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男の子だから・・・
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キッチンから、カチャカチャと食器の音と、ジュウッと油の弾ける音が混ざって響く。
まだ外は早朝の柔らかい光で、窓の向こうから差し込む光が、ルカの後ろ姿を淡く照らしていた。
ルカはエプロンの腰ひもをきゅっと結び直し、フライパンを片手に器用にベーコンを返す。
少し髪が跳ねているのも、寝起きらしさが残っていて妙に可愛い。
「おーくん、パン焼けるよ。ほら、バターも出して」
テーブルの向こうで突っ伏していたおーくんが、もぞっと顔を上げた。
「……んぁ……」
「おーくん、まだ半分寝てるでしょ」
「寝てない……多分」
寝癖のついた髪をかきあげながら、渋々立ち上がってバターの箱を冷蔵庫から取り出す。
それをルカに手渡すと、すぐまた椅子に腰を下ろした。
ベーコンの香ばしい匂いが、部屋いっぱいに広がる。
ルカはフライパンを火から下ろしながら、思い出したようにぽつりとつぶやいた。
「ねぇ……胸ってさ、栄養回るのかな?」
「……は?」
不意打ちの言葉に、おーくんはパンをちぎる手を止める。
「ほら、私もおーくんも男子だけど……鍛えたら筋肉つくみたいに、胸も育ったりするのかなって」
ルカはそう言いながら、チラッと自分の胸元に視線を落とす。
薄いエプロン越しでも、そこにちゃんと形があるのが分かる。
「……いや、男でも脂肪つけたりすれば多少は……」
「だよね」
ルカは、ふっと笑う。
「だったらさ、今から育てたら将来もっと……いい感じになるんじゃない?」
「……“いい感じ”って」
おーくんは半眼で突っ込みつつも、なぜか耳が赤くなる。
「ほら、おーくんって……大きいの好きでしょ?」
その言葉に、パンを口に運びかけたおーくんの動きがピタリと止まった。
「……まぁ……好きだけど……」
「ほらー、やっぱり」
ルカは勝ち誇ったように笑い、食卓に牛乳をなみなみと注いだコップを二つ並べた。
「じゃあ今日から牛乳生活だね」
「え、強制?」
「強制。だって私が大きくなるの、おーくんも楽しみでしょ?」
にやっと笑って、ルカはおーくんの方へコップを押し出す。
おーくんは苦笑いをしながらも、結局その牛乳を受け取った。
牛乳を飲み終えて、コップをテーブルに置く音が小さく響く。
ルカは椅子の背にもたれかかり、ちょっと得意げに胸を張った。
「ほら……ちゃんと触ってみなよ」
「……は?」
「この前から言ってるじゃん。育てるには刺激も必要なんだって」
ルカはわざとらしく肩をすくめ、薄手のエプロンの前で両腕を組む。
すると、組んだ腕の上に押し上げられた胸が、ほんの少し強調される。
おーくんは視線を逸らしながら、手を伸ばしかけて――引っ込めた。
「いや……やっぱ無理」
「なんで? 今さら恥ずかしいの?」
「……今さらでも、恥ずかしいものは恥ずかしい」
ルカは小さく笑い、椅子を少しだけ引いておーくんに近づく。
そのままテーブルの下で膝と膝が触れ合う距離まで寄り、
「じゃあ……目、つぶってみな」
と言った。
おーくんはしぶしぶ目を閉じる。
その瞬間、ルカはおーくんの手をそっと掴み、自分の胸の上に導いた。
薄い布越しに伝わる、意外なほど柔らかい感触。
「……っ」
おーくんの指先が、わずかに震える。
触れたまま固まっていたが、ルカが「動かしていいよ」と小声で促す。
ゆっくり、掌全体で包み込むように動かす。
右へ、左へ――形を確かめるように、慎重に。
