11 / 17
月下、陽光の昇りようを知る
蒲公英
しおりを挟む
「男です」
そう告げた途端、教室の空気は、まるで凍りついたかのように静まり返った。僕の脳裏には、先ほど教師が言った言葉がフラッシュバックする。
“性別を明かすことは、告白と同じ”
やばい、と直感的に思った。この教室にいる全員が、僕の「告白」を聞いた。逃げたい。今すぐこの場から消えてしまいたい。怖くて、目を閉じて俯いてしまう。
しかし、次に聞こえてきたのは、冷たい嘲笑でも、困惑した囁きでもなかった。
「うわ、マジかよ!」「すげぇ」「え、可愛すぎない?」「ギャップ萌えってやつ?」
次々に聞こえてくるのは、驚きと興奮の声だ。僕は恐る恐る目を開けた。生徒たちは、一歩ずつ僕に近づいてきていた。
「ねぇ、本当に男なの?」「その顔で?」「嘘でしょ!」「でも、可愛いからいいか!」
僕を囲んだ生徒たちは、まるで珍しい動物でも見つけたかのように、僕の顔を覗き込んでいる。その瞳には、侮辱や軽蔑は一切なく、ただ純粋な好奇心と、僕という存在への憧れが宿っていた。
「ねぇ、もっと近くで見たい!」「制服着てよ!」「お願い!」
生徒たちの声に押されるように、僕はハンガーにかかった制服に手を伸ばした。教師に言われた言葉が頭の中で響く。「誇りを持って制服を着ろ」。僕は、震える手で制服に袖を通した。ネクタイを締め、ブレザーを羽織る。生徒の一人が、僕の髪に触れ、「これも変えようよ!」と言って、髪色を変えるコンタクトレンズと、髪を整える道具を渡してくれた。
僕は言われるがままに、鏡の前に立つ。コンタクトレンズを入れると、僕の瞳は鮮やかな青色に変わった。そして、髪を整え、少しだけメイクを施す。
鏡の中には、もう「よくできた誰か」はいなかった。
そこにいたのは、制服を着こなし、髪色も瞳の色も変わった、新しい僕。僕は、生まれて初めて、鏡の中の自分と、自分の心が一つになったのを感じた。
この日から、僕の物語は本当に始まった。
「わー、制服似合ってる!」「やばい、可愛すぎ!」「ねぇ、その髪色と瞳の色、どうやって選んだの?」
次々に浴びせられる言葉に、僕はタジタジになってしまう。すると、人だかりの後ろから、聞き覚えのある声が聞こえた。
「君、さっきの子でしょ?」
声の主は、先ほど窓ガラス越しに見ていた、長身で凛々しい彼女。ワインレッドの髪と、緋色の瞳、そしてまばゆい肌を持つ、華月いろはだった。
僕の隣に立っていた金髪のギャルが、いろはの手を引いて僕の方へと連れてくる。
「いろは、見つけたよ!噂の天然記念物!」
ギャルはそう言って、僕の腕を掴み、いろはに差し出した。まるで、僕がペットか何かであるかのように。
「ほら、照くん!いろはに挨拶しな!」
「え、あ、あの・・・」
僕が動揺していると、いろはは微笑んで言った。
「こんにちは、雨野照くん。初めまして、華月いろはです」そう言って、いろはは僕に向かって深々と頭を下げた。
「私、君に会えるのをずっと楽しみにしてたんだ」
その言葉に、僕の鼓動が早くなる。すると、隣にいたギャルが、僕の腕を掴んでいろはから引き離す。
「はいはい、この辺でやめといて。照くん、顔が真っ赤になっちゃってるから。先生も、ちょっと休みなよ」
ギャルはそう言って、いろはの手を引いて教室の扉へ向かう。
「ちょっと、どこに行くのよ!まだ話足りてない!」
「大丈夫だって!これから授業は抜け出して、少し休憩しよう。ほら、先生も来るんだから!」僕は、戸惑いながらも、二人の後を追った。
音が、やけにうるさかった。
遠くから聞こえる、生徒たちの騒ぎ声。それは、静けさを好む私にとって、ひどく耳障りなものだった。私は、職員室の隣にある、保健室のベッドからゆっくりと身を起こす。
私はこの学園に通う生徒ではない。だが、この学園の研究員として、特別な許可を得て、この場所に出入りしている。私が入ることのできるこの部屋は、厳重に薄いアルコールで「消毒され」なければ、誰も入ることはできない。
だから、この音は、それだけでは済まない何かが、この学園で起きていることを意味していた。
