくり過ごせばいい。何か質問は?」
「⋯⋯あ、ありません」
りゅう君は微妙な表情をしながらそう返事を返した。複雑なのだろうが、ひとまずはこれでいいだろう。
「ならよろしい。食糧は今後、この職員たちが持ってくるし、必要なものがあれば、この電話番号に掛けてくれれば問題ないから」
1台の携帯と煌星の方の電話番号を記載した紙を渡す。
「以上、歓迎会はお開き。一旦は長い苦労の報酬だと思って頂戴」
紅里のスタイルで練習したとおり、背筋を伸ばした綺麗な立ちかたで玄関へと向かう。
すると背後から、大きな声で
「ありがとうございます!! 必ず今回のモノに対する働きをいたします!!」
違う。そうではない。
「死なない程度に。程々に頑張りなさい。あなたは私の目に映っただけ、それだけなのよ」
振り返ってニヤリと笑い、俺は帰宅した。
その日は煮込みうどんが美味すぎて、友梨さんに夜ご飯として出し、あまりの美味さに友梨さんが半泣きで白米と一緒にモグモグしていた。
⋯⋯可愛かったぜ。
本当は鈴木さんだけで対処させる予定だったんだけど、五香さんが中々納得しなかったので、ご本人が信用している数人の職員が紅里の方の家へとやってきて、様々な補助をしてくれている。
例えば。このように子どもたちの風呂上がりの際に髪を乾かしてあげたり。
はたまたトイレの使い方。
まぁ要約すると、普段使うことのない機能のお世話だ。
彼らからすれば、そもそもこのギルド職員でさえ神様的な存在である。子どもたちも終始頭を下げ続けている様子は──職員たちもキツそうな表情をしていることから明らかだ。
それもそうだと思う。いくら頭を下げられても、常人の神経ではその精神が耐えきれない場合がほとんどだと俺は思っているからだ。
話が逸れてしまった。
暇を持て余したせいでこんなベランダから外を眺め、こうして独り言を呟けるくらいには時間がかかっていて、そして今。
⋯⋯やっと食卓周りに子どもたちの声が聞こえてきた。
ーーお?
振り返って見てみると、みんな、かなり匂いや色付きが良くなっている。さすがおにぎり効果だ。
「紅里さん、終わりましたよー」
窓を開けた鈴木さんに声を掛けられ、俺は部屋の中へと戻る。席に付き、全員を見回す。
俺が席につくまでは誰も座ることはなく、全員の視線が集まっている。やはりこういうところの教育は上手く行っているようだ。
そう思うと、世の中の理不尽さがよくわかる。
⋯⋯まるで別世界の住人だ。
「座りなさい」
「失礼します!」
りゅう君の声が合図となって全員が席に着いた。
まるで軍隊みたいで、嫌な気持ちを若干感じるが仕方ない。
もう、そういうモノとしか言いようがないんだろうと納得する。
向かい合う俺とりゅう君を筆頭とする一家。
まずは目の前の敏腕営業マンを想像が容易いこの少年はりゅう君。
黒髪短髪、そしてワイルドなオールバックが似合うこの子は現在16歳で、既に6歳からこのサポーター業界に足を踏み入れた優秀な少年との呼び声高い子らしい。安い理由を知りたかったが為に聞いたことが、まさかそんなに優秀な人間を引き当てるとは。
彼の戦闘技術は乏しいが、逃げる技術はピカイチ。本人からちょろっと聞いた情報こんな感じだ。
一応他にも活動はしているらしいのだが、ゆうま君のように引っ掛けても逃げられたりして、大した収益にはなっていないらしい。
──悲しい話だが、サポーターではよくある話だそうだ。
「箸の使い方はわかる?」
「はい! 主な食材がラーメンの廃棄に出されてから2週間ほどのモノなので!」
⋯⋯やめてくれ。反応に困る。
「そうなの。なら、泣くかもしれないわね」
俺はこのキャラに合うようにそう言葉を投げる。というか、煮込みうどんは美味いのは分かるんだが、味自体はまだ知らん。
やたらこの評価が良かった事から購入した物ではあるが、果たしてどうだろうか?
「え?」
「え? これは廃棄されてなんかいない⋯⋯新鮮な煮込みうどんだもの。さぞあなた達からしたら、絶品よ」
りゅう君たち一家はだんまりしたまま、目の前に並ぶ大きな鍋へと視線が集中している。
まだ食べたことのない、グツグツ音を立てる鼻に香る麻薬じみたこの匂いを。
「さて、手を合わせるわよ。礼儀は一緒ね?」
りゅう君に視線をチラリと向け、確認をとる。
「はい、一緒なはずです!」
「ではいただきましょう、いただきます」
俺の号令とともに、全員が同じように手を合わせ、菜箸とお玉を使ってよそっていく。彼らの様子を眺めるべく見物していると、全員が顔を見合わせて一口。
「⋯⋯?」
見ていると全員が一口放り込んだと同時に、微動だにしない。固まってるぞ?
