壊れるぐらい愛して

ふしきの

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第三章

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 あの日から七年もたっている。
 失踪宣告の法的措置が開始される。

 それでも登は生きていると思っていた。

 そんな時、美紗緒に出会った。
 怪談話を女子社員がよくしていた。最近、夜中になると研究室のどこからかで女のすすり泣きが聞こえてくると。
 それが、美紗緒だった。
 何気なく研究室で声を掛けた。
「暗い顔しているな~お前。ちゃんと飯食っているか?」
「はい…あの」
 数年前の面接の時の印象とまるで違っていた。ひっつり目で手入れされてない髪型、除菌消臭で荒れている手のひらが僅かに震えている。
 自分の見てくれが怖いのかと思い、
「はいはい、どうせ、粉砕機は活動中だろう。レポートも書く気がないのだったら、飯を食う時間はあるよな」
 そう言って研究室から連れ出した。
 美紗緒の白衣は、洗ってないのか薄汚れていた。
「夜中に食事を取ると太るって言うけれど、あんたは痩せすぎ、ちょっとはふっくらした方がいいと思うよ…」
 調理室で、暖かい食事を簡単に作ると辺りは柔らかい香りに包まれた。ただただ呆然とする美紗緒は出された食器を見つめているだけだった。
「ちょっとだけでもいいから口をつけていきなよ。俺これでも調理師と管理栄養士の資格持っているんだ」
 そう言って啓吾は笑った。
 美紗緒にはよく分からなかった。高そうなスーツを着た男が厨房に立って自分のために料理を作ってくれた。しかも、食べてみると口当たりが優しくおいしい。気がついたらお腹いっぱいになってしかも眠っていた。 
「やれやれ、このところのお嬢さんはみんなこんなものなのか」
 そう言って食器を下げた。
「えーと、女子仮眠室空いてたか?」
 抱きかかえようとした時に何かが落ちた。

 妊娠簡易検査薬の細い棒がリノリウムの床に跳ねるように転がった。
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