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第四章:三極-2-
反保_4-2
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「アース博士とやらは何処にいる?」
目の前の男がナイフを突きつけながら、反保に尋ねる。
――こいつは……
反保には相手の顔に見覚えがあった。いや、記憶に保存されていた。
「詩島組幹部、音切(おとぎり)」
「なんだ、俺のこと知ってるのか」
「そこそこ有名なので」
事実、音切は有名だ。反保が記憶している範囲では、過去に彼が起こした事件は残虐性が高く、悪質なものが多かった。そんな男がここにいて、アース博士を探している……それは詩島組の現状を加味しても危険であること以外は考えられなかった。
――今、僕がしなければならないことを考えろ。
呼吸を落ち着かせて、思考を巡らせる。
――確実なのは展示場まで逃げて、応援を呼ぶこと。だけど、そこまで無事に逃げきれる保証はないし、コイツが他の階に行けばアース博士の護衛が難しくなる。だったら……
反保が自身の中で決意を固める。
「よし」
「アース博士の場所を話す気になったか?」
「いや――ここで、お前を止める」
次の瞬間、反保は腰を床に着けたまま、足で目の前のナイフを蹴り上げる。不意打ちが成功し、ナイフが床に転がると、彼は素早く距離を取り、階段側の通路を塞ぐように立ち上がる。
「この階にはアース博士はいないようだし、そっちに行って他の階を見なきゃいけないんだよ。だからさぁ、どけよ」
「断る」
「そうかぁ。じゃあ、邪魔するなら、八つ裂きにするしかねぇなぁ!」
楽しそうに音切は吠えると、スーツの内側にクロスするように手を入れると、引き抜いたときには再びナイフを持っていた。その動作はまるで手品のようだ。
「初めての大きな任務で、戦う相手の武器がナイフって……因果なもんだな」
反保はまるで余裕を見せるかのように笑ってみせた。
目の前の男がナイフを突きつけながら、反保に尋ねる。
――こいつは……
反保には相手の顔に見覚えがあった。いや、記憶に保存されていた。
「詩島組幹部、音切(おとぎり)」
「なんだ、俺のこと知ってるのか」
「そこそこ有名なので」
事実、音切は有名だ。反保が記憶している範囲では、過去に彼が起こした事件は残虐性が高く、悪質なものが多かった。そんな男がここにいて、アース博士を探している……それは詩島組の現状を加味しても危険であること以外は考えられなかった。
――今、僕がしなければならないことを考えろ。
呼吸を落ち着かせて、思考を巡らせる。
――確実なのは展示場まで逃げて、応援を呼ぶこと。だけど、そこまで無事に逃げきれる保証はないし、コイツが他の階に行けばアース博士の護衛が難しくなる。だったら……
反保が自身の中で決意を固める。
「よし」
「アース博士の場所を話す気になったか?」
「いや――ここで、お前を止める」
次の瞬間、反保は腰を床に着けたまま、足で目の前のナイフを蹴り上げる。不意打ちが成功し、ナイフが床に転がると、彼は素早く距離を取り、階段側の通路を塞ぐように立ち上がる。
「この階にはアース博士はいないようだし、そっちに行って他の階を見なきゃいけないんだよ。だからさぁ、どけよ」
「断る」
「そうかぁ。じゃあ、邪魔するなら、八つ裂きにするしかねぇなぁ!」
楽しそうに音切は吠えると、スーツの内側にクロスするように手を入れると、引き抜いたときには再びナイフを持っていた。その動作はまるで手品のようだ。
「初めての大きな任務で、戦う相手の武器がナイフって……因果なもんだな」
反保はまるで余裕を見せるかのように笑ってみせた。
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