⋯⋯⋯⋯。
無言のまま沈黙が続き1分。
これもまた無言のまま一斉にがむしゃらになってうどんをかき込み始める。
まるで意識を失ったようなゾンビのように、一家全員が魅せる獣レベル並みの素早い手付きで大量の煮込みうどんが鍋の中から消えていく。
俺のうどんがないんだけど⋯⋯まぁそれはいいか。一杯よそってるし。
とりあえず自分も一口いただく。見たまんまの説明をすると、超絶分厚いラーメン屋で出るような肉と見たこともない長ネギに近いであろう緑野菜たち。
しかし放つ匂いは豚骨とうどんの汁で使われるものの間という感じだろうか。
⋯⋯とりあえずとんでもなくウメェ。
俺がこれほど美味しいと思うのだから、子どもたちにとっては天国のような味だろう。
チラリと横目で鈴木さんたちを見ると、俺と同じ反応だ。俺の視線に反応した鈴木さんたち職員は無言で視線逸らす。
まぁ歳が行ってからこんな刺激があるわけも無いか。俺だってこの煮込みうどんがバケモノ級に美味いことが分かる。
感想なんて言ってる場合ではない。
「少し席を外すわね」
そう言ってトイレでインベントリからマジックバックを取り出し、トイレから出ては、鈴木さんたちにグツグツ煮立っているもう一個の鍋を渡す。
「⋯⋯食べたいでしょ?」
「ありがとうございます、紅里さん」
ワンテンポ遅れての返事。一瞬恥ずかしそうに頬を紅くしていたが、それも仕方ないというやつだ。
◆◇
とりあえずそれから、1時間以上は飯の時間になり、話など関係なくなっていた。
俺は割とすぐに腹が満たされた事もあり、今の内に一家全員の鑑定をした。
アイテムが出来たのだから、人物も出来るだろうと完全に高をくくってしてみたが、まさか本当にできるとは。
[名前:りゅう]
[職業,レベル,称号,無し]
[HP:40→120]※アイテム効果反映中
[ステータス]
※特殊な力を解除し、覚醒した際のデータ
筋力:0→10
体力:0→5
素早さ:0→2
知能:0→1
感覚:0→9
(分配ポイント0)
[スキル]
・ランナーズハイ
※スキル使用時、5分間体力の消耗を90%抑える事ができる
(スキルツリーが育っていない為、その他のスキルは鑑定出来ません)
すげぇ。ガチでここまで見えるのかよ。
こりゃマジで俺無敵やぞ?
それにしても、またここでも謎単語が多い。
スキルツリー?
分配ポイント?
称号?
⋯⋯訳わからん。
とりあえずりゅう君以外の子どもたちにも行ってみたが、それらしいものは見つからなかった。
──しかし。
[名前:ゆうま]
[職業,レベル,称号,無し]
[HP:40→120]※アイテム効果反映中
[ステータス]
※特殊な力を解除し、覚醒した際のデータ
筋力:0→1
体力:0→1
素早さ:0→0
知能:0→0
感覚:0→10
(分配ポイント0)
[スキル]
・研石
※武器を研ぐことができる
カウント: 0\10000
(スキルツリーが育っていない為、その他のスキルは鑑定出来ません)
なにこれ!? 逆に気になる!!
ステータス値低すぎん?
なんでこうなる? おかしない?
スキル研ぎ⋯⋯?
まぁ強くはないんだろうけど、カウントがあるわけだし⋯⋯何かあるのかも?
「あ、あの!」
ステータス画面に見入っていると、向かいに座るりゅう君が声を上げた。
「どうかしたのかしら?」
「いえっ! 2ヶ月のご契約のお話なんですが」
「ええ、では話を進めるわよ」
軽く頷くりゅう君。そして俺は、これから面白いくらいトンデモ話を始めるつもりだ。
「とりあえず、ここが今日からあなたたちの家ね」
「⋯⋯はい?」
ポカンとした表情でこちらを見続けるりゅう君だが、構わず話を続ける。
「攻略と言っても、そんなに頻度自体は多くないから、私から声をかけるまでは、ここで家族全員で過ごすといいわ。食事やお風呂の設備は勿論使っていいし、遠慮なんてする必要もない」
⋯⋯少年に対してとんでもない条件を提示しているのは自覚している。もとより能力よりも何故かこの少年たちを助ける必要があると──俺が感じているからこうしているのだから。
「そ、そんな条件⋯⋯聞いたことがありませんよ!? な、何か間違えているのでは?」
「いいえ何も間違えていない。事実あなたには攻略の際には手伝ってもらうのだから取引はしているでしょう?」
「それはそうですが、家族全員なんて⋯⋯聞いたことがないっすよ!?」
「条件はあるわ?」
視線は、隣にいるゆうまに向く。
「⋯⋯は、はいっ!」
「あなた、とりあえず後日私が用意する施設に行ってもらい、武器を研ぐ能力を高める作業をしてもらう」
「と、研ぎですか?」
「ええ、私の予想では、あなたは武器を研ぐ才能があるとみているの。だからとりあえずあなたには協力してもらう」
こう言えば、彼らも納得せざるを得ないだろう。これで十分だ。
「りゅう、貴方は私が攻略する際の補助。他の兄弟たちはここでゆっくり過ごせばいい。何か質問は?」
「⋯⋯あ、ありません」
りゅう君は微妙な表情をしながらそう返事を返した。複雑なのだろうが、ひとまずはこれでいいだろう。
「ならよろしい。食糧は今後、この職員たちが持ってくるし、必要なものがあれば、この電話番号に掛けてくれれば問題ないから」
1台の携帯と煌星の方の電話番号を記載した紙を渡す。
「以上、歓迎会はお開き。一旦は長い苦労の報酬だと思って頂戴」
紅里のスタイルで練習したとおり、背筋を伸ばした綺麗な立ちかたで玄関へと向かう。
すると背後から、大きな声で
「ありがとうございます!! 必ず今回のモノに対する働きをいたします!!」
違う。そうではない。
「死なない程度に。程々に頑張りなさい。あなたは私の目に映っただけ、それだけなのよ」
振り返ってニヤリと笑い、俺は帰宅した。
その日は煮込みうどんが美味すぎて、友梨さんに夜ご飯として出し、あまりの美味さに友梨さんが半泣きで白米と一緒にモグモグしていた。
⋯⋯可愛かったぜ。
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