扉が開き、一人の教師が慌てたように入ってきた。「君、起きていたのか。すまない、少し騒がしいが…」教師はそう言って、私に頭を下げた。
「何か、あったのですか?」私が尋ねると、教師は困ったように顔を曇らせた。
「いや、それが…なんというか、規格外の人間がこの学園に現れてね」教師は、そう言って窓の外を指さした。
そこには、生徒たちの輪の中心にいる一人の少年がいた。私の許嫁、雨野照だ。彼は、新しい制服を着て、生徒たちに囲まれている。その顔は、困惑と緊張で固まっていた。しかし、生徒たちは彼の周りを走り回り、まるで彼がこの世界の中心であるかのように振る舞っている。
その姿を見た瞬間、私の胸が熱くなった。
彼は、私の結婚相手。
ずっと、遠くから見守ってきた人。
こんなにも多くの生徒たちに囲まれ、翻弄されながらも、どこか凛々しい表情を浮かべている。この混乱の中心に立つ、彼こそが、私の探し求めていた人なのだと。
そう確信した瞬間、私の顔には、喜びが満ち溢れた。
しかし、その次の瞬間、教師の言葉を聞いて、私の顔から表情が消え失せる。
「彼は田舎で育ち、化学からは程遠く、薬品類の影響も受けていない。君と近い立場ではあるが、明確に違う」
そうか、彼は、違う。
私のように、体内に特殊な薬品を投与されていない。
私のように、生まれながらにして、この学園の研究対象ではない。
「…毎日輸血して、徐々に馴らす。それが、君と彼に与えられた役目だ」教師の言葉が、私の頭の中に響く。
結婚というのは、ただの許可の条件でしかない。僕たちは、何の関係もない。いや、むしろ、彼にとっては、忌々しい親の縁でしかない。
私は、再びベッドに横たわった。心は、遠くで騒ぐ声に耳を塞ぐように、静かに、そして深く沈んでいった。
そうして僕は、一通りスピーディに校内を回った。生徒たちに引きずられるように、走り、笑い、声を上げる。誰も僕の性別なんて気にしていない。ただただ、僕の可愛さを褒め、愛でてくれている。制服のスカートがひらひらと揺れ、足に触れる。その度に、慣れない感覚に戸惑い、僕の心は夢見心地から少しだけ現実に引き戻される。スカートの下にある、慣れない下着。僕はそれを意識しないように、必死で気を紛らわした。
それでも、生徒たちと過ごす時間は、僕がこれまで知らなかった、都会の充実した雰囲気で満ちていた。
だが、そんな夢のような時間は、突然の終わりを告げた。
「ねえ、そのメイク、誰にしてもらったの?」金髪のギャルが、僕の顔をじっと見つめながら尋ねた。
「えっと……これは、何もしてないんだけど……」
僕が正直に答えると、周囲から驚きの声が上がる。
「嘘でしょ!?」「このクオリティでノーメイク!?」
「これは、逆にヤバいって!」「天然記念物って言われてるけど、むしろ原石だ!」僕は、彼らの言葉の意味が分からず、ただ戸惑うばかりだった。
すると、生徒の一人が、僕の前にメイクパレットを差し出した。
「ねえ、照くん!これ使って、もっと可愛くしちゃいなよ!」
僕は、その申し出に戸惑った。すると、別の生徒が僕の髪に触れ、「私も手伝う!」「この前、真知ちゃんに教えてもらったんだけど、超絶可愛くなる魔法があるんだ!」と興奮しながら言った。
僕は、これから自分がどうなってしまうのか、ゾクゾクするような予感に襲われた。彼らの瞳は、まるで最高の遊び道具を見つけた子供のように輝いていた。
「どうする?」
僕の隣にいた、穏やかな顔立ちの生徒が、そう尋ねた。
「えっと……」
僕は、言葉に詰まってしまう。すると、その生徒は、僕の肩に手を置き、静かに言った。
「大丈夫だよ。僕たちが、君をもっと素敵にしてあげるから」その声は、僕の不安を少しだけ和らげてくれた。
僕は、これから待ち受ける未知の体験に、再び胸をときめかせた。
そう言ってくれた穏やかな顔立ちの生徒に、僕は少しだけ安心した。
「……あの、実は僕、探している人がいるんです」
僕がそう言うと、周囲の騒ぎ声がぴたりと止まった。
「僕の許嫁で……その、まだ会えてなくて」
僕がそう告げると、生徒たちは一斉にスマホを取り出した。皆、同じカメラの映像を僕に見せる。