布の向こうから、わずかに体温が伝わってきて、柔らかさが指にまとわりつく。
「……おーくん、思ったより優しいね」
「……強くやったら壊れそうだし」
「壊れないってば」
ルカは小さく笑って、少しだけ身体を前に傾けた。
おーくんの指が、中心近くまでかすめた瞬間――
ルカの肩がびくりと震える。
「……っ、そこ……」
小さな声が、熱を帯びていた。
目を閉じたまま、おーくんは息をゆっくり整え、さらに指の動きを慎重に続ける。
そのたびにルカの呼吸が浅くなっていき、わずかに唇から吐息が漏れる。
「……煽ってるつもりが……なんか、私の方がやば……」
そう言った時には、ルカの頬は赤く染まり、目尻はとろんと緩んでいた。
おーくんがふと目を開くと――
そこには、涎をほんの少し垂らして、完全に力の抜けたルカの顔。
「……おまえ、顔……」
「……っ、見ないで……」
ルカは慌ててエプロンを直すが、その動作すらどこか力が抜けていた。
牛乳の甘さが口に残るまま、二人は並んで座っていた。
ルカがグラスをテーブルに戻すと、おーくんの視線が自然と胸元に落ちる。
その視線の動きに、ルカはすぐ気付いた。
「……あれ?また見てる。」
「いや……ちょっと……」
おーくんが頬を赤くしながらも視線を外さない。
牛乳で温まったせいか、部屋の空気まで柔らかく感じる。
「もう飲んだし、大丈夫でしょ?」
ルカが小さく笑って、両腕を後ろに引き、胸を少し持ち上げるように張った。
布越しに丸みが強調され、光の加減で輪郭がくっきりと浮かび上がる。
「……っ……」
おーくんは息を呑み、ゆっくりと手を伸ばした。
触れた瞬間、指先に伝わる柔らかさと温もりが、飲み込んだ牛乳の温かさと混ざって全身を熱くする。
「……やっぱ……」
「ん……?」
「…すごい……」
おーくんの手は慎重に、でも確実に形を確かめるように動く。
親指で外側をなぞり、指先でそっと押し返すたびに、布の下で柔らかい肉がわずかに逃げる。
ルカは目を細めて、その感触を受け止めた。
「……もっと触ってみる?」
挑発めいた声に、おーくんの喉が小さく鳴る。
それでも動きは止まらない。
指の腹で円を描き、布地と肌の間のわずかな摩擦を楽しむように、時間をかけて揉み込む。
「ん……っ……おーくん……そんな、ゆっくり……」
「……焦らすなよ……」
互いの呼吸が近くなる。
ルカが少しだけ前に身を寄せると、おーくんの指が反射的に強く沈み込み、その柔らかさに一瞬、手が止まった。
「……やば……」
小さく漏れたその声には、理性がほつれかけている色が混ざっていた。
ルカはその反応に小さく笑い、さらに胸を押し付ける。
「……もっと、触れてもいいよ……」
おーくんの瞳が一瞬揺れ、そして──もう迷いなく、深く掌を沈めた。
牛乳を飲み終えたばかりの温かな空気の中、ルカは背もたれから離れ、ほんの少しだけおーくんの方へ身体を傾けた。
その動きに合わせて、髪の隙間から首筋が覗き、視線が自然とそこから胸元へと落ちていく。
「……また、見てる」
ルカが唇の端を上げると、おーくんはすぐに目を逸らす──けれど、その頬の赤さは隠せない。
「……いや……その……」
「その……?」
視線を合わせた瞬間、互いのまつ毛が触れそうな距離。
おーくんの瞳の奥に、迷いと熱が入り混じった光が瞬く。
「……やっぱ……似合ってるなって」
「服じゃなくて?」
わざと問い返すルカの目は、どこか試すような鋭さと、少しの甘さを含んでいた。
おーくんは答えられず、ただ見つめ返す。
息が近い。互いの呼吸の温度が混ざり合い、会話よりも沈黙の方が雄弁になる。
「……触っても、いいよ」
その囁きに、おーくんの目が僅かに揺れる。
