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第四章:三極-1-
飛田_4-8
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「退け!」
岩田が拳を振るう。しかし、万全ではない飛田でもそれを余裕で避けることが出来た。
――当たるのは論外。次に掴まれても終わりだ。集中しろ。神経を研ぎ澄ませ。今出来ることは……一つだけだ!
岩田の追撃を避け、飛田は跳んで顔面に前蹴りを放つ。それを岩田は両腕でガードした。
「何!」
岩田は次の飛田の行動に驚いた。
跳躍力を活かし、飛田は床、天井、側壁を蹴りながら猛スピードで岩田の顔面に向かって連撃を繰り出したのだ。
そのスピードは凄まじく、捉えることができないことを悟った岩田は戦術を変えた。
――疲弊し、遅くなったところを捕まえる。
岩田はガードに徹する。こんなスピードを維持できるはずがないと判断したのだ。しかし――
――いつ、止まる。いや、止まらないのか。
飛田は高速の連撃でガードなんて関係なしに攻撃を続ける。それを受け続けることで変化は生じた。岩田の腕にダメージがなくても、連続の衝撃でガードが開き始めたのだ。そして、その間隙を縫うように飛田の一撃が岩田の顔面に炸裂した。
そこからも飛田の攻撃は止まらない。ガードを破壊し、更に顔面を狙い、攻撃を続ける。
「うぜぇ!」
再び、攻撃が当たったときに岩田は飛田の手足を掴もうとした。しかし、飛田はそれすらも避けて、攻撃を続ける。
――恐ろしいスピードだ。掴むことさえさせないっといったところか。ならば……。
岩田は攻撃を喰らいながらも、拳を振り回し、前進し始めた。
これには飛田も攻撃を避けながら、後退するしかなかった。カウンターで当ててはいるものの、後方に下がっているので体重の乗り方が甘く、岩田は耐えることが可能だった。
――このまま奥の壁まで追いつめる。
それは異常な光景だった。
飛田は岩田の顔面に攻撃を当て続ける。岩田はそれに耐えながら前に進む。
奥の壁まで追いつめれば、飛田を追いつめることになるので掴むことも可能だろう。
――耐えられる。大丈夫だ。
岩田も倒れることはなくても、痛みはあり、鼻や口からは血が流れ出ていた。しかし、意識を失うことがなければ問題はないのだ。
じりじり、と確実に前進し――壁にあと数歩のところまで、たどり着いた。
岩田は手を広げ、飛田の行動を制限する。
「終わりだ!」
そして、覆うように飛田に襲いかかる――しかし、
「え?」
飛田の行動は先程とは違った。後方の壁へと跳び、
「喰らえ!」
全力で壁を蹴り、ロケットのように飛田は岩田へと突っ込む。
岩田が彼を捕まえるよりも速く、その腕を通り抜けて、全体重と全速力による蹴りをカウンターで顔面にぶち込んだ。
捨て身、という言葉が正しいだろう。後のことを考えていなかった飛田は着地することも出来なかった。
床に転がった飛田は慌てて、立ち上がり、追い抜いた岩田を見る。
岩田は天井を仰ぎ、倒れていた。
全体重と全速力で放たれた一撃は、通常の攻撃とは違い、六十キロ以上の弾丸をカウンターで受けたことになる。
さすがに岩田でも、それを耐えることは出来なかったのだ。
「よっしゃ!」
飛田はガッツポーズをし、喜びを噛み締める。そして、一息着くと、天井を見上げながら、二人のことが少し心配になった。
「他の階は大丈夫か? 特にあのマッシュルームとか」
岩田が拳を振るう。しかし、万全ではない飛田でもそれを余裕で避けることが出来た。
――当たるのは論外。次に掴まれても終わりだ。集中しろ。神経を研ぎ澄ませ。今出来ることは……一つだけだ!
岩田の追撃を避け、飛田は跳んで顔面に前蹴りを放つ。それを岩田は両腕でガードした。
「何!」
岩田は次の飛田の行動に驚いた。
跳躍力を活かし、飛田は床、天井、側壁を蹴りながら猛スピードで岩田の顔面に向かって連撃を繰り出したのだ。
そのスピードは凄まじく、捉えることができないことを悟った岩田は戦術を変えた。
――疲弊し、遅くなったところを捕まえる。
岩田はガードに徹する。こんなスピードを維持できるはずがないと判断したのだ。しかし――
――いつ、止まる。いや、止まらないのか。
飛田は高速の連撃でガードなんて関係なしに攻撃を続ける。それを受け続けることで変化は生じた。岩田の腕にダメージがなくても、連続の衝撃でガードが開き始めたのだ。そして、その間隙を縫うように飛田の一撃が岩田の顔面に炸裂した。
そこからも飛田の攻撃は止まらない。ガードを破壊し、更に顔面を狙い、攻撃を続ける。
「うぜぇ!」
再び、攻撃が当たったときに岩田は飛田の手足を掴もうとした。しかし、飛田はそれすらも避けて、攻撃を続ける。
――恐ろしいスピードだ。掴むことさえさせないっといったところか。ならば……。
岩田は攻撃を喰らいながらも、拳を振り回し、前進し始めた。
これには飛田も攻撃を避けながら、後退するしかなかった。カウンターで当ててはいるものの、後方に下がっているので体重の乗り方が甘く、岩田は耐えることが可能だった。
――このまま奥の壁まで追いつめる。
それは異常な光景だった。
飛田は岩田の顔面に攻撃を当て続ける。岩田はそれに耐えながら前に進む。
奥の壁まで追いつめれば、飛田を追いつめることになるので掴むことも可能だろう。
――耐えられる。大丈夫だ。
岩田も倒れることはなくても、痛みはあり、鼻や口からは血が流れ出ていた。しかし、意識を失うことがなければ問題はないのだ。
じりじり、と確実に前進し――壁にあと数歩のところまで、たどり着いた。
岩田は手を広げ、飛田の行動を制限する。
「終わりだ!」
そして、覆うように飛田に襲いかかる――しかし、
「え?」
飛田の行動は先程とは違った。後方の壁へと跳び、
「喰らえ!」
全力で壁を蹴り、ロケットのように飛田は岩田へと突っ込む。
岩田が彼を捕まえるよりも速く、その腕を通り抜けて、全体重と全速力による蹴りをカウンターで顔面にぶち込んだ。
捨て身、という言葉が正しいだろう。後のことを考えていなかった飛田は着地することも出来なかった。
床に転がった飛田は慌てて、立ち上がり、追い抜いた岩田を見る。
岩田は天井を仰ぎ、倒れていた。
全体重と全速力で放たれた一撃は、通常の攻撃とは違い、六十キロ以上の弾丸をカウンターで受けたことになる。
さすがに岩田でも、それを耐えることは出来なかったのだ。
「よっしゃ!」
飛田はガッツポーズをし、喜びを噛み締める。そして、一息着くと、天井を見上げながら、二人のことが少し心配になった。
「他の階は大丈夫か? 特にあのマッシュルームとか」
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