そこには、病室らしき白い部屋で、静かにこちらを見つめる、一人の少女の姿が映っていた。
「……澪さん」
僕が、その名を口にすると、いろはが僕の隣に立った。
「雨白 澪。彼女は、現在病院と学校以外では一切生活ができない人間。だから、接触は難しいんだ」
いろはは、そう言って僕の目をまっすぐに見つめた。
「でも、その代わりにスマホでいつでも連絡や映像を集めて、話しながら動くことをしている」
僕たちの周りに集まっていた生徒たちが、口々に言い始めた。
「澪さん、いつも俺たちの映像、見てるんだぜ!」
「でも、直接会ったことある人は、この学園でも少ないんだ」
「ねえ、照くん。私たち、行くぞ」
いろははそう言って、僕の手を引いた。
「澪さんは、清潔さにうるさいんだ。だから、巫女の家系で清潔さが徹底されている私なら、比較的容易に入れる。行こう、君の許嫁に会いに」
僕は、戸惑いながらも、いろはに連れられて歩き始めた。
ちなみにモブだと思ってる奴全員ネームドだからな。
そう告げた途端、教室の空気は、まるで凍りついたかのように静まり返った。僕の脳裏には、先ほど教師が言った言葉がフラッシュバックする。
“性別を明かすことは、告白と同じ”
やばい、と直感的に思った。この教室にいる全員が、僕の「告白」を聞いた。逃げたい。今すぐこの場から消えてしまいたい。怖くて、目を閉じて俯いてしまう。
しかし、次に聞こえてきたのは、冷たい嘲笑でも、困惑した囁きでもなかった。
「うわ、マジかよ!」「すげぇ」「え、可愛すぎない?」「ギャップ萌えってやつ?」
次々に聞こえてくるのは、驚きと興奮の声だ。僕は恐る恐る目を開けた。生徒たちは、一歩ずつ僕に近づいてきていた。
「ねぇ、本当に男なの?」「その顔で?」「嘘でしょ!」「でも、可愛いからいいか!」
僕を囲んだ生徒たちは、まるで珍しい動物でも見つけたかのように、僕の顔を覗き込んでいる。その瞳には、侮辱や軽蔑は一切なく、ただ純粋な好奇心と、僕という存在への憧れが宿っていた。
「ねぇ、もっと近くで見たい!」「制服着てよ!」「お願い!」
生徒たちの声に押されるように、僕はハンガーにかかった制服に手を伸ばした。教師に言われた言葉が頭の中で響く。「誇りを持って制服を着ろ」。僕は、震える手で制服に袖を通した。ネクタイを締め、ブレザーを羽織る。生徒の一人が、僕の髪に触れ、「これも変えようよ!」と言って、髪色を変えるコンタクトレンズと、髪を整える道具を渡してくれた。
僕は言われるがままに、鏡の前に立つ。コンタクトレンズを入れると、僕の瞳は鮮やかな青色に変わった。そして、髪を整え、少しだけメイクを施す。
鏡の中には、もう「よくできた誰か」はいなかった。
そこにいたのは、制服を着こなし、髪色も瞳の色も変わった、新しい僕。僕は、生まれて初めて、鏡の中の自分と、自分の心が一つになったのを感じた。
この日から、僕の物語は本当に始まった。
「わー、制服似合ってる!」「やばい、可愛すぎ!」「ねぇ、その髪色と瞳の色、どうやって選んだの?」
次々に浴びせられる言葉に、僕はタジタジになってしまう。すると、人だかりの後ろから、聞き覚えのある声が聞こえた。
「君、さっきの子でしょ?」
声の主は、先ほど窓ガラス越しに見ていた、長身で凛々しい彼女。ワインレッドの髪と、緋色の瞳、そしてまばゆい肌を持つ、華月いろはだった。
僕の隣に立っていた金髪のギャルが、いろはの手を引いて僕の方へと連れてくる。
「いろは、見つけたよ!噂の天然記念物!」
ギャルはそう言って、僕の腕を掴み、いろはに差し出した。まるで、僕がペットか何かであるかのように。
「ほら、照くん!いろはに挨拶しな!」
「え、あ、あの・・・」
僕が動揺していると、いろはは微笑んで言った。
「こんにちは、雨野照くん。初めまして、華月いろはです」そう言って、いろはは僕に向かって深々と頭を下げた。
「私、君に会えるのをずっと楽しみにしてたんだ」
その言葉に、僕の鼓動が早くなる。すると、隣にいたギャルが、僕の腕を掴んでいろはから引き離す。
「はいはい、この辺でやめといて。照くん、顔が真っ赤になっちゃってるから。先生も、ちょっと休みなよ」
