有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』

第二章：作戦通り

反保_2-2

　前後を双子に挟まれた状態で反保は降りた階を進んだ。あのあと、最上階へのボタンを押し、双子は降り、有栖は上へ。このまま最上階で天使しかいないのならば、ユースティティアとしても最高の状態だった。

「人の心配をしている余裕はないか。というか、先輩の心配なんて僕がするだけ大きなお世話だな」

　反保はひとまず思考の枝を多岐にわたらせるのを止めた。もうここまで来てしまえば出来ることはない。彼は彼で目の前のことに集中することが最善だと解っていた。
　また、同時にもう一つ解っていることがある。それは、今から何が起こるのか。

　双子との戦闘――そんなことは微塵にも考えてなかった。彼等は監視役だ。これから相対する人物との――

「なんの因果なんだか」

　双子に連れられ、ホールらしき場所の大きなドアの前で反保は呟く。

　――出会って、戦って、協力して……

　自身の半生を振り返るように過去を思い出す。軽く目を瞑り、彼は覚悟を決めた。

「こちらです」

　双子の片方がドアを開ける。

　広々としたスペース
　赤い絨毯
　豪華な電飾

　その中で一人ポツンと――飛田が立っていた。