有栖と奉日本『垂涎のハローワールド』

ぴえ

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第八章_一日前

一色_8-4

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「弱そうな、中年オヤジ」
「弱そうな、中年オヤジ」
 彼方と此方が声を揃えてそう言うと、同時に一歩近づく。
「初対面で失礼な奴等やな」
 一色は視界に彼等を捉えながら、同時に周囲を警戒する。どうやら、ロボットはいないようだ。また、このフロアに入ってくる様子もない。
「早急に始末して」
「天使さんに褒めてもらおう」
 双子はまた一歩、近づく。
「やっぱり、天使の部下か。なぁ、アイツはどこに――」
 一色の言葉に聞く耳を持たず、双子は同時に彼に向かって駆け出した。そのスピードは速く、間合いは即座に失われた。一色も腰に携えていた警棒を取り出すと、正面から向かってくる二人を払い除けるようにそれを横に振るう。しかし、
「遅い」
「遅い」
 彼方と此方は更に一段回スピードを上げると、身体をダッキングさせて警棒を避け、一色の背後へと回り込む。そして、切り返しと同時に跳び上がると、いつの間にか彼方の右手と此方の左手には刃の部分が湾曲したナイフが握られていた。
「これで」
「終わり」
 一色の背後を取った二人の意思疎通は完璧であり、同時に首を刈り取りにいく。
「なっ!!」
「なっ!!」
 それは一瞬の出来事だった。
 一色は同時に向かってきた刃をするりと潜るように避けると、即座に彼方の腹部に蹴りを放ち、吹き飛ばす。
「彼方!」
一方で空振りをした此方は、無意識に彼方に視線を移動させたがその刹那に一色は体制を整え、間合いを詰めた。その行動は此方が空振りをし、一瞬だけ視線を逸らし、再び攻撃態勢に入る前に終えられていた。
「破っ!!」
 一色の掌底がアッパーの軌道で此方の顎にヒットし、彼もまた彼方とは別の方向に吹き飛んだ。
「中年オヤジにしては中々やるやろ」
 一色は皮肉を一つ返すが、戦闘態勢を解かない。それは彼がまだ油断せず、戦闘は続くと理解していることの表れだった。
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