手が動くより先に、視線がルカの顔から離れられない。
胸元ではなく、その反応を覗き込む瞳に吸い寄せられていた。
ルカは微笑み、瞳を細め、まるで挑発するように少し顎を引く。
光が瞳の縁に反射してきらめき、その視線が「もっと欲しがって」と語っている。
おーくんは堪らず手を伸ばす。だが感触よりも、その瞬間のルカの表情──唇がほんの僅かに開き、熱を孕んだ吐息が零れたその顔に、理性が崩れかけた。
「……ルカ……」
名前を呼ぶ声が低く沈み、二人の間の距離は限界まで縮まっていく。
おーくんの指先がゆっくりと布越しに沈む。
その瞬間、ルカのまぶたが半分ほど下がり、吐息がふっと漏れた。
唇はわずかに開き、堪えようとする意思と、押さえきれない熱が同時に滲んでいる。
頬はじわじわと桜色に染まり、瞳の奥が潤み、光が揺れた。
一方で、おーくんの顔は真剣そのもの。
眉間に薄く皺が寄り、触れている感触を逃すまいと、視線はルカの胸ではなくルカの顔に固定されている。
唇は固く結ばれているのに、その奥で呼吸は確実に荒くなっていく。
時折、ごくりと喉が鳴る音が静かな空気の中に溶けた。
ルカはその視線を受け止め、かすかに唇の端を上げる。
「……そんな顔、されたら……私までおかしくなっちゃう」
その言葉に、おーくんの頬が一気に熱を帯び、眉尻がわずかに下がった。
だが手の動きは止まらず、むしろ指先は慎重さを保ったまま深みを増す。
揉まれるルカの顔は、耐えきれず快感が滲んでいく様子と、挑発を混ぜた微笑みが交互に現れる。
揉むおーくんの顔は、真剣さの奥で堪えきれない興奮を押し殺す表情。
二人の目が何度も交差し、そのたびに空気が濃くなる。
声は出さずとも、顔だけで互いの熱が伝わっていた。
おーくんと並んで立った瞬間、ルカは横目で彼の視線の動きに気付いた。
ほんの一瞬だけ――胸の辺りに視線が落ち、そのまま動かない。
「……おーくん?」
軽く首を傾けて声をかけると、おーくんはビクリと肩を震わせて顔を上げたが、耳まで真っ赤。
「な、なんでも……ない」
かすれた声でそう言いながらも、視線を逸らしきれない。
「そんなに見て……大きくなったらどうなるか、想像してるんでしょ」
からかうように言うと、おーくんは唇を動かしかけて――そのままふっと力が抜け、前のめりに倒れそうになった。
「ちょ、え!? ちょっと!」
慌てて抱きとめた瞬間、ルカの胸元に彼の額が触れた。
顔は真っ赤のまま、すうすうと浅い呼吸。
「……ホントに気絶してるし」
小声で呟いたルカは、そのまま抱き起こそうとして――ふと、布越しに下腹部がほんの少し盛り上がっているのに気付く。
「あー……なるほどねぇ」
片眉を上げて悪戯っぽく笑うと、その盛り上がりを指先でなぞった。
「普段のあのサイズになる前に……ちょっと楽しもっかな」
ゆっくりと触れた瞬間、わずかな硬さが生まれる。
「……っはや……」
あまりに早く、みるみるうちに最大サイズまで育ちきり、ルカの方も息が詰まる。
「……反則……」
その圧に耐えきれず、笑っていた息が震え、ルカの頬も熱くなる。
触れているだけなのに、自分の鼓動も速くなっていく。
――次の瞬間。
熱と緊張が一気に抜ける感覚に包まれ、膝がかくんと落ちる。
「……あ、やば……」
呟いたのを最後に、ルカもその場で力を失い、前に倒れ込んでおーくんの胸に頭を預けた。
ベッドの上で二人、向かい合うように眠る姿。
昼過ぎ、カーテンの隙間から光が差し込むまで、二人はまるで夢の中で会話でもしているかのように、同じ寝息を刻んでいた。