ギャルはそう言って、いろはの手を引いて教室の扉へ向かう。
「ちょっと、どこに行くのよ!まだ話足りてない!」
「大丈夫だって!これから授業は抜け出して、少し休憩しよう。ほら、先生も来るんだから!」僕は、戸惑いながらも、二人の後を追った。
音が、やけにうるさかった。
遠くから聞こえる、生徒たちの騒ぎ声。それは、静けさを好む私にとって、ひどく耳障りなものだった。私は、職員室の隣にある、保健室のベッドからゆっくりと身を起こす。
私はこの学園に通う生徒ではない。だが、この学園の研究員として、特別な許可を得て、この場所に出入りしている。私が入ることのできるこの部屋は、厳重に薄いアルコールで「消毒され」なければ、誰も入ることはできない。
だから、この音は、それだけでは済まない何かが、この学園で起きていることを意味していた。
扉が開き、一人の教師が慌てたように入ってきた。「君、起きていたのか。すまない、少し騒がしいが…」教師はそう言って、私に頭を下げた。
「何か、あったのですか?」私が尋ねると、教師は困ったように顔を曇らせた。
「いや、それが…なんというか、規格外の人間がこの学園に現れてね」教師は、そう言って窓の外を指さした。
そこには、生徒たちの輪の中心にいる一人の少年がいた。私の許嫁、雨野照だ。彼は、新しい制服を着て、生徒たちに囲まれている。その顔は、困惑と緊張で固まっていた。しかし、生徒たちは彼の周りを走り回り、まるで彼がこの世界の中心であるかのように振る舞っている。
その姿を見た瞬間、私の胸が熱くなった。
彼は、私の結婚相手。
ずっと、遠くから見守ってきた人。
こんなにも多くの生徒たちに囲まれ、翻弄されながらも、どこか凛々しい表情を浮かべている。この混乱の中心に立つ、彼こそが、私の探し求めていた人なのだと。
そう確信した瞬間、私の顔には、喜びが満ち溢れた。
しかし、その次の瞬間、教師の言葉を聞いて、私の顔から表情が消え失せる。
「彼は田舎で育ち、化学からは程遠く、薬品類の影響も受けていない。君と近い立場ではあるが、明確に違う」
そうか、彼は、違う。
私のように、体内に特殊な薬品を投与されていない。
私のように、生まれながらにして、この学園の研究対象ではない。
「…毎日輸血して、徐々に馴らす。それが、君と彼に与えられた役目だ」教師の言葉が、私の頭の中に響く。
結婚というのは、ただの許可の条件でしかない。僕たちは、何の関係もない。いや、むしろ、彼にとっては、忌々しい親の縁でしかない。
私は、再びベッドに横たわった。心は、遠くで騒ぐ声に耳を塞ぐように、静かに、そして深く沈んでいった。
そうして僕は、一通りスピーディに校内を回った。生徒たちに引きずられるように、走り、笑い、声を上げる。誰も僕の性別なんて気にしていない。ただただ、僕の可愛さを褒め、愛でてくれている。制服のスカートがひらひらと揺れ、足に触れる。その度に、慣れない感覚に戸惑い、僕の心は夢見心地から少しだけ現実に引き戻される。スカートの下にある、慣れない下着。僕はそれを意識しないように、必死で気を紛らわした。
それでも、生徒たちと過ごす時間は、僕がこれまで知らなかった、都会の充実した雰囲気で満ちていた。
だが、そんな夢のような時間は、突然の終わりを告げた。
「ねえ、そのメイク、誰にしてもらったの?」金髪のギャルが、僕の顔をじっと見つめながら尋ねた。
「えっと……これは、何もしてないんだけど……」
僕が正直に答えると、周囲から驚きの声が上がる。
「嘘でしょ!?」「このクオリティでノーメイク!?」
「これは、逆にヤバいって!」「天然記念物って言われてるけど、むしろ原石だ!」僕は、彼らの言葉の意味が分からず、ただ戸惑うばかりだった。
すると、生徒の一人が、僕の前にメイクパレットを差し出した。
「ねえ、照くん!これ使って、もっと可愛くしちゃいなよ!」
僕は、その申し出に戸惑った。すると、別の生徒が僕の髪に触れ、「私も手伝う!」「この前、真知ちゃんに教えてもらったんだけど、超絶可愛くなる魔法があるんだ!」と興奮しながら言った。
