有栖と奉日本『不気味の谷のアリス』

ぴえ

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第二章:開幕

反保_2-1

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「人が多いな」
 初日の会場の様子を見ながら、反保は呟いた。多い、多い、と周囲から聞かされてはいたが実際に自身の目で見るとその数に圧倒されていることを認めざるを得ない。しかも、これが著名人ばかりというのだから、それらの情報に疎い彼にとっては世界中全ての著名人がこの場に集まっていると言われても信じていたかもしれない。
 また一方で、この状況に危険な思想を持つ人間が一人いれば多数の著名人を殺害可能であることを思うと背筋が凍る。ただの見回りでも足を一歩進める度に精神が擦れて消費されているのが解る。
「そろそろ時間だ」
 視界に映る限りは異常や問題がないことを確認すると、反保は会場にある時計を見る。もう一つの任務であるアース博士の護衛の時間だった。
 昨日は後ろ姿しか見えなかったアース博士の容姿については、一色から写真を見せてもらい頭の中にある。

 二十代後半の白人女性。 
 白髪で前髪が直線に切りそろえられたショートボブ。
 そして、吸い込まれそうなほど真っ暗な――真夜中のような黒目が特徴的だった。 

 世界の重要人物の護衛……まだまだ精神的疲労は続きそうだ、と思うと自然に重たい息を零しながら、彼はアース博士のいる棟へと歩き始めた。
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