ダイタイジツワの絵柄に迷い続けたのでFramePackで遊んでた | 伊阪証 #pixiv https://www.pixiv.net/artworks/133830568
基本絵はピクシブに入れてます
まだ外は早朝の柔らかい光で、窓の向こうから差し込む光が、ルカの後ろ姿を淡く照らしていた。
ルカはエプロンの腰ひもをきゅっと結び直し、フライパンを片手に器用にベーコンを返す。
少し髪が跳ねているのも、寝起きらしさが残っていて妙に可愛い。
「おーくん、パン焼けるよ。ほら、バターも出して」
テーブルの向こうで突っ伏していたおーくんが、もぞっと顔を上げた。
「……んぁ……」
「おーくん、まだ半分寝てるでしょ」
「寝てない……多分」
寝癖のついた髪をかきあげながら、渋々立ち上がってバターの箱を冷蔵庫から取り出す。
それをルカに手渡すと、すぐまた椅子に腰を下ろした。
ベーコンの香ばしい匂いが、部屋いっぱいに広がる。
ルカはフライパンを火から下ろしながら、思い出したようにぽつりとつぶやいた。
「ねぇ……胸ってさ、栄養回るのかな?」
「……は?」
不意打ちの言葉に、おーくんはパンをちぎる手を止める。
「ほら、私もおーくんも男子だけど……鍛えたら筋肉つくみたいに、胸も育ったりするのかなって」
ルカはそう言いながら、チラッと自分の胸元に視線を落とす。
薄いエプロン越しでも、そこにちゃんと形があるのが分かる。
「……いや、男でも脂肪つけたりすれば多少は……」
「だよね」
ルカは、ふっと笑う。
「だったらさ、今から育てたら将来もっと……いい感じになるんじゃない?」
「……“いい感じ”って」
おーくんは半眼で突っ込みつつも、なぜか耳が赤くなる。
「ほら、おーくんって……大きいの好きでしょ?」
その言葉に、パンを口に運びかけたおーくんの動きがピタリと止まった。
「……まぁ……好きだけど……」
「ほらー、やっぱり」
ルカは勝ち誇ったように笑い、食卓に牛乳をなみなみと注いだコップを二つ並べた。
「じゃあ今日から牛乳生活だね」
「え、強制?」
「強制。だって私が大きくなるの、おーくんも楽しみでしょ?」
にやっと笑って、ルカはおーくんの方へコップを押し出す。
おーくんは苦笑いをしながらも、結局その牛乳を受け取った。
牛乳を飲み終えて、コップをテーブルに置く音が小さく響く。
ルカは椅子の背にもたれかかり、ちょっと得意げに胸を張った。
「ほら……ちゃんと触ってみなよ」
「……は?」
「この前から言ってるじゃん。育てるには刺激も必要なんだって」
ルカはわざとらしく肩をすくめ、薄手のエプロンの前で両腕を組む。
すると、組んだ腕の上に押し上げられた胸が、ほんの少し強調される。
おーくんは視線を逸らしながら、手を伸ばしかけて――引っ込めた。
「いや……やっぱ無理」
「なんで? 今さら恥ずかしいの?」
「……今さらでも、恥ずかしいものは恥ずかしい」
ルカは小さく笑い、椅子を少しだけ引いておーくんに近づく。
そのままテーブルの下で膝と膝が触れ合う距離まで寄り、
「じゃあ……目、つぶってみな」
と言った。
おーくんはしぶしぶ目を閉じる。
その瞬間、ルカはおーくんの手をそっと掴み、自分の胸の上に導いた。
薄い布越しに伝わる、意外なほど柔らかい感触。
「……っ」
おーくんの指先が、わずかに震える。
触れたまま固まっていたが、ルカが「動かしていいよ」と小声で促す。
ゆっくり、掌全体で包み込むように動かす。
右へ、左へ――形を確かめるように、慎重に。
布の向こうから、わずかに体温が伝わってきて、柔らかさが指にまとわりつく。
「……おーくん、思ったより優しいね」
「……強くやったら壊れそうだし」
「壊れないってば」
ルカは小さく笑って、少しだけ身体を前に傾けた。