僕は、これから自分がどうなってしまうのか、ゾクゾクするような予感に襲われた。彼らの瞳は、まるで最高の遊び道具を見つけた子供のように輝いていた。
「どうする?」
僕の隣にいた、穏やかな顔立ちの生徒が、そう尋ねた。
「えっと……」
僕は、言葉に詰まってしまう。すると、その生徒は、僕の肩に手を置き、静かに言った。
「大丈夫だよ。僕たちが、君をもっと素敵にしてあげるから」その声は、僕の不安を少しだけ和らげてくれた。
僕は、これから待ち受ける未知の体験に、再び胸をときめかせた。
そう言ってくれた穏やかな顔立ちの生徒に、僕は少しだけ安心した。
「……あの、実は僕、探している人がいるんです」
僕がそう言うと、周囲の騒ぎ声がぴたりと止まった。
「僕の許嫁で……その、まだ会えてなくて」
僕がそう告げると、生徒たちは一斉にスマホを取り出した。皆、同じカメラの映像を僕に見せる。
そこには、病室らしき白い部屋で、静かにこちらを見つめる、一人の少女の姿が映っていた。
「……澪さん」
僕が、その名を口にすると、いろはが僕の隣に立った。
「雨白 澪。彼女は、現在病院と学校以外では一切生活ができない人間。だから、接触は難しいんだ」
いろはは、そう言って僕の目をまっすぐに見つめた。
「でも、その代わりにスマホでいつでも連絡や映像を集めて、話しながら動くことをしている」
僕たちの周りに集まっていた生徒たちが、口々に言い始めた。
「澪さん、いつも俺たちの映像、見てるんだぜ!」
「でも、直接会ったことある人は、この学園でも少ないんだ」
「ねえ、照くん。私たち、行くぞ」
いろははそう言って、僕の手を引いた。
「澪さんは、清潔さにうるさいんだ。だから、巫女の家系で清潔さが徹底されている私なら、比較的容易に入れる。行こう、君の許嫁に会いに」
僕は、戸惑いながらも、いろはに連れられて歩き始めた。
ちなみにモブだと思ってる奴全員ネームドだからな。
0
あなたにおすすめの小説
侯爵様の懺悔
宇野 肇
恋愛
女好きの侯爵様は一年ごとにうら若き貴族の女性を妻に迎えている。
そのどれもが困窮した家へ援助する条件で迫るという手法で、実際に縁づいてから領地経営も上手く回っていくため誰も苦言を呈せない。
侯爵様は一年ごとにとっかえひっかえするだけで、侯爵様は決して貴族法に違反する行為はしていないからだ。
その上、離縁をする際にも夫人となった女性の希望を可能な限り聞いたうえで、新たな縁を取り持ったり、寄付金とともに修道院へ出家させたりするそうなのだ。
おかげで不気味がっているのは娘を差し出さねばならない困窮した貴族の家々ばかりで、平民たちは呑気にも次に来る奥さんは何を希望して次の場所へ行くのか賭けるほどだった。
――では、侯爵様の次の奥様は一体誰になるのだろうか。
あなたのためなら
天海月
恋愛
エルランド国の王であるセルヴィスは、禁忌魔術を使って偽の番を騙った女レクシアと婚約したが、嘘は露見し婚約破棄後に彼女は処刑となった。
その後、セルヴィスの真の番だという侯爵令嬢アメリアが現れ、二人は婚姻を結んだ。
アメリアは心からセルヴィスを愛し、彼からの愛を求めた。
しかし、今のセルヴィスは彼女に愛を返すことが出来なくなっていた。
理由も分からないアメリアは、セルヴィスが愛してくれないのは自分の行いが悪いからに違いないと自らを責めはじめ、次第に歯車が狂っていく。
全ては偽の番に過度のショックを受けたセルヴィスが、衝動的に行ってしまった或ることが原因だった・・・。
乙女ゲームは見守るだけで良かったのに
冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した私。
ゲームにはほとんど出ないモブ。
でもモブだから、純粋に楽しめる。
リアルに推しを拝める喜びを噛みしめながら、目の前で繰り広げられている悪役令嬢の断罪劇を観客として見守っていたのに。
———どうして『彼』はこちらへ向かってくるの?!
全三話。
「小説家になろう」にも投稿しています。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる