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第3話 部室にて
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「よし、行くか。」
放課後、そのまま部室へ向かう。
俺はぼっちといえばぼっちだ。だがむしろそれが良い。
誰にも邪魔されずに直接部室へ向かえるのだから。
__________
「よし。作業開始だ。」
今日は新しくマップをつくる。
「…それにしても、この部室かなり広いなぁ…。」
かつては盛り上がっていた部活だからか、20人いてもかなり余裕があるほどの広さがある。
もちろんいまはほとんどのスペースが空いているが…。
「まずはマップの大まかな見た目を考えるか…。」
絵描きソフトで絵を描こうとする。だが…。
_____
十分後。
「やっぱ俺には絵心がないな…。」
今までは辛うじてどうにか描けていたが…今回ばかりはイメージ通りのものができない。
「うーん、どうしようか…。」
暮葉が部室に入ってきた。
「何か困っているのか?」
「あっ…やっと来たか…。結構遅くなかったか?」
「うん、まあ今日はちょっと撒いてくるのに苦労してね…。それで、苦労してるみたいだけど…?」
「ゲームのマップのイメージを絵描きソフトで作ろうとしてるんだけど…俺には絵心がなくてな…。」
「ぼくが描こうか?」
「え?いいのか?というか暮葉は絵心あるのか?」
「いや、無いけどさ…。たぶんドット絵なら描けるよ。」
「すごく心配だなぁ…。」
__________
「こんなもんかな…。」
「嘘だろ…。」
「結構頑張ったけど、どう?」
「かなり上手いな…。さっき絵心無いって言ってたのに…。」
「いや、きみの絵に頑張って寄せたらこうなっただけで…。」
「え?あのギリギリ描けてた絵に寄せてるのか?…確かにそう見えるけど。」
「これだとゲームにそのまま使っても違和感がないだろう?」
「確かに。暮葉は賢いな。」
「いや、これくらい誰でも思いつくよ。」
「俺は思いつかなかったけど…。」
「…それよりさ、ゲームの続きを作らないのか?」
「ああ、そうだな。えっと、一旦ダウンロードして…。」
絵の保存先は…ここか。
「…なんか今大量のファイルが見えたんだけど…どういうことなんだい?」
「ああ、これはな…………とりあえず、実践で説明するか。」
__________
「まず、これは何のファイルか分かるか?」
「えっと…これは今きみが作ってるゲームのデータだよね。」
「正解。じゃあこっちは?」
「…これも同じ内容…?」
「そう。両方とも同じゲームだけど、ファイルをよく見てみて。」
「データ容量が違う…?」
「そうだな。これは実際に見てもらったほうがいいかな…。」
_____
「まずは、新しい方のファイル。」
「…特に変わったところはないな…。」
「で、こっちが古い方。」
「…マップがひとつ少ないね。」
「ああ。そうだ。新しい方のファイルは、前回の作業後のデータ。これは前回の作業をする前のデータだな。」
「……なぜ分けるのかい?」
「例えば、今やってる作業を保存したあと、バグが見つかったとするだろ?」
「うん。」
「そのバグが、例えば全体が上手く動作しないようになるような、極めて重大なバグだったら?」
「それは修正が大変だな…。」
「そこで、だ。前に保存したデータがあったら?」
「前の時点からやり直せるのか。」
「その通り。だから大量のファイルがあるんだ。」
「へぇ…その情報はどこで知ったんだい?」
「……ユー◯ューブだ。…その質問必要だったのか?」
「いや、こっちも参考にさせてもらうからさ…。」
「そもそもお前まだゲーム作ってないだろ。」
__________
「よし、作業再開するか。」
「じゃあぼくは見守っておくよ。」
「なんで見守ってるんだよ…。その担当は必要ないだろ…。」
「まあ確かにそうだけどさ…とりあえず、ね。」
「どういうことだよ…。」
__________
「よし、今日はこんなところか。」
「今日進んだのは、マップ作成と、そこのプログラムだね。」
「………よし。帰るか。」
そうして後ろを振り返ったとき、戸の開く音が聞こえてきた。
「ん…だれだい?」
「げっ…生徒会長だ…。」
放課後、そのまま部室へ向かう。
俺はぼっちといえばぼっちだ。だがむしろそれが良い。