おーくんの指が、中心近くまでかすめた瞬間――
ルカの肩がびくりと震える。
「……っ、そこ……」
小さな声が、熱を帯びていた。
目を閉じたまま、おーくんは息をゆっくり整え、さらに指の動きを慎重に続ける。
そのたびにルカの呼吸が浅くなっていき、わずかに唇から吐息が漏れる。
「……煽ってるつもりが……なんか、私の方がやば……」
そう言った時には、ルカの頬は赤く染まり、目尻はとろんと緩んでいた。
おーくんがふと目を開くと――
そこには、涎をほんの少し垂らして、完全に力の抜けたルカの顔。
「……おまえ、顔……」
「……っ、見ないで……」
ルカは慌ててエプロンを直すが、その動作すらどこか力が抜けていた。
牛乳の甘さが口に残るまま、二人は並んで座っていた。
ルカがグラスをテーブルに戻すと、おーくんの視線が自然と胸元に落ちる。
その視線の動きに、ルカはすぐ気付いた。
「……あれ?また見てる。」
「いや……ちょっと……」
おーくんが頬を赤くしながらも視線を外さない。
牛乳で温まったせいか、部屋の空気まで柔らかく感じる。
「もう飲んだし、大丈夫でしょ?」
ルカが小さく笑って、両腕を後ろに引き、胸を少し持ち上げるように張った。
布越しに丸みが強調され、光の加減で輪郭がくっきりと浮かび上がる。
「……っ……」
おーくんは息を呑み、ゆっくりと手を伸ばした。
触れた瞬間、指先に伝わる柔らかさと温もりが、飲み込んだ牛乳の温かさと混ざって全身を熱くする。
「……やっぱ……」
「ん……?」
「…すごい……」
おーくんの手は慎重に、でも確実に形を確かめるように動く。
親指で外側をなぞり、指先でそっと押し返すたびに、布の下で柔らかい肉がわずかに逃げる。
ルカは目を細めて、その感触を受け止めた。
「……もっと触ってみる?」
挑発めいた声に、おーくんの喉が小さく鳴る。
それでも動きは止まらない。
指の腹で円を描き、布地と肌の間のわずかな摩擦を楽しむように、時間をかけて揉み込む。
「ん……っ……おーくん……そんな、ゆっくり……」
「……焦らすなよ……」
互いの呼吸が近くなる。
ルカが少しだけ前に身を寄せると、おーくんの指が反射的に強く沈み込み、その柔らかさに一瞬、手が止まった。
「……やば……」
小さく漏れたその声には、理性がほつれかけている色が混ざっていた。
ルカはその反応に小さく笑い、さらに胸を押し付ける。
「……もっと、触れてもいいよ……」
おーくんの瞳が一瞬揺れ、そして──もう迷いなく、深く掌を沈めた。
牛乳を飲み終えたばかりの温かな空気の中、ルカは背もたれから離れ、ほんの少しだけおーくんの方へ身体を傾けた。
その動きに合わせて、髪の隙間から首筋が覗き、視線が自然とそこから胸元へと落ちていく。
「……また、見てる」
ルカが唇の端を上げると、おーくんはすぐに目を逸らす──けれど、その頬の赤さは隠せない。
「……いや……その……」
「その……?」
視線を合わせた瞬間、互いのまつ毛が触れそうな距離。
おーくんの瞳の奥に、迷いと熱が入り混じった光が瞬く。
「……やっぱ……似合ってるなって」
「服じゃなくて?」
わざと問い返すルカの目は、どこか試すような鋭さと、少しの甘さを含んでいた。
おーくんは答えられず、ただ見つめ返す。
息が近い。互いの呼吸の温度が混ざり合い、会話よりも沈黙の方が雄弁になる。
「……触っても、いいよ」
その囁きに、おーくんの目が僅かに揺れる。
手が動くより先に、視線がルカの顔から離れられない。
胸元ではなく、その反応を覗き込む瞳に吸い寄せられていた。
ルカは微笑み、瞳を細め、まるで挑発するように少し顎を引く。
