有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』

ぴえ

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現在_我孫子

我孫子_3

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「はぁ? 知らないね……何のことだぁ? というか、ここを出たら覚えてろよ? こっちは怪我してんだ。この証拠でいくらでも訴えてやることが出来るんだからな」

 この聴取が始まる前に佐倉と京は話し合っていたので、彼女が我孫子を数発殴ることを知っていた。だが、その行為があまりにも淡々と、だが、明らかに怒りが込められていたものだったので、驚いた。その感情は部下を思ってのことだろうが、この行動は上司として部下に見せてはいけないな、とも思った。今も彼女が見る我孫子への視線は残忍で、拳銃の所持と発砲の許可があればためらいなく撃つだろう。

「別に構わない。この聴取を終えて、お前が訴えたい、とまだ思えていたならな」
「どういう意味だ?」
「今回の件、何故お前を隔離するような聴取が可能で、何故警察はお前を助けにこないんだろうな?」
「ユースティティア内の出来事に警察が干渉するわけないだろ。それに、お前達の行動が珍しく早かったってのもあるだろうが……」
「そうだな。確かに、俺達の行動は早かった。そして、俺も今回の件で警察が干渉するのはかなりの無理を通す必要があるから、可能姓は低いと考えていた。だけど、それは常識で考えての話だ」
「常識?」
「今の警察は常識の範囲外にいる、と考えるべきだろう? 無理を通すことも、理不尽な行動も、ユースティティアへの干渉もいくらでも可能だ。警察の都合の良いストーリーに変更することができる。だって、『レシエントメンテ』があるのだから――そうだろ?」
「…………」
「『レシエントメンテ』を手にした奴は頭の回転が異常に早く秀才かつ狡猾だ。仮にお前が内通者であるならば、今回の行動も知られていると考えるべきだろう。お前の行動は筒抜けだと考えてしかるべきだ。しかし、その警察がお前を助けに来ない。理由なんていくらでも作れるよな? 俺達が違法な聴取をしている、とか、内々で不祥事をもみ消そうとしている、とか。まぁ、お前が内通者ではない、という可能姓は……考えるだけ無駄だな。こっちも長い間調べてきたんだからな」
「……ふん」
「可能姓の高い方で考えよう。お前が警察の内通者であるのにも関わらず、警察が無理をしてでも助けにこないのは何故か? 用済みだから――だとしたら、警察が近いうちに消すだろう。そんな大事な仕事を疎かにするとは考えにくい。では、お前を消せない理由がある――だったら、無理をしてでも助けにくるはずだ。何かの手違いで損失が出ることは避けたいからな」
「…………何が言いたい?」
「お前は自分が警察には消されない手段を持っているつもりかもしれないが、それは警察が本気を出せばどうとでもなるものだ、と俺は考えている。だが、警察はあえてお前に手を出せない振りをして、『今のこの状況を作らせた』んだよ。警察からすれば、お前は脅威ではない。利用価値のある道具なんだよ」
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