有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』

ぴえ

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第二章:作戦通り

ユースティティア_2-3

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「あっ……」

 ユースティティアの所内から出ようとしていた三人だが、出入口のところで佐倉が待っていることに気が付いた。彼もまた、三人に気付くと真っすぐに視線をこちらに向け続ける。どうやら偶々、そこにいたというわけではなさそうだった。
 三人が佐倉に近づき、その距離が近くなる。そして、声が届く範囲になったとき――

「すまない」

 佐倉がそうこぼした。有栖達は彼の前で立ち止まり、顔を見るとそこには申し訳なさそうな感情の中に悔しそうな感情も読み取れた。

「ユースティティア、いや、治安維持組織の存亡の危機だというのに、それに立ちむかおうとしている唯一の隊員達の見送りが俺一人だ。情けないな」
「いいですよ、大勢に見送れる状況じゃないでしょ」

 有栖は佐倉とは対照的に笑っていた。

「確かにな。しかし、こちらでもできる限りのことはしている。状況が整い次第、駆けつける。いや、駆けつけてみせる。まぁ、いきなり大勢で押しかけて相手に逃げられるわけにもいかないからな」
「えぇ、こちらもできる限り目立ちたくはありません。作戦もお伝えしたとおり少数精鋭で考えています。タイミングについては私の方から連絡します」

 京の言葉に佐倉は頷く。

「天使については、国の統治機能の破壊を現行犯――つまりは、内乱罪の現行犯で捕まえてきます。そのあとは更に、主人の……いえ、一色誠の殺人罪について余罪をさらに追及して現状をひっくり返しましょう」
「えぇ、わかりました。では、頼みます」
「では、いってきます」

 京の言葉で三人が敬礼をし、佐倉も返す。そして、三人は歩き出し、すれ違う。

「ぶっ飛ばしてきます、任せてください」
「必ず、任務を遂行してみせます」

 そのときに少数精鋭の隊員の言葉が届いた。その声に頼もしさに感謝しつつも、佐倉は三人の背中が見えなくなるまで敬礼をし続けた。
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