光が瞳の縁に反射してきらめき、その視線が「もっと欲しがって」と語っている。
おーくんは堪らず手を伸ばす。だが感触よりも、その瞬間のルカの表情──唇がほんの僅かに開き、熱を孕んだ吐息が零れたその顔に、理性が崩れかけた。
「……ルカ……」
名前を呼ぶ声が低く沈み、二人の間の距離は限界まで縮まっていく。
おーくんの指先がゆっくりと布越しに沈む。
その瞬間、ルカのまぶたが半分ほど下がり、吐息がふっと漏れた。
唇はわずかに開き、堪えようとする意思と、押さえきれない熱が同時に滲んでいる。
頬はじわじわと桜色に染まり、瞳の奥が潤み、光が揺れた。
一方で、おーくんの顔は真剣そのもの。
眉間に薄く皺が寄り、触れている感触を逃すまいと、視線はルカの胸ではなくルカの顔に固定されている。
唇は固く結ばれているのに、その奥で呼吸は確実に荒くなっていく。
時折、ごくりと喉が鳴る音が静かな空気の中に溶けた。
ルカはその視線を受け止め、かすかに唇の端を上げる。
「……そんな顔、されたら……私までおかしくなっちゃう」
その言葉に、おーくんの頬が一気に熱を帯び、眉尻がわずかに下がった。
だが手の動きは止まらず、むしろ指先は慎重さを保ったまま深みを増す。
揉まれるルカの顔は、耐えきれず快感が滲んでいく様子と、挑発を混ぜた微笑みが交互に現れる。
揉むおーくんの顔は、真剣さの奥で堪えきれない興奮を押し殺す表情。
二人の目が何度も交差し、そのたびに空気が濃くなる。
声は出さずとも、顔だけで互いの熱が伝わっていた。
おーくんと並んで立った瞬間、ルカは横目で彼の視線の動きに気付いた。
ほんの一瞬だけ――胸の辺りに視線が落ち、そのまま動かない。
「……おーくん?」
軽く首を傾けて声をかけると、おーくんはビクリと肩を震わせて顔を上げたが、耳まで真っ赤。
「な、なんでも……ない」
かすれた声でそう言いながらも、視線を逸らしきれない。
「そんなに見て……大きくなったらどうなるか、想像してるんでしょ」
からかうように言うと、おーくんは唇を動かしかけて――そのままふっと力が抜け、前のめりに倒れそうになった。
「ちょ、え!? ちょっと!」
慌てて抱きとめた瞬間、ルカの胸元に彼の額が触れた。
顔は真っ赤のまま、すうすうと浅い呼吸。
「……ホントに気絶してるし」
小声で呟いたルカは、そのまま抱き起こそうとして――ふと、布越しに下腹部がほんの少し盛り上がっているのに気付く。
「あー……なるほどねぇ」
片眉を上げて悪戯っぽく笑うと、その盛り上がりを指先でなぞった。
「普段のあのサイズになる前に……ちょっと楽しもっかな」
ゆっくりと触れた瞬間、わずかな硬さが生まれる。
「……っはや……」
あまりに早く、みるみるうちに最大サイズまで育ちきり、ルカの方も息が詰まる。
「……反則……」
その圧に耐えきれず、笑っていた息が震え、ルカの頬も熱くなる。
触れているだけなのに、自分の鼓動も速くなっていく。
――次の瞬間。
熱と緊張が一気に抜ける感覚に包まれ、膝がかくんと落ちる。
「……あ、やば……」
呟いたのを最後に、ルカもその場で力を失い、前に倒れ込んでおーくんの胸に頭を預けた。
ベッドの上で二人、向かい合うように眠る姿。
昼過ぎ、カーテンの隙間から光が差し込むまで、二人はまるで夢の中で会話でもしているかのように、同じ寝息を刻んでいた。
ダイタイジツワの絵柄に迷い続けたのでFramePackで遊んでた | 伊阪証 #pixiv https://www.pixiv.net/artworks/133830568
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