誰にも邪魔されずに直接部室へ向かえるのだから。
__________
「よし。作業開始だ。」
今日は新しくマップをつくる。
「…それにしても、この部室かなり広いなぁ…。」
かつては盛り上がっていた部活だからか、20人いてもかなり余裕があるほどの広さがある。
もちろんいまはほとんどのスペースが空いているが…。
「まずはマップの大まかな見た目を考えるか…。」
絵描きソフトで絵を描こうとする。だが…。
_____
十分後。
「やっぱ俺には絵心がないな…。」
今までは辛うじてどうにか描けていたが…今回ばかりはイメージ通りのものができない。
「うーん、どうしようか…。」
暮葉が部室に入ってきた。
「何か困っているのか?」
「あっ…やっと来たか…。結構遅くなかったか?」
「うん、まあ今日はちょっと撒いてくるのに苦労してね…。それで、苦労してるみたいだけど…?」
「ゲームのマップのイメージを絵描きソフトで作ろうとしてるんだけど…俺には絵心がなくてな…。」
「ぼくが描こうか?」
「え?いいのか?というか暮葉は絵心あるのか?」
「いや、無いけどさ…。たぶんドット絵なら描けるよ。」
「すごく心配だなぁ…。」
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「こんなもんかな…。」
「嘘だろ…。」
「結構頑張ったけど、どう?」
「かなり上手いな…。さっき絵心無いって言ってたのに…。」
「いや、きみの絵に頑張って寄せたらこうなっただけで…。」
「え?あのギリギリ描けてた絵に寄せてるのか?…確かにそう見えるけど。」
「これだとゲームにそのまま使っても違和感がないだろう?」
「確かに。暮葉は賢いな。」
「いや、これくらい誰でも思いつくよ。」
「俺は思いつかなかったけど…。」
「…それよりさ、ゲームの続きを作らないのか?」
「ああ、そうだな。えっと、一旦ダウンロードして…。」
絵の保存先は…ここか。
「…なんか今大量のファイルが見えたんだけど…どういうことなんだい?」
「ああ、これはな…………とりあえず、実践で説明するか。」
__________
「まず、これは何のファイルか分かるか?」
「えっと…これは今きみが作ってるゲームのデータだよね。」
「正解。じゃあこっちは?」
「…これも同じ内容…?」
「そう。両方とも同じゲームだけど、ファイルをよく見てみて。」
「データ容量が違う…?」
「そうだな。これは実際に見てもらったほうがいいかな…。」
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「まずは、新しい方のファイル。」
「…特に変わったところはないな…。」
「で、こっちが古い方。」
「…マップがひとつ少ないね。」
「ああ。そうだ。新しい方のファイルは、前回の作業後のデータ。これは前回の作業をする前のデータだな。」
「……なぜ分けるのかい?」
「例えば、今やってる作業を保存したあと、バグが見つかったとするだろ?」
「うん。」
「そのバグが、例えば全体が上手く動作しないようになるような、極めて重大なバグだったら?」
「それは修正が大変だな…。」
「そこで、だ。前に保存したデータがあったら?」
「前の時点からやり直せるのか。」
「その通り。だから大量のファイルがあるんだ。」
「へぇ…その情報はどこで知ったんだい?」
「……ユー◯ューブだ。…その質問必要だったのか?」
「いや、こっちも参考にさせてもらうからさ…。」
「そもそもお前まだゲーム作ってないだろ。」
__________
「よし、作業再開するか。」
「じゃあぼくは見守っておくよ。」
「なんで見守ってるんだよ…。その担当は必要ないだろ…。」
「まあ確かにそうだけどさ…とりあえず、ね。」
「どういうことだよ…。」
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「よし、今日はこんなところか。」
「今日進んだのは、マップ作成と、そこのプログラムだね。」
「………よし。帰るか。」
そうして後ろを振り返ったとき、戸の開く音が聞こえてきた。
「ん…だれだい?」
「げっ…生徒会長